ロバート・プロミンのレビュー一覧
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ネタバレ【こころは遺伝する】 ロバート・プロミン 著
「ガーディアン紙」の「一度本書を読んでしまえば、二度と同じ目で世界を見れなくなる」という禁断の書。近年、注目されている「行動遺伝学」の本です。
一言で言うと、「個人差のほとんどは遺伝によって説明され、DNAこそが『自分らしさ』の青写真だ」というもの(原文タイトルも“Blueprint; How DNA Makes US Who We Are”)。「氏か育ちか」の議論で言えば「氏(DNA)」の決定要因が大きいと言います。遺伝率の平均は50%で残りは環境要因に影響を受けるそうですが、環境からどういった影響を受けるか(=本人がどう感じるか)もDNAによるもので、「心理学で用いられる環境要因のほとんどが、大きな遺伝的影響」であると断じます。年齢を経るごとにDNA影響が発現し、親の接し方や教育云々よりDNAだと言います。
訳者の安藤寿康もこの行動遺伝学の信奉者ですが、並行して読んだ『運は遺伝する』(橘玲、安藤寿康)の方が分かりやすいかも知れません。ただ、個人的な経験でも環境から影響を受けたこともあり(どう感じたかはDNAによるのかもしれませんが)、また周囲を見渡しても遺伝では全てを語り尽くせないないと思うのですが如何でしょうか。仏教の「縁起」を信奉していた自分には、本書の「DNA推し」に接し、「同じ目で世界を見れなく」なったのですが、別の立場の人の論評も聞いてみたいと思った一冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本を読んでいると数年に一度有り得ないレベルで面白い本に出会えるのだけど、本書はまさしくそういう本だった。
いやぁ、名著も名著です。
原著は18年出版なので、日本でもこの手の話はいくつか出ているんだけど、第一人者がしっかりとソースをもって語ってくれるのはありがたい。
主題としては、人と人の差を作るのは何か?という部分なんだけど、私たちは常に遺伝子の影響を受け続けているんだよね。
十分な栄養を受けて育てば、身長の差は後は遺伝子の差しか残らなくなるというのは当たり前の話だし。それは学業でも同じことが言える。環境を充実させればさせるほど、環境以外のものが差異になってしまうという、ある種残酷な事実。
遺伝子というのは傾向なので、未来予想図ではないけど青写真にはなり得る。
その中で、自分が何が得意で何を好み何になりたいのか、というのはもう一度振り返って問われる時が近くまで来ているのかもしれない。
後ちゃんと覚えておきたいのは注釈で書かれていた「集団間の平均差の原因と、集団内の個人差の原因は必ずしも同じではない」という部分だね。
統計学の基本だけど、この点は(意図的に)忘れられる話が多いので、改めてメモしておこう……。 -
Posted by ブクログ
読むのにかなりのエネルギーが必要な本で、回りくどい表現や、同じことを何度も別の場所で説明することがおおい。大学の教科書として採用して、深く勉強するには良い。簡単に要旨を知りたい人は、前書きを読むだけでも良いと思う。それを裏付ける豊富な事例、解説、データは、気になるところだけ読めばいい。
どうしても気になるのが、ポリジェニックスコアの将来と、それによる影響。例えば凶悪犯罪を犯す要素が高いと思われる人を見つけた場合どうするか。優生な子供を授かるためにこれを使うのは許されるのか、など。問題はあるが、人はその選択をすると思う。生命に関わる学問は、いつしか倫理観との折り合いを必要とする世界に入って行く。
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Posted by ブクログ
世界を見る目がひっくり返される様な衝撃的な内容でしたね。「環境」か「遺伝」どちらが大事か、その二項対立の議論に対して、「遺伝」の影響が大きいと科学的に示した書籍です。
ただ、その衝撃的な結論ではあるものの、本書を読み通してみると、結構腹落ちする事も多くあります。「環境のなかの遺伝」といって、環境についても、保護者の性格や遺伝子が遠因となっている等。
部下や子供の育成についても、過度に変えようとするのでなく、遺伝の存在を理解していれば、彼ら彼女らの良さを伸ばすべきとより寛容になれますね。
ポリジェニックススコアという遺伝子情報を定量的に測る仕組み、まだ道半ばらしいですが、将来的な医療や教育、福祉の発展に大きく寄与しそうですね。遺伝子研究の行く末にとても興味が湧きました。
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Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった。遺伝か環境か、についての考え方の答えが出た、と思った。
・一般的に言って、人の身体・性格・知能に遺伝子が与える影響はかなり強い。
・形質によって影響度は異なる。例えば、身長・体重は遺伝子で決まる割合がかなり高い。(つまり太りやすい遺伝子を持った人は太りやすいということ)
・とはいえ環境に意味がないとは言えないし、環境や努力でできることはたくさんある。太りやすいからといっても、努力によって太らないようにすることは可能(運動したり食事管理したり)
・知能の50%は遺伝子で決まる ← 衝撃
人間、教育、社会に対する見方を大きく変えられた本だった。
ただちょっと説明がわかりにくい部分がやや多かった気がする。訳のせいというよりは原著の文章構成のせいだと思う。
統計学の知識がないと何を言っているのかわかりにくい部分もややあり。
「遺伝の影響を統制する」という表現とかは、統計学を学んだことがないとピンと来ないかも。 -
Posted by ブクログ
遺伝か環境か、の答えが出た、という触れ込みの本。現代の遺伝研究は、ますます遺伝によって「その人のその人らしさ」が規定されているという結論に至っている、という。人が生きる環境も遺伝の影響を受けており、かつ環境への感受性の違いも遺伝の影響を受ける。
とはいえ、各SNPが数多くの影響を及ぼし(多面発現)、かつ各形質が数多くのSNPから影響を受けている(多因子性遺伝)のため、遺伝子と複雑な形質とのあいだの経路を追跡するのは難しいという。このふたつの原理は重要である。
遺伝研究の成果からは、精神疾患が疾患単位として分類されるべきでなく、スペクトラムとして認識されるべきであるということ、したがって「異常は正常である」(要は程度問題であるということ)という認識も極めて重要であろう。
とはいえ、著者の遺伝研究の成果の誇張(その人らしさを生み出す遺伝子の関与の過大評価)や、プロジェニックスコアの研究とその展望は、グロテスクなもので、西洋的知性の合理性への礼賛、人間を操作する方向に向かう指向性に警戒すべきものを感じた。