ドイツ生まれの絵本作家ブリッタ・テッケントラップの作品について、だいぶ前に読んだ「おなじそらのしたで」もそうだったけれど、老若男女問わず、誰の心にも響くような普遍性を帯びた作品を描くイメージがあり、それは本書も同様なんですね。
ブランコって、何故いくつになっても見つけると乗りたくなるのかという謎はともかく、ここで登場するそれは海の見える景観も抜群な丘の上にあって、そこを訪れる様々な人間模様を様々な季節や時間、状況を通して描くことによって、ここで登場するブランコが如何に皆から愛されていて、気のおけない友人のように人間や動物たちの心の支えになっているのかということを実感でき、それが正に皆にとっての大切な思い出という形で絵本化されたという印象でした。
漢字に振り仮名は付いているものの、詩とも捉えられそうな文章は内容的にも大人向けな上に、ページ数が絵本としては152ページと大長編で(文章自体は少ないのだけれど)、大人が少しずつ味わって楽しむには向いているが、子どもにはさすがに長すぎるか。ただ絵だけ眺めていても何かを感じ取ったり楽しめることは間違いないと思い、それはちょっと前の過去や、ちょっと先の未来を想像したくなるような生きた時間が流れている文章や絵の作り方がなんといっても大きいのです。
ブリッタ・テッケントラップの絵といえば、陰影を帯びたシルエットも美しい切り絵なんですけど、そうした専門的な事を知らなくても、ひと目見たら「うわーっ、きれいな絵!」と感じてしまうような、絵本を読まない人をも惹きつける魅力があるという点も、正に普遍的な作品だとは思うのですが、さすがにこのページ数は冗長に感じてしまうと共に、読み終えた後に何がいちばん印象的だったかと考えたとき、情報量が多すぎることによって、すぐにパッと浮かんで来るものが無かったりと、私の求めている好きな絵本とはちょっと方向性が違ったかなというのが正直なところです。時間をかけて、じっくりと描き上げた大作だとは思うんですけどね。