江村洋のレビュー一覧
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いやー面白かった!
ライバル、フランソワ1世とヘンリー8世との駆け引きが面白い。フランソワ1世は約束を守らず自分勝手。ヘンリー8世はその時々の損得感情で物事を決める。カールは誠実すぎる。
しかし、20年にもわたって喧嘩を続けてきたフランソワ1世と、エグ・モルトである日突然「我が愛しの兄弟!」と言って抱擁し合うなんて笑える。
当然といえば当然なんだけど、カール目線で描かれているのでカールを応援してしまう。フランソワ1世、ヘンリー8世目線のも読んでみたいな。
第5部のミュールベルクの決戦は壮快だった。
なぜ、表紙絵をティツィアーノの「ミュールベルクの戦いにおけるカール5世」にしなかったんだろう。
……長い間、本当にお疲れ様でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレCSのチャンネル銀河で放送中の「カルロス」を観ていて
予備知識が必要だと痛感し、読みました。
故・江村先生の本は前にも読んだことがあり
時々読み返しているものの
カルロス一世(カール五世)に特化した本は今回が初めてで
予備知識を得る本として実にありがたかったです。
(ドラマは第二話から観たので
誰だか分からない人物も多く
セリフを元に、本とネット検索で調べて、この人だ! と分かったり。英語版のサイトも役に立ちました。)
庶子と言われている(異説もある)ジェロニモ少年、
後のドン・ファン・デ・アウストリアに関しても
ちょこっとだけ触れられています。 -
Posted by ブクログ
王とは何か、更に皇帝ともなれば、如何に振る舞うべきか。民主主義が定着した現代ヨーロッパにおいても、残された王家の継承者たちは頭を悩ませ続ける。フランツ・ヨーゼフは500年近い歴史を誇るハプスブルグ帝国で、その最晩年を68年も支えてきた。気の遠くなるような年月、目覚める民族意識、欧州列強の虚々実々の駆け引き。崩壊しようとする帝国に日々真摯に向き合う姿は年月を経てむしろ神々しささえを帯びていく。
フランツ・ヨーゼフは一日10時間以上働き続けた。それは18歳で帝位に就いてから86歳で生を閉じるまで不変だった。この人ほど仕事熱心だった役人はいない。(194ページ)
19世紀のウィーンといえば、世界に輝く音楽の都である。政治的・経済的にはイギリスやプロイセンドイツに先行を許しながらも、中にいる国民たちは世界に冠たる一流国と疑わなかったに違いない。しかしイギリスのような革命やドイツのような政治的統合劇を経ていないだけに、宮廷も貴族も前世紀そのままの古色蒼然さを残し、官僚機構の近代化も遅れていたのだろう。そんな国のトップに君臨するフランツ・ヨーゼフは、皇帝だけは、その職責を勤勉に全うし続けた。諸民族の自己主張にも、官僚機構の機能不全にも、今一つ戦績の冴えない軍隊にも、フランツ・ヨーゼフは耐え続けた。68年もの長い間。単に耐え続けただけのようにも見えるが、オーストリア・ハンガリー二重帝国などという巧緻な妥協を繰り出しながら、諸民族の一致団結を訴え続けた68年の治世。この皇帝なくば、為政者が短気な施策を繰り返し、帝国はもっと早く分裂していたに違いない。
フランツ・フェルディナンド(帝位継承者)にとっては、現在のドナウ王朝のあり方が嘆かわしくてならなかった。1902年4月、彼は駐ロシア大使のエーレンタール男爵に書き送っている。「帝国ではどこもかしこも大混乱を期きたしている。ハンガリー人はますます厚顔になる一方だし、我々オーストリア人の間には、陛下にありのままを申し上げて自ら嘆かわしい事態を打破しようと願う情熱的な人間はいないのだ。」(352ページ)
最後まで矜持と希望を捨てなかった皇帝が第一次世界大戦に踏み切るや、諸民族は一転してこの戦争を支持する。まぁよくありがちな光景だが、皇帝はここに至るまでに最後のミスを犯していた。同じドイツ人として、ドイツとの同盟関係に頼り続けた外交判断。ドイツ統一前を知り謙虚さを残したヴィルヘルム1世と、ビスマルクを切り常に傲慢さを湛えたヴィルヘルム2世では格が違う、と彼はわかっていたはずだ。しかしバルカン半島を狙う皇帝にとって、後背の安全を確保するドイツとの同盟は必須の選択肢だったのだろう。しかしそれは英仏露との対立関係を深めるドイツにとっても、いつのまにか望むべき選択肢になっていた。この帝国はメッテルニヒ退陣後、外交面で主導権を握れなくなる。その現実を、この勤勉な皇帝はどう考えていたのだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレオーストラリア・ハプスブルク帝国の女帝、マリア・テレジアの生涯を記した著書。
コミック「ヴェルサイユのばら」の影響からか、
フランス革命で断頭台に散ったマリー・アントワネットの母、という認識しかありませんでした。
本書を読めば、政治家としてのマリア・テレジアを知ることができます。
軍事力強化のために、身分の壁をとりはらった革新的な政策を採用し、
国土のすみずみまで教育をほどこした。
医療の充実もはかる。
これらは長い時間をかけて実行にうつされた素晴らしい実例で、現代にもつながるもの。
単に当時の国力を増強させるだけるための政策ではないところが、さすが女性政治家の視点は違うとうならせられる。
政策を実行にうつすにあたって、優秀な人材にめぐまれたのは、
それだけマリア・テレジアに人をひきつける魅力があったからに他ならない。
当時としては本当に珍しかった相思相愛の夫、フランツの存在も大きい。
その美貌ゆえ、また女性であったことで、苦労するどころか、それを利用していたようなところがあるのに、ニヤリとさせられる。
跡継ぎになる息子には帝王学を学ばせたり、聖職者になるべく環境をととのえたりしていたけれど、
娘たちへの教育はあまり積極的ではなかったところが残念。
もししっかり教育していれば、マリー・アントワネットの悲劇もなかったかも、しれないのに。
ボリュームたっぷりの本書ですが、読み出したら止まらなくなります。
この時代が好きな方に、オススメです!!