ALT236のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近話題の『リミナルスペース 新しい恐怖の美学』を読みました。
リミナルスペースやthe Backroomといったものは昔から聞いたことがありましたが、リミナルスペースについての系統的・網羅的な知識は全く持っていなかったので、新しい視点をたくさん持てました。特にネットの外―文学・美術・映画―にかんするリミナルスペースの萌芽や海外のネットコミュニティーの成り立ちから現在のリミナルスペース関連ゲームが生まれるまでを追いかけていくと、インターネットのミームとして認識していた画像に美的系譜を感じられるようになり、またリミナルスペース画像を見る楽しみが増えました。 -
Posted by ブクログ
恐怖心は余白や物語られなさによって形作られる。リミナルスペースを出発点として、恐怖や美学を語る点が面白い。2章からはネットカルチャーの変遷を追っていて、ネットの中で次々と作品がオマージュされ、ジャンルとして定義されていく過程が、人間の想像力のダイナミズムを地図に描いているようで非常に興味深かった。
この本を読んでいるうちに、自分でも「昔観たあの映画も、アニメも、ゲームも、リミナルだったのでは」と想像力を掻き立てられる。リミナルスペースとは、見る者に新しい視点を与えるもので、世界の見方、認知が不可逆的に変わるという意味ではミーム的な側面があるようにも思えて、ジャンルの奥深さを感じられた。 -
Posted by ブクログ
最近気になっているインターネット美学『リミナルスペース』について本格的にまとめられた本。去年はゲーム原作の映画『8番出口』が盛り上がりましたが、思えば昔の漫画で近いのあったよなと思い出しました。諸星大二郎の『地下鉄を降りて』です。デパ地下の複雑な通路に迷い込むという、76年の漫画にもかかわらずまさにリミナルな作品だったと思います。そう考えると、この本でも映画『シャイニング』『2001年宇宙の旅』も触れていましたが、往年の名作にもリミナルは潜んでいるのかもしれませんね。
(※2026/1/30追記)ペルソナシリーズってリミナルスペース・バックルーム要素がかなり絡んでいる気がしてきた。メメントスやパレス内で、心の怪盗団が改心をすることによって現実にいる悪人にも影響を与えています。そもそもゲームのダンジョンもリミナルスペースかも。異質で複雑な迷宮に迷い込んでますよね。 -
Posted by ブクログ
「The Backrooms」や最近だと「8番出口」などで注目されたインターネット美学の一つリミナルスペースについての本。
リミナルスペースとは謂わば建築空間における「不気味の谷」のようなもので、駅や通路といった日常空間がある瞬間に無人化するなどにより、見慣れた光景であるにも関わらず不安や恐怖を感じてしまうようなイメージのこと。
この本では、近年のインターネットミームとして消費されているものに留まらず、リミナル的な図像を集めて「リミナルスペース」とは何かということを読み解いていく。多数の図版を収録しており「リミナルスペース」の図録としても愉しめるつくるだが、テキストの方もなかなかのボリュームでこの手のつくりの本としてはかなり読み応えのある内容。 -
Posted by ブクログ
『Backrooms』は建築映画でもあるのだけれど、この本書の前半でちゃんと触れられていて一定の信頼のできる、かなりのオタク(もちろん褒め言葉として)によって書かれたリミナルスペース本。
建築、絵画、ゲーム、映画、といったアートフォームに触れられている。また過剰に接続してはいるものの結局アートという触媒、あるいはメインテーマと深く結びついている証左でもあるのかなと思った次第。
章分けされてはいるが、教養として観る必要あるものからないものまで、かなりしっちゃかめっちゃか。あと漫画作品が少なめで、流石にそこまでいくと収拾つかなくなりそうなので抑えたのかなと想像する。
リミナルスペースという単語を知ったのは多分GANTZとかだと思うけど、原初的にはみんなもっと言葉として知る前から知っていたのだと思う。64のゼルダとかマリオのステージ全般とかやたらと怖かったなと思ったり、眼科の屈折検査のトプコンの赤い家とかニデックの気球とかもその系譜なのかな。
人はその未知の領域に恐怖を抱くと同時に魅惑もされる。バックルームズの映画でクラークが引き返さなかったように。インターネット時代以降の発明であり、現象でもある。で、割とそれに慣れ親しんだ世代こそコミットしやすい、という印象も持つ。
前述したようにまとまりのある研究書とまでは言えないけれど、良い視点と切り口で書かれた書籍だと思いました。ちゃんと2020年代をキャッチしている、という点でも評価できるはずです。
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Posted by ブクログ
リミナル・スペースとは何か? をゴリゴリ論文的に分析・定義していくのではなく、類似の文化を探りながら少しずつ核心に近づいていく…という感じの本です。
リミナル・スペースが中心ですが、他のインターネット美学も紹介されるので、インターネット美学入門としても読めると思います。
「不気味の谷」現象とか精神分析とか、諸々の理論を援用してリミナル・スペースをメタ的に分析することは十分可能なのだと思いますが、そういう理屈っぽい興ざめなことにはしないで、あくまでリミナル・スペースの魅力を伝えることに注力している内容だと感じました。
ヴィジュアル盛り沢山で3時間ぐらいで読めてしまうのですが、読書というか作品集というか、不思議な読後感です。
ちょっとお高いところが欠点ですが、映画とかゲームでもやるような感覚で読み始めるのが良いのかも。 -
Posted by ブクログ
リミナルスペースについてのまとまった論考。帯に恐怖とあるがむしろ不気味さ・得体の知れなさに着目して映画、ゲーム、アート、漫画、インターネット、歴史、廃墟などと絡めながら述べていく感じ。硬く、ペダンチックな文章で読むのは結構つらくところどころ読み飛ばした。読みものとしての面白さは微妙だったが資料集としては貴重。
サイレントヒル、ICO、キリコ、ホッパー、デビッド・リンチ、キューブリックなどが絡めて紹介される。ツインピークスのロッジやシャイニングのホテルはたしかにリミナルスペース的だ。
駅、空港、学校、病院、映画館、ホテル、ショッピングモール、学校、プールなど本来大勢人がいるはずの場所に人がいない。その寂しさがメランコリーを誘発する。自分はリミナルスペースにノスタルジアは感じない。心細さはある。終末の予感とも通じる。不思議なのは無機的な人工物の中にいないと惹起されないこと。山の中や海辺に一人きりでいても寂しさやメランコリーは感じない。鳥の声や波の音を聴けばむしろ心は晴れ晴れとしてくる。リミナルスペースとは都市に特有の空間なのだ。
リミナルスペースの隆盛に寄与しているのはインターネットだろう。CGによる創作やSNSへの写真投稿。#リミナルスペースでXを検索すると色々な画像が出てくる。 -
Posted by ブクログ
ゲームなどのインスピレーションを得るためのネタ集としては、結構幅が広くて面白いです。
90年代ぐらい昔のま映画とかも引用してるし、最近のゲームだとか、昔からある絵画なども引き合いに出してきて、資料としてもインスピレーションがあるものだと思いました。知らないゲームだとかプレイしたくなります。あと、音楽のジャケット CD のジャケットとかも引き合いに出してきたり、あらゆる作品からメディア問わずリミナル性が感じられるものを拾ってきていて、手探り感があるというか、ワクワク感があるこの本自体が面白かったです。書籍としては「紙葉の家」っていうのも読んでみたいなと思いました。