ロバートジャクソンベネットのレビュー一覧
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雨季になると巨獣リヴァイアサンの襲撃に悩まされる神聖カナム大帝国で、技術省高官が謎めいた死を遂げる。それが誰かに仕組まれた殺人であるとして捜査に乗り出したのは、変わり者の捜査官アナと助手で記銘師のディン。二人の活躍により無事事件は解決するものの、同じ手口で十人の技官が殺されていたことが判明する。ファンタジー世界を下地にしたミステリです。
科学や薬学の技術で人間の一部の能力を飛躍的に強化した「卓越者」たちが存在する世界。謎めいた魔法のようなアイテムも多々登場し、それほどここに詳しい説明がなされないのですが(単位などはまったく謎です)。しかしその世界観が読むうちに案外スムーズに馴染んできます。
体内から爆発的に生えた木に殺される、というインパクトのある手口に唖然。しかもそのシーンが目の当たりにされるところもあって、これは衝撃的でした。しかしどうやってそれを仕込んだか、というところなどは完全に本格ミステリ。特殊設定ミステリとしての読みごたえが抜群です。
現場に行かないアナの代わりに状況を記憶し伝達し、さらにとんでもない能力が徐々に明らかになるディンだけれど、何かを抱えているらしいのも読みどころ。アナとのバディとしての活躍も実に楽しいです。これ、続編も書かれているのですね。邦訳が待たれます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても面白かった!
ファンタジーな世界観と探偵役のアナ・助手で能力者の主人公ディンのキャラクター、そしてミステリーと各要素が魅力的かつ全体として綺麗にまとまっており読みやすい。
巨獣リヴァイアサンの侵入を阻止する防壁を持つ帝国は進撃の巨人っぽい雰囲気。ハードカバーで500ページ近くあり読み応えはあるが、メインとなる殺人事件の軸と、リヴァイアサンによる脅威の軸で二種類の緊張感があるためかなり展開は多く最後まで飽きずに読むことができた。
世界はファンタジーだがかなり生活を感じることができるし、ミステリーへの組み入れ方も巧妙で違和感なく面白い。
章ごとに振り直してはくれているが、省の名称、階級の名称など読み方が覚えられず、人物名も馴染みがない感じで序盤は見返すことも多かった。
(錬薬省〈アポセティカル〉がかっこよくて気に入った。)
内容には関係ないが原題『The Tainted Cup』は「穢れた・毒された杯」というような意味になるらしく、読後に見るとなるほどと思えるタイトルなので、(色々意図はあるのだろうけど…)日本語版のタイトルが少しもったいなく感じてしまった。
個人的にミルジンがとても好きだったので続編でも出て欲しいけど無さそうか…!続編の邦訳にも期待。 -
Posted by ブクログ
#記銘師ディンの事件録 木に殺された男
ファンタジー世界におけるミステリは、その世界観が矛盾なく確立していないと、謎解きに説得力がなくなる危険性がある。でも本作にその心配は杞憂。骨太のダークファンタジーの舞台が用意されている。
そこに性格破綻した安楽椅子探偵と、完璧な記憶力を持ちながら、陰のある助手が活躍する王道のバディ小説の風格。
SF・ファンタジー好き×ミステリ好き×バディものが好きな自分にとっては、この上ないご馳走様なのだ。
本国では2作目が刊行済みでこの夏には3作目も発売予定。全5部作の予定とのことで、生きる楽しみが増えた。
#読書好きな人と繋がりたい -
Posted by ブクログ
面白い。大当たり!
『ハイ・ファンタジー』+『サイバー・パンク』+『シャーロック・ホームズ』+『ゴジラ』(なんだこのバカっぽい煽り文句は)
でも面白い!
