児玉清のレビュー一覧
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児玉清さんの遺稿集『すべては今日から』を読んだ後、もう少し児玉さんの話を聞いていたいなぁと思って、本書を手に取りました。こちらは児玉さん最初の著書の文庫です。
タイトルからもわかるとおり、本への愛が炸裂しております。それもかなり濃密で、読みごたえがありました。児玉さんの大好きな作品、大好きな作家のことが、具体的にこれでもかというほど語られています。ディック・フランシス、ジョン・グリシャム、マイクル・クライトン、ネルソン・デミル、トム・クランシー、ケン・フォレット、ジェフリー・ディーヴァー、スティーヴン・ハンター、パトリシア・コーンウェル、などなど。
少しだけ内容が『すべては今日から』 -
Posted by ブクログ
本自体が好きなんだなぁというのがひしひし伝わってきた。本が捨てられないの言葉には、奥さんさぞかし苦労しただろうなぁと思うとともに、私は私なりに本と付き合い断捨離してくはよと誓う。
アメリカのサイコスリラー系って映画はよく見るし好きなジャンルだけれど、本で読んだことはあまりなかった。けれど、こんなに愛情をもって語られたら読まずにはいられない。手始めにコーンウェルの検屍官あたりから始めようかしら。アメリカのサスペンスをよみはじめるのにはとってもいい指南書である。
ゆくゆくは私も著者が語る、作家自体がもつ独特のリズムを英文からダイレクトに味わえるようになりたいものだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ分類としては書評本になるのだろうか。
評論というよりは、お勧めの本を紹介しているブックガイド、という方がしっくりくる。
紹介されているのは海外の作家が大半を占めていて
自分の読書傾向とは少々方向性が違うのだが
そこに挟まれているエピソード、書籍や作家に対する愛情というか執着心というものに
いちいち共感しながら読み進めた。
クリスティを読まない話、蔵書のことで奥様と喧嘩したエピソードなど
本のことになるとあのダンディな児玉さんがこんなにも少年ぽくなってしまうのか、
と意外に可愛らしい部分が見えたのも楽しかった。
読み手の興味をそそる掴み(というかマクラ)、
内容を紹介するときにどこまでネタバレ -
Posted by ブクログ
昨年亡くなった児玉清さんの本。タイトル通り、児玉さんが読んだ本の書評がメインに据えられつつ、中盤では映画の話ばかり出てきたりしていて、本に限らず文化芸術というもの全般に深い造詣があった方なんだなぁと、納得しながら読めました。
この本で紹介されている限りでは、児玉さんの興味の対象は古典ではなく現代の海外作家によるフィクション作品がほとんど。しかも原著のまま、新刊ハードカバーで購入して読んでおられたようです。なんかもう、それだけで凄い。
この本のオリジナルが出版されたのが2001年、文庫版が出版されたのが2007年。主に紹介されている作品は、オリジナルが出版された2001年以前のものですが、面 -
Posted by ブクログ
客先からの帰りに最寄り駅の本屋で偶然に見つけた一冊、「アタック25」で有名な児玉さんの著書となります。
ちなみに、何故か本屋をフラフラと見て回ること自体が好きだったりもします、何も買わなくても。
主に英米の著書についての読書遍歴が綴られており、そのどれもが「本」に対する愛情であふれています。
普段外国の大衆小説には余り食指の動かない自分ですが、ちょっと手を出してみようかなと考えてしまいました。
その中でも特に印象に残ったのが、淀川長治さんの一節について。
「(人に薦めるのに)褒めないで誰が映画を見ますか」、とは至言だと思います。
確かに「自分が貶したモノ」をひと様に薦めても仕方ないですし