タイトルを読んでドキッとしました。
正にその通りです。
売上を伸ばそうとして一番手っ取い手法である値下げを行う。
利益を出そうとして人件費や経費削減に走る。
これらは結局のところ極短期の結果しか残せません。
直近の成果を残すことばかり考えると、長期的に会社にとっては致命的な結果につながります。
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価格を下げたことで利益が減る。質が落ちる。
人を減らしたことで質が下がり、客が逃げる。
優秀な経営者はこれらのことをわかっていますが、
世には経費削減の仕事こそ経営だと思っている経営者が山ほどいますね。
彼らはマイクロマネジメントこそマネジメントだと勘違いしています。
しかし彼らはあながち間違っていなかったのです。
少し前の世代は「利潤の最大化こそ企業の目的である」とし、「いかに競争優位を実現し、売り上げや利益、市場シェアを最大化しうるか」とされていました。
これらの言葉はマイケル・ポーターなどの有名なマネジメントグールーによって体系化されました。
そして管理経営こそ会社を繁栄に導くものとされていました。
現在はガラリと変わって、利潤の最大化という目的ではなく個人の目的を社会の目的を結びつけた考えが主流になりつつあります。
ドラッカーだけは早くから「社会的な目的を実現し、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすこと」が企業の目的だと喝破していました。根源的に哲学者であるドラッカーの面目躍如ですね。
本著では己の目的とは何かを熟考し、具体化することが共同体や社会に貢献するとします。
社会的な目的に目覚めることが幸福な人生につながる。
個人も会社も社会的な目的を掲げ、それを具体化することことで社会の発展に寄与する。
社会的活動をする会社は世間から支持され発展する、としています。
そのためには社会性のある目的を掲げることが大切とし、多くの成功した具体例を挙げて詳述しています。
なるほどと唸ることが多く、久しぶりに読み応えのある本に出会いました。
会社の社是社訓といえば空理空論を掲げただけの空虚なものが多いですね。
明確に目的やミッションを掲げていれば、組織員は自己実現を結び付けやすいです。
利益追求、売上追及ばかり言っている経営者には誰も付いていきません。
個人も会社も自己実現のためには明確な目的を持つことは大切ですね。