神聖カナム大帝国は、雨季になると東の海から姿を現す巨獣リヴァイアサンに悩まされている。辺境の町ダレタナで政府高官が不可解な死を遂げた。司法省捜査官助手になったばかりで、見たもの全てを記憶できる“記銘師”のディンは、変人の上司アナと共に捜査に乗り出すが…。
入念に創り込まれた『ハイ・ファンタジー』の世界観。独自の技術で“生体改変”された人々が、中世ヨーロッパ風のダークな異世界で捜査し、戦い、暗躍する。SF小説やダーク・ファンタジー好きにはうってつけの物語だと思います。好き。
「ここまで創り込んでおいて終わりはもったいないな」
…と思ったら続巻があるんですね。本書はアメリカでは2024年出版。2025年には続巻が出て、2026年8月には第三巻出版予定。著者は5部作を予定しているそうだから、早川書房さん!よろしくお願いします。
それと、本書タイトルは簡潔にして的確。良いタイトルだと思う。原題は『The tainted cup』(汚染された器)。ちょっと物足りない感じ。主人公であり視点人物名をタイトルにしたのは良い選択だと思います。次巻が出るのを楽しみに待ってます。
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Posted by ブクログ
一応はミステリに分類したけれど、ファンタジーあるいはSFにも分類できそう。舞台は、神聖カナム帝国の辺境。雨期になると、東の海から巨獣リヴァイアサンが上陸を試みてくる。それを防ぐために帝国は三重の環状防壁を築き、さらに海岸線近くに臨海防壁を築いていた。そして人と資源を軍団につぎ込んで国を守っていた。このへんの設定は、『進撃の巨人』を思わせる。もしかすると、作者は読んでいたのかもしれない。
そして、上陸を阻止した巨獣の死体から流れ出した血がしみ込んだ土地からは、変異した植物が生えてきた。これらの植物の不思議な力を利用して、動植物を<生体改変>している。これは人間にも応用されている。主人公ディンはビデオカメラ的な完全な記憶力を持ち、司法省の捜査官助手(見習い)をしている。上司の捜査官は、中年女性で変人のアナである。その他、数理師や怪力師といった多様な力を持たされた者たちが存在している。
アナとディンのバディが怪死事件を追う展開となっているのだが、異世界が舞台となっており、設定を飲み込むまで相当のページ数を費やしてしまう。全体の中頃までは、諦めずに読んだ方がよい。ここからが面白くなる。
全5部作になるとのことなので、設定を飲み込んでおけば次巻からは、物語に入り込むやすくなると思う。早川書房さんには、ぜひとも全巻出版してほしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今年のベストがもう決まってしまった。
本当に出会えて幸せな一冊。
とにかく面白い!アナとディンのキャラクターも最高だし、世界観も唯一無二でダークファンタジーを兼ね備えているミステリなのがめちゃくちゃ贅沢。
ディンが自分の秘密をアナに明かすところは泣いてしまった。なぜだか自分が救われたような気持ちになる。
訳者のあとがきを読んでびっくり!
アメリカでは去年続編が一冊でており、今年も一冊刊行予定とか。
しかも現時点で五部作の予定らしい
早く読みたくて仕方ない
もはやアメリカ人になりたい
英語の小説を読めない自分を殴りたくなってしまう
最高の小説! -
Posted by ブクログ
ネタバレ凄く飲み込みやすい設定、分かりやすくて読みやすい翻訳、こんな楽しいファンタジー小説を買った自分を褒めたい!表紙みた感じもっと堅い感じやと思ってたのに読んだ瞬間にこれは……ってなる。今年1番面白かった!じわじわ捜査が進み、事件の全容が明かされる楽しさプラス、世界設定がどんどん馴染んでくる楽しさもあって最初から最後まで飽きることない。仕事で疲れて1ページしか読めない時でも楽しかった。この本のおかげでこの数週間仕事頑張れましたね。
ファンタジーミステリーものでこれに似た感じの特殊な世界設定、迫り来る脅威なんかは折れた竜骨を思い出しました。
主人公と探偵、他のキャラクター造形がほんと素晴らしい。キャラクターが多いので名前を覚えるのが大変ですが、必殺のメモ帳に名前を書くで乗り切りました。
特殊設定も多くて、鍵、壁、感染症。すごい数の名称が出てくるけどすぐにどういうものか、分かるよう実際に使ってみせるところがあるから理解しやすい。丁寧ですね。
情景描写も人物描写もわかりやすいし、なんていうか重すぎず、軽くない文章なのも嬉しい。
ほんとちょうど良すぎる塩梅でこんな翻訳してくれてありがとうしか言えない!!
続編読みたいなぁ、どうか売れまくって続きが日本で出版されますように。
今年はこの作品を超える小説に出会わせてください神様。