野沢きみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
女性の声を聴くと宝石を吐き出す宇宙人に朗読するアルバイトをする代わりに、奨学金を得ながら生活する主人公。
家族に対する嫌悪、大切な人に対する深い愛、汚い言葉を発する浅慮な人々への殺意、そんな複雑な主人公の独白のような、日記のような、不思議な物語だった。
過去と現在がくるくると入れ替わり、今どこにいるのか、足元がおぼつかない不思議な感覚を味わう文体だった。
他者から向けられた優しさに感謝しながらも、自分からは何も返せない。
生まれ育った地から逃げ出したくて、何ものにも執着せず、自分自身すら大切にせず、いつかこの世界から消えてしまいそうな危うさを感じながら、それでもどこかで少しでも幸せになって欲し -
Posted by ブクログ
奨学金をもらう代わりに「宇宙人の店」で働くるぅちゃんを描いたSF作品。
宇宙人に声を聴かせて宝石のような物質をもらうという不思議な設定だけれど、文章が美しいので、個人的には文学作品にカテゴライズしたい。
どこにいても自分の居場所だと思えない、るぅちゃんの孤独や寂しさがシットリと伝わってくる。
るぅちゃん自身が誰からも大切にされていないわけではない。
愛情の受け取り方は、どうすれば育てることができるのだろう?
どんなに自分を大切にしてくれる人がいても帰る場所だと思えないことに傷つき、自分を責めるるぅちゃんの苦しみが、この先和らいでいるといいなと思った。