何致和のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ
記憶を辿っている部分の方がどうしても引き込まれる。訳者あとがきにあるようにノスタルジー的な楽しみ方を期待してこの本を読み進めていた。夜の川沿いを歩くことはイーヤーのとって本当に怖くなかったのだろう、と感じた。それがどうしてからあまり分からない。阿煌は期待通りの活躍をしてくれて嬉しい。行動を起こすのが今だとチームを牽引したり、パンを買って戻ってきてくれたりするところなど彼の親分気質が如実に現れている。この2人のなかで僕はどのような役割を担っていたのだろうか、意見の調整をする場面はあるが特筆するような優れた利点が語られることはあまりなかったような気がする。書道に優れている、と言う客観的な指標を除いて。この物語は僕が、僕の記憶を振り返るものであるから彼の視点から彼の姿を見ることはできないのは当然であるが、イーヤーと阿煌から僕がどのように見えていたのか知りたかった。オランウータン事件がこのように幕を閉じるとは悲しい。彼女はきっと濁流に飲まれてしまったのだろう。36歳になった僕が辿り着いた動物園にもオランウータンの姿はなかったように思える。