江口大和のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
またしても人質司法の本。検察の本。
どう考えてもやばい組織だ。
一部の人間、と先日の佐藤優さんの本は言ってたけど、
これだけあちこちで声が上がる、ということは、
異常なのだ、きっと。
声を上げられず、虚偽の自白をしてしまった人も相当いるだろう。
そういう人は黙殺される。
もしかするとそのまま死刑に処された人がいるかもしれない。
冤罪。
この著者も冤罪。
会社のトラブルの弁護をしていて、口裏を合わされ犯罪者に仕立て上げられた。
取り調べ段階ですべて話をしたからと、逮捕後は完全黙秘を貫いたが、
それでも執拗に罵詈雑言を浴びせられ、いつまでも拘留が続く。
尋問が続く。
まあその限りにおいてはほかの方々の人質司法と変わりはないが、
一点面白い、と言っては失礼だが、著者の心の動きを示す文章が興味を引いた。
カルロス・ゴーンの逮捕、保釈、である。
罵詈雑言で打ちひしがれていた心が、ゴーンさんのことで励まされたというのだ。
ある意味仲間意識。
人は一人では生きていけない。その典型だ。
著者はこのことで自分を客観視し、心の持ちようで人は変わる、ということを思い知る。
それでもめげるときもあるが、立ち直る気持ちがある。
ゴーンさんの存在は大きかったようだ。
ようやく保釈され、子供に会うが、なん百日も離れていては人見知りされる。まだ1歳。
自由を奪われる、それも理不尽に、国家権力に。
許しがたいなあ、耐え難いな。
自分はそういう目に遭う可能性は低いと信じているが、どこで何が起こるかわからない。
検察も、裁判所も、変わる時だ。
プロローグ それはある日、突然に
第1章 しゃべらなければ終わらない
第2章 時間と名前が消える部屋
第3章 再スタートの甘い誘惑
第4章 見えない敵に悩む日々
第5章 思い出ぶかい隣人たち
第6章 再会までの長い道
第7章 負けてもふたたび立ちあがる
最終章 やられっぱなしじゃいられない
補論 人質司法とはなにか -
Posted by ブクログ
著者は弁護士。ある日突然犯人隠避教唆の疑いで逮捕される。任意の取り調べでは犯行を否定、逮捕されてからは黙秘を貫く。
日本の「人質司法」の過酷さを暴きます。黙秘は憲法に定められた権利であるはずなのに、検察、裁判所は人質司法によって実質的に無効化します。そのやり口が暴かれます。
無罪が推定される被疑者を勾留しての検察の取り調べ等は、肉体的にも精神的にも拷問でしかないことが暴露されます。
著者がこの拷問に耐え、なんとか肉体と精神を保ち得たのは、教養、弁護士であるという法の知識、家族を含めた信頼できる支援者の存在などによるのでしょう。
権力に逆らうとこうなる、ということ。憲法36条「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」なんて完全に無視。推定無罪の原則も無視。先進国に比べると異常に長い起訴前の勾留も問題にしない。何もかもが恐ろしい。
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Posted by ブクログ
読みやすい文体で、最初から「この本で訴えたいこと」が分かった。それにしても、「日本では、捕まったら終わり」なんだな、と感じた。弁護士として知識もあり、30代の男性という強さもある作者ですら、心が折れそうになる取り調べに、いったいどれだけの人間が耐えられるだろうか。大川原化工機の事件や、官僚の村木厚子さんの事などを考えながら読んだ。
そして、この本では元の事件については、そこまで深く掘り下げていなかったけれど、「社長が社員に無免許運転をさせていた。もし捕まっても、社長の命令ではないと、口裏を合わせるよう言った。それは、弁護士からのアドバイスだった。だから、作者は有罪」という判決に、ずっと違和感しかなかった。あとで、他のサイトを読んだら、「社長や社員の言った事を成立させるために、作者を有罪にしなければならなかったのではないか」と書かれていて、腹落ちした。検察とか裁判官とかの「わかりやすいストーリー」に乗せるためには、人権とか個人の有罪など、どうでも良いのかと暗澹たる気持ちになった。
