野沢きみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本屋で、本タメ文学賞のポップをみて購入。前情報なしで読み進めたが、終始不穏な空気が漂う。いつ衝撃的な事件が起こるかと身構えていたが、るぅ本人にとっての被害は起こらない。恵まれた家族構成でな無いにせよ、むしろ人には恵まれているように読めた。
家にいるはずなのに帰りたい、恋人がいるのにずっと寂しい。雨の中で喉の渇きを訴えているように思える。
宇宙人からの申し出に「行きます」と即答したのは何故だったのだろう。地元から状況して、環境を変えたのに。
暗い気持ちにはならないが、不思議な渇きを感じさせる小説だった。
1番の衝撃は、新人賞とった時のタイトル。「ふるさとへようこそ!」は無いわ…プロのタイトル付の優秀さを知る。 -
Posted by ブクログ
女性の声を聴くと宝石を吐き出す宇宙人に朗読するアルバイトをする代わりに、奨学金を得ながら生活する主人公。
家族に対する嫌悪、大切な人に対する深い愛、汚い言葉を発する浅慮な人々への殺意、そんな複雑な主人公の独白のような、日記のような、不思議な物語だった。
過去と現在がくるくると入れ替わり、今どこにいるのか、足元がおぼつかない不思議な感覚を味わう文体だった。
他者から向けられた優しさに感謝しながらも、自分からは何も返せない。
生まれ育った地から逃げ出したくて、何ものにも執着せず、自分自身すら大切にせず、いつかこの世界から消えてしまいそうな危うさを感じながら、それでもどこかで少しでも幸せになって欲しいと思いながら読み進めた。
主人公の大切な人たちの名前はするすると序盤から明示されるのに、最後まで明かされなかった主人公の名前。
主人公がこれから辿る旅は、果たしてどこに辿り着くのか。
寂しくもあり、けれど少しでも幸せな瞬間が訪れると良いのだけれどと祈ってしまった。 -
Posted by ブクログ
奨学金をもらう代わりに「宇宙人の店」で働くるぅちゃんを描いたSF作品。
宇宙人に声を聴かせて宝石のような物質をもらうという不思議な設定だけれど、文章が美しいので、個人的には文学作品にカテゴライズしたい。
どこにいても自分の居場所だと思えない、るぅちゃんの孤独や寂しさがシットリと伝わってくる。
るぅちゃん自身が誰からも大切にされていないわけではない。
愛情の受け取り方は、どうすれば育てることができるのだろう?
どんなに自分を大切にしてくれる人がいても帰る場所だと思えないことに傷つき、自分を責めるるぅちゃんの苦しみが、この先和らいでいるといいなと思った。