小林英樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現在、ゴッホの真作とされている作品に対する
著者の主張なのだが
読めば読むほど納得させられる。
「贋作」を歴史的な背景や出どころの由緒正しさで無批判に受け入れていたことを。
それを見破るくだりがまさに推理小説顔負けの面白さ。
なぜここまで言われて美術界はまだ「真作」としてその作品を扱っているのか。
是非、反論を聞かせてほしいものだ。
そして著者の溢れんばかりのゴッホへの愛の大きさよ。
個人的にはあまり印象主義は好きではなかったのだけれど
読み進めるうちに引っ張られるようにして
ゴッホの人間的魅力や作品自体が持つ訴求力に
ぐいぐい惹かれている自分がいた。
美術を敬遠する人もゴッホ好きの美 -
Posted by ブクログ
『ゴッホの宇宙-きらめく色彩の軌跡』小林英樹
中央公論新社 2010年8月 1800円
110ページほどの小冊子だが内容は濃い
私にとってはパリ以前、アルル以前の油絵の色彩の美しさを発見できたことが大きな収穫
1886年パリで印象派に出会う前から、アルルで光の輝きに魅せられる前からゴッホは色彩の画家であった
パリに出て来たゴッホが目にした印象派の色彩は表面的なものでしかない
それまで追求してきた「色彩そのものが表現である色彩」とは遠く隔たっていた
「夏にかけてモンマルトル界隈、40点近くの花瓶に入った花、靴や鰊などを描く
高彩度なものから沈んだモノトーンのものまで色彩について