裁判官も検察も、多くの事件を取り扱い、起訴された人全員が素直に白状するわけはないだろう。だから、そっち側の気持ちも分からなくはないけれど、無罪と有罪は比喩なく天国と地獄だ。そんな軽い気持ちで人の人生を左右させないでほしい。
これを読んだ日に、16歳女性が違法な取り調べのせいで心を病み、餓死で亡くなったというニュースが流れた。作者は、人質司法について国家賠償請求を起こしている。作者のおかげで、人質司法に光が差したとも思える。どうか、冤罪の人が苦しまない社会になるよう願うばかり。
最後に、作者は「塞翁が馬」の故事を引いていた。勾留される前は、彼は仕事に明け暮れて、お子さんの顔を見るのは寝顔だけだったけれど、保釈されてから、保育園のお迎えにも行って、お嬢さんとの時間を過ごしていた。その優しい時間を描いたシーンに、ほっとした。
作者は、自身の体験を何か意味のあるものにしようとしている、と感じた。 -
Posted by ブクログ
冤罪事件で耳にするのは、厳しい取り調べで、やってもいない罪を認めてしまったというコメントです。その厳しい取り調べがどんなものだかを本書で知ることができます。刑事事件で検察が起訴した裁判での有罪となる確率は99%を超えています。そのカラクリの一つが密室での長時間に及ぶ取り調べなのでしょう。認めるまで閉じ込めて、精神的に追い詰め、この場所から逃れるために嘘もつくという環境を作り上げること。
一方、本当に罪を犯しているにもかかわらず黙秘をする人もいるので、任意にしろ逮捕して取り調べるわけで、警察機関は慎重であるべきです。
警察機関は、多くの凶悪犯を検挙している素晴らしい組織でもあります。
やってもいない罪に問われる人をなくすためには、どうあれば良いのかを思いながら本書を読み進めました。著者である弁護士のおかげで、取り調べの様子を知ることができたわけです。一読にあたいする記録だと思いました。 -
Posted by ブクログ
弁護士の立場から、拘置所に拘留された250日!の心理状態と、人権を踏みにじられる取り調べを詳らかにしたノンフィクション。
読みやすいので、サクッと読める。ちょっと軽すぎ?とも思えるが、そうでなくては多くの人に知ってもらえないという著者の考えがあってのことでしょう。
実名がたくさん出てくるのも、作者の妻が評するところの「好戦的な」性格がでてるのかも。なので、書かれた人たちはヒヤヒヤするだろうし、さぞかしはらわたが煮えくりかえることだろう。それも著者の意図するところだろう。
取り調べの動画がみられるのもお得。
検事ってホント、品がないのが許されちゃうヒエラルキーのトップなのですね。なんか、圧の強いやな検事でした。誰も注意する人がいないのですね。 -
Posted by ブクログ
著者は主に刑事弁護に携わる弁護士。
2018年10月、無免許運転をした男に嘘の供述をさせたとして、犯人隠蔽教唆の疑いで横浜地検に逮捕された。
無実を訴え、黙秘を続けながら、250日間も勾留され、3度の保釈請求の末、2019年6月に保釈となる。
しかしながら、2023年、まさかの執行猶予付き有罪判決が確定。
著者は、検察官による違法な取調べにより黙秘権などを侵害されたとして、2022年に国家賠償訴訟を提起、2025年現在、最高裁に上告中である。
本書は、250日もの長きにわたり拘置され、検事の執拗な取調べで、名誉を毀損され、侮辱され、精神を蝕む処遇を受けた著者が、獄中で書き綴ったメモを起点に、現在まで約7年に及ぶ闘いを生き抜いてきた様子を著した記録である。
タイトルにある「ハシビロコウ」は、娘が動物園で見た動物。取調べ動画で、じっと動かず黙秘を貫く著者の姿を見て「お父さん、ハシビロコウみたい」と言った一言を引用したとのこと。
