光永悠彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
テストにおける尺度と、それをどう測るのかについて専門的な視点から考察した良書。心理学や教育測定学からの考察が中心ではあるが、『暴走する能力主義』を長めに引用して、教育社会学的な視座からも検討しており、まさに多角的な視点からテストを考察しようとしている(とはいえやや教育測定学的な視点に偏っているかな、と思われる記述は散見されるものの)のは個人的に好感がもてる。
願わくば、そもそも誰かによって設定された尺度そのもの、あるいは学力とよばれるものの哲学的な議論も踏まえてほしかった。つまり、例えば英語力、というものが構成している能力を測る尺度であれば、精緻されていけばいつかは確からしいものにたどり着けるかもしれないが、もっと曖昧な「学力」という尺度について考えようとすると、妥当性への一種の怪しさを感じてしまうのは私だけではないだろう(そもそもその尺度の物差しってなんですかね?という意味で)。とはいえ、非常にわかりやすく論点整理されているので、テストについて学問的に学ぶ始めの1冊としての入門書の役割を存分に果たしてくれていると思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレテストは、何を測って、何をするの?
人生のいろいろなところにあるテスト。学校の定期試験や小テスト、資格試験、入学試験など。テストのために勉強して、テストが終わったらすぐ忘れる。何のためにテストはあるのだろうか。
大学で外国語教育法を学んでいたときに、テストで測れる「英語力」とは何か、という問題に取り組んだので、読みながらそれを思い出した。抽象的な概念になるほど、限られたテストでは測れているとはいえず、コストを考えて妥当なところに落とし込むのは大変難しい。何を測るのか、テストは妥当なのか、何に利用するのか。そんなことを高校までは考えずにテストを受けてきた。わく考えれば不思議。
テストの結果に人生を左右されるから勉強を頑張るというのは、そろそろ終わりにしてもよい。しかし、今の方法でうまく世を渡っている人がいるから、なかなか変わらないだろうという気持ちもある。 -
Posted by ブクログ
試験勉強がまったくできてなくてテストの問題を見てパニックになる、という夢をごく最近まで見ていました。しかもそれ大学の定期試験なのです。ガバッと起きて、ああ夢でよかった、社会人でよかった、と胸を撫で下ろすパターンです。どんだけ大学の専攻に苦労していたか、そしてどんだけテストというものにプレッシャーを感じていたか、情けない限りです。学生ってテストで学力を測られまくった日々であったことを本書の書名「テストと学力ー何を測るのか、どう測るのか」を見て思い出しまして、つい手にしました。著者は心理統計学、計量心理学、テスト理論という領域の研究者であるらしく、実際の試験設計にも関わっている実務家でもあるようです。初めての一般向けの本らしく、確かに横書きで読む理論を、新書の縦書きで読む難しさがありました。その難解さは誤差のない正しい計測とはなにか?に対する著者の誠実さなのかもしれません。結構、飛ばし読みしました。ただ、テストという制度の奥のこと、まったく知らなかったアカデミックな背景をキチンと説明したい、という熱さの意味が「あとがき」で炸裂します。テストの結果に対する拡大解釈への危惧や「二十一世紀的スキル」という「テストでは測れないもの」の必要性に対する問題意識がこの新書の背骨となっています。たまたま今朝、OECDの調査で「2025、日本の15歳学力は世界トップ級維持」というニュースが流れてきましたが、15歳を対象にした「科学的応用力」「読解力」「数学的応用力」の3分野。前科に比べ科学は前回2位から5位へ、読解力は前回3位から4位へ、とランキング下げたことを問題視している報道もありました。これもどう上げるのか、の前に、そもそも学力とはなにか?についての議論がもっと深くならないといけない、といけないのかな?