佐藤香苗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
信頼する司書さんのおすすめ作品でもあり、ブク友さん達の評価も高かったので読んでみました。
舞台は、認可保育園でありながら夜間保育を行う、東京で数少ない24時間体制の保育園『つづきの保育園』。
物語は保育士、文乃の視点で描かれていきます。
文乃は20代後半、未婚で子なしの女性。
複雑な事情を抱えてる文乃は、昼夜逆転した生活を送ることで体調が安定するので夜間勤務のある保育園で働くことに。
こちらの園に預ける親の職業は、飲食業界、医療関係者、夜の仕事、シングル、深夜手当で生計を立てる外国人など…さまざまな事情から夜に働かなければならない親たちです。
れんげ組 クマラ・アヌシュリー
さざんか組 橋場 祥
かみつれ組 真栄城 成也
ほし組 内海 文乃
という構成で物語が進みます。
夜間保育園の実情がよく分かり、またそこに預けざるを得ない親達のリアルが描かれています。
無認可園との違いも大変よく分かりました。
私は最初この本を読むか悩みました。
なぜなら他にも読みたい本はいっぱいあるし、我が子も成長したので保育園の存在が少し遠いものとなっていたからです。
でも何より夜間保育園に預けられる子ども達を見るのが少し辛かったから…。
でもそれは杞憂でした。
この本に出てくる子ども達はとても愛されて育ってます。
懸命に働き、もがきながらも子育てをする親、そんな働く親達に代わり、保育士達がそっとずっと寄り添う姿に希望が見えたし安心感をも覚えました。
こんな認可の夜間保育園が傍にあったらどれ程助かるか。どれ程心強いか。
この一冊が認可の夜間保育園設立の一助になるといいなぁ。
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Posted by ブクログ
現役保育士であり、絶賛母業真っ只中の私からみても、割とよくリアルに沿った内容で、好感がもてた。
フィクションであるが故に、いたずらにモンスターペアレンツや、保育士の仕事の大変さを過剰にしがちな物語が多いが、必要以上に煽りたてる文章ではないのも心地よかった。
相反するのはおかしいんだけど、
母親目線と、保育士目線が違うのは事実。
保育士は勉強や経験を積んだプロの目で、長い時間子どもを見ているからこそ、ちょっとした変化でも、最近様子がおかしいな、あぁメンタル面の限界が近づいてるな、てわかる。
もちろんフォローするんだけど、私たちがカバーできるのは保育時間だけであって、母や父の愛情を一番に望んでるこどもたちには、どう頑張っても足りないもどかしさがあるのも事実。
子ども第一目線だから、きっと保護者からしたら責められてるような気になるよね、と思う。
そしてそれもよくわかる上での親目線。
忘れられない一言がある。
小児科で、熱は出てないけど風邪気味。明日も仕事休めないから園に連れて行くと言ったら、
かわいそう。もっと子どものこと考えてあげて。
みたいなことを言われ、悔しくて泣きながら帰った。
親だって、好きで子ども預けて働いてるんじゃないんだよ。
そりゃ一緒にゆっくり休んであげたいよ。
でも保育士である私が、担任の先生がしょっちゅう休んでたらクラスも回らないよ?
親だって我が子が最近よくごねるなぁ、頑張ってるんだろうなぁてわかってる。でも仕事で疲れてて、いつだって全力で向き合うなんて、ままならない時もあるよね。
その両方の目線がわかる保育士は、自分で言うのもなんだけど、優しいと思う。
新人の時は文乃先生みたいなフレッシュさや真剣に悩む姿勢、全力でぶつかるガッツがあってとてもいい。
それを繰り返していくとね、新人には出せないような包容力や、理解力がある、引き出しの豊富な保育士になれる。
私はこの仕事がとても好き。
安心しきった満面の笑顔で手を伸ばしてくれる小さな顔。
希望と可能性がたっくさんつまった小さな手。
そしてそれを不器用でも必死で育てる親。
それを間近で見ながら支えていける、有意義感。
他の仕事では替えがたい。 -
Posted by ブクログ
深夜のコンビニ勤務の外国人、医療従事者、水商売のシングルマザーなど、さまざまな事情から夜に働かなければならない親たちのために子どもを預かる「夜間保育」を行っている保育園を舞台にした小説。
自分も幼い2児の父親であり、上の子を保育園に預けているので、自分の育児経験にも照らしながら、いろんな親子の形があるなと思い、面白く読み進めた。「ままならない子どもへの苛立ちと愛が錯綜し、混乱する」など、そうだよなと肯く描写が少なくなかった。また、基本的に登場人物に悪人はおらず、親子、保育士それぞれの思いに温かな気持ちになった。
そして、お仕事小説として、保育士の日々の仕事を垣間見ることができたとともに、毎日の連絡帳記入や入所手続等が負担で認可外保育施設に頼ってしまう親の存在など保育園、保育士を取り巻く実情の理解にもつながった。
ただ、主人公と杏子さんの関係は、もうひとつすっきりしなかったように思う。 -
Posted by ブクログ
夜に眠れなくなってしまい、休職していた
保育士の文乃。昼夜逆転した生活リズムで
あれば眠れるようになり、東京新宿区にある
24時間お預り可能の認可保育園「つづきの
保育園」で働くことになる。
この作品を読んで初めて知ることが多く、
「夜間保育園」のことを、全く分かって
いなかったことに気付かされた。
繁華街などのキッズルームやベビーホテルや
託児所。料金も高く、決して子どもたちに
とって、環境がいいとはいえない場所であっても、その場所を利用する人たちがいる。
" ただ毎日働かなきゃ食べることもできないから
とにかく子どもをどこかに預けなきゃいけない。
一度キッズルームやベビーホテルに預かってもらうと、あまりにも簡単で、他の保育施設に目を向ける余裕なんてないの " (本文抜粋)
選ぶ力がない人が多くいるということに、
文乃同様、ガンと頭を殴られたような気分に
なった。様々な事情から、夜に働かなければなら
ない親たち。厳しい環境の中でも懸命に子育てする親と、ひたむきに親を愛する子どもたち。そんな
親子の力になりたいと、真摯に向き合っていく
文乃。決して、ただの優しいだけの話ではない。
保育園が、今日の『つづき』になりますように。
子どもたちは、今日の「つづき」を保育園で過ごして眠る。そういう保育園、今日の『つづきの保育園』
『つづきの保育園』の名前の由来に胸をうたれる。
なかなか現実的には難しいとは思うけれど
『つづきの保育園』のような24時間お預り可能の
認可保育園が、少しでも増えたらと願わずには
いられなかった。
文乃と、亡き父親の恋人、京子さんとの
関わり方が素敵だ。