本書の前半で強調されているのは、横浜地検・川村検事が容赦なく、著者を責め立てる取調べ風景。
著者は、川村検事の取調べのポイントを
①人格や能力を否定する罵詈雑言を浴びせる
②「否認や黙秘をすると保釈されず、勾留が長引く」と不安をあおる
③「勾留が長引くと家族や職場に迷惑がかかる」と罪悪感をあおる
④「裁判が続く間は仕事ができず、経済的に破綻する」と現実的な恐怖を突きつける
⑤「説得」と称して、取調べが無制限に続けられるとまとめている。
さらに、獄中での屈辱的な扱いとして
①名前でなく番号で呼ばれる
②何をするにしても「お願いします」と言わされる
③時計を取り上げられ、時間を教えてもらいない等を列挙している。
これらの取調べや勾留手法は、勾留者の精神を追い込む武器として働き、不安と孤独の中で自白へと誘導する仕組みの一部であり、「人質司法」を支える柱の一つであると、著者は分析している。
陽の光が浴びられずセロトニンの分泌が制限され、気力と生命力が削られ、気分転換もできない獄中生活。
著者は取調べで吹き込まれたネガティブな言葉が頭から離れなかったが、懸命にマイナスの自己暗示からの脱出を図った。
また、妻の献身的な支え、同僚弁護士たちの理解や協力も救いになり、なんとか耐え抜いた。
それにしても、「容疑を争うほど身体拘束(勾留)が長引くこと、また、それを利用して自白を引き出そうとする手法」と言われている人質司法が虚偽の自白を誘発する危険性をはらむことに恐怖を感じずにはいられなかった。
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Posted by ブクログ
モヤモヤ残る。人質司法の問題点や「そこまでやるのか」と唖然となる苛烈な検察の取り調べ、プリズンの人間性破壊する過酷さは具体例を伴い、理解深まった。大変だったと思う。ただ、家族ふくめた情緒的なサイドストーリーばかりで肝心な“巻き込まれた”という事件について、ほとんど触れられず、突然、遺族の証人申請。事件としては“小粒も小粒”なのに何故検察がそこまでこだわるのか、事件の概要、裁判の争点、判決のサマリーくらい提示してほしい。さらに完全な冤罪事件の村木さんや大川原化工機事件でなくゴーン氏の事件を引き合いに「戦友」というのは違和感。「妻としては、夫の好戦的な性格が事件を招き寄せてしまった節もなきにしもあらずではないかと感じています」
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Posted by ブクログ
ネタバレ拘置所での検察官の取り調べの実態は思った以上に過酷だったか、よく分かりました。
残念ながら、半分ほどは読めましたが、後はパラパラ読み(^_^;)
ごめんなさい。
事件自体もハッキリとは分かりませんでした。
戦友としてゴーン氏のことを結構話題にされていたり、反社の人たちを差別しているような物言いだったり。。拘置所を親愛を込めてだそうですが「プリズン」「横プリ」と言われているのもちょっと・・・
弁護士さんだったんですよね。
6歳の娘さんに自分のことを話してどれだけ理解出来るか、それでイジメに合わずにすめばいいけれど。
★2.5かな。 -
Posted by ブクログ
「人質司法」がいかに逮捕された人の尊厳を奪い、「自白」するまで精神を追い詰めるシステムなのかがよく分かる。
著者が受けたひどい扱い(取調べの時に受ける罵詈雑言、まだ罪が確定していないのに罪人のように扱われること)は目を覆いたくなるけれど、著者は感情的になりすぎず、あくまで淡々と事実とその効果を分析する。
その筆致のおかげで、私も冷静に事実を見つめることができた。
令和の現代でもこのような、人を人と扱わない行為が合法的に行われているということが信じられない。
著者の戦いは2025年12月時点で、まだ続いている。その事実がさらに、いま現実に起きていることだと思い知らされる。