浜辺ふうのレビュー一覧

  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    イ・ランさんとは生い立ちも境遇もまるで違うのだけれど、その世界の捉え方はものすごく腑に落ちる。本作は最初から最後まで死に満ちていて、ほとんどの章で涙をこらえられない。

    家父長制と男児選好思想に染まりきったイ一族の中にあって、「私は、自分の物語を世の中に示すことのできる狂女でよかった。だけどわたしだけではなく、お母さんの狂女の歴史もとても重要だから、広く世に知らせたい。」と言うランさん。そう、お母さんも本当にかわいそうなんだよ…。宗教に傾倒する理由が「聖書に出てくる唯一神=完全な父親像」で、宗教を持たないわたしでも深く納得してしまった。

    お姉ちゃんの死も本当にやるせない。ランさんは、長女病と消尽死と称していたけれど、これにも深く納得。「もう何の借りもないよ、この世に。」

    それでも本作はふしぎと悲愴感が薄く、かなしみもどこかあかるい。脳腫瘍が疑われ、日記に百回以上も「死にたい」と書いてきたランさんは喜ぶが、ふと口にした独り言は「惜しい……」。

    ジュンイチからのメッセージ「ご飯をちゃんと食べて。ご飯を食べると力が出るでしょ」は、イ・ランさんの心ばえでもあり、読者からの祈りでもある。

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    2026年01月31日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    「お姉ちゃんの長女病」が心に残った。
    全編を通して出てくる家族という呪いに力尽き果てた姉が印象的だった。
    姉にはどうしても大好きな家族が必要だったけど、必死に守ってきたその家族は姉のことを搾取することしか考えていなかった。
    本当に誰も正しく愛する術を学ばなかったし、持たなかったんだなと思う。

    著者の素直な言葉から、これまでつけられた無数の傷から回復しようともがく思いがよく伝わってきた。愛すべき友人たちがどんどん失われていく箇所も壮絶だった。
    著者の人生に穏やかな日が1日でも多く訪れてくれることを願ってしまうような、祈ってしまうような本だった。

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    2025年12月15日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    感情や体の感覚まで手放して、生きなければならなかった__家族という地獄の中を。
    彼女が強く欲した"愛"と"死"が切実に鋭利な言葉で綴られていた。このヒリヒリとした感覚は自分の痛みに繋がったからなのか。無数の傷を抱え私たちは生きていく、死に向き合うことは生に向き合うことと等しい。

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    2025年10月26日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    苦しい。けれど傷を見せてくれるように紡がれる言葉から目が離せない。私は幸運なことにとても死と暴力から遠い人生を今のところ歩んでいる。本当に大切な人を失ったことがまだなく、自分自身も一度も死にたいと思ったことがない。だからこそ、こうして身近な死をたくさん経験して、失いながらも生きる言葉にしてくれていることが本当にありがたい。


    何より、「カッコの多い手紙」を読んで以降、ずっと猫のジュンイチのことが気がかりだった。
    この本の目次を開いて、ジュンイチが先に眠ってしまったことを察して、まだ本文を一文字も読んでいないのに泣いた。最後の方の、恐らくジュンイチとの別れについて書かれているであろう箇所を読むのが怖かった。

    だから、「確かな愛をありがとう」で“こんなに満たされた死にまた出会うことがあるだろうか”と綴られていたことにものすごく救われる想いだった。悲しいだけの喪失を予想していた自分が恥ずかしくなるくらい、ジュンイチは愛と誇りを背にその生涯から自由に去っていったし、ランさんもその愛をしっかり受け止めて、ジュンイチがいないけれどいる日々を今もしっかりと生きている。
    これを書きながらまたボロボロ泣いてしまう。この本の187ページ以降はこの先何度読んでも泣くんだろうと思う。それでも、いつか来る愛する命との別れが本当に恐ろしくて耐え難い夜には何度でも開きたいと思う。何度でも私を救ってくれると思うし、言葉の通じない家族との時間をより一層かけがえのないものにしてくれる言葉たちだった。

    しばらくはもうこの表紙を見ただけでも泣くかもしれない。

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    2025年10月05日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    最後にジュンイチに泣かされた。
    解離しているのは心と体ではなく、現実からということかな?もう一回読まないとかも。

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    2026年09月27日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    自分の内側にある記憶や感情、そもそもどこから来たのかわからないイメージ(のようなもの)を、これほどあっけらかんと、或いは切々と晒して‥あまりにも無防備な姿が繊細で危なっかしいのに、強靭で凄味があるのが印象的。ジュンイチが居てくれてよかった。斎藤真理子さんの翻訳が淡々として、そこがまた胸を打つ。金原ひとみさん推薦。

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    2026年09月18日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    ネタバレ

    「ねぇ、ハンダ、お祈りってどうやってやるの?」
    ハンダは「声に出して、呼びかけて、話せばいいの」と簡単に答えた。<「死を愛するのをやめようか」>

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    2026年08月19日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    なかなかの地獄一家のお生まれ。でも冷静に自分の感情を分析して、飲み込まれないようにサバイブする能力に長けていると思った。命のやりとりをあまりにも身近に経験しているからこそ研ぎ澄まされていく芯みたいなものを感じる。

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    2026年01月31日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    「自分の感情に、もう決まっているシンプルな名前があるともっと早く知っていたら、いろんなことが違っていたのかな。みんな、この世のすべてに名前があることを知っているんだろうか。目に見えないものにも名前があることを知っているのかな。」

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    2025年11月22日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    死者との関係を紡ぎ直すことあるいはその意味合いを変えてゆくことが生きるものにできることなんだなと思う。
    精神と身体の変化を感じ、見つめ、言葉にすることが人間の営みだと語る覚悟とか切実さが詰まったエッセイだった

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    2025年10月09日
  • 声を出して、呼びかけて、話せばいいの

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    出張で行った高松市の素晴らしい書店、ルヌガンガで購入。

    血縁との葛藤の苦しみや寂しさを知っているつもりだったけれど、著者の家族の苦しさを読むと、自分は甘えてるのだろうかと思う。

    猫のジュンイチとの二十年間の愛を誇らしいというランさんを羨ましく思った。

    子どもとの関係は、自分が人間として欠けている部分、未熟な部分に向き合う辛さもあるし、親にしてもらえなかったことを、見よう見まねで親として子どもにしてあげるときに、苦しい気持ちになることがある。相手が別個の人間だから、ずっと触れていられる時間は赤ちゃんから幼児期くらいまで、その分言葉で話し合って、分かち合えることも多いのかもしれないけれど。




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    2025年10月27日