木野寿彦のレビュー一覧

  • 降りる人

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    心のチカラを抜いて生きて、生きていくって事は、難しいんですかね

    何らかの仕事をして、お金を稼がなきゃ生きていけないから

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    2025年11月04日
  • 降りる人

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    派遣の期間工社員の宮田と浜野。
    機械に追われて高い湿度と騒音の中で毎日を過ごす過酷さを、夜食のパン騒動や、盗まれた自転車や、アダルトDVDを集める浜野、自転車小屋の彼女、男女問題に不思議な感性を持つな田中、機械の作業速度が増し疲弊していく宮田の姿で描いているのだが…。
    暗い職場環境であり、工場では虐げられている人間関係でありながら、この小説の2人は悲壮感を感じさせず、特に浜野は淡々と工場の作業を受け入れていく。
    ある事で派遣工場をクビになった2人のこれから…を様々に想像してしまう余韻溢れた結末は、宮田と浜野の世界観を見事に締め括っていた。
    不思議な面白さがあった。

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    2025年10月29日
  • 降りる人

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    バスに乗り工場に行き単純作業をこなし期間工として働く。
    P9
    〈手元に何かが流れてきて、何かを作り、何かを手放している〉
    ミスをすればチェックを行う正社員の
    「見逃しですよー」の声が届く。
    休憩時間に配られるパン。
    取る順番にも序列がある。

    主人公・宮田の友人、浜野の飄々としたところがいい。
    掴みどころがないような
    それでいて、ハッとするようなことを言ったりする。

    パンのエピソードも妙に惹かれる。
    こう書くと失礼かもしれないが
    吉田修一さんの初期の頃の作品を思い出した。

    一読者としてお願いをするなら
    この先も、変に捻らず素直な気持ちのまま書いてほしい。
    (偉そうに言ってみました)

    何か

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    2025年11月17日
  • 降りる人

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    「映画「PERFECT DAYS』に対して「IMPERFECT DAYS』」と選評で書かれている方がいたが、まさにそんな感じ。これがデビュー作とは凄い。2作目以降も楽しみ。

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    2025年10月26日
  • 降りる人

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    期間工である宮田と浜野の友情と一年を描いた小説、というと何だか爽やかなイメージをされそうだけれど、アダルトビデオだとか変なオナホだとか自慰指南書といったものがストーリーの歯車として使われていて、全体の空気感は猥雑でじっとりと湿っている。ただその部分と淡々と書かれる文章ががっちりと噛み合っていて読み心地は不思議と良い。粗雑な職場環境で作業をこなしていく陰鬱な日々の中で、ふと垣間見る浜野のとぼけ具合やおかしみが、意図以上のものに増幅されることなく受け取れるサイズで宮田に届いているのがしみじみとした余韻を読後に残す。まったくタイプが違う小説ではあるけれど、私は読んでいて『成瀬』シリーズの成瀬のことを

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    2025年10月22日
  • 降りる人

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    ​静かに魂を揺さぶられる、生の哲学が凝縮された一冊。

    ​この物語は、社会の競争から疲れ果て、「他に生きられる場所がない」と諦観した宮田の内面を、極めて繊細に描き出します。華やかな展開は一切ありません。あるのは、単調な工場の流れ作業と、絶望と「まだやれる」という抗いが、静かに終わりと始まりを繰り返す主人公の心の声だけです。

    ​心身を「透明な存在」にすることで安息を得ようとしたはずが、友人・浜野のユーモアと哲学は、逃げ込んだはずの場所で、かえって「生きることの責任」を強く突きつけます。最も困難な選択、それは「自らの生を能動的に選ぶ」こと。彼の心は常に、自己の罪悪感と、凡庸な日常に潜む「大したこ

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    2025年10月20日
  • 降りる人

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    一貫して変わらない筆者の温度感と主人公・宮田の温度感。36℃を下回ることも上回ることもなく、それが心地よい。期間工として働く宮田に起こる事象を、レッテルという名の囲いで限定するのでなく、付箋を貼ったまま読者の手に委ねる書き方は計算された巧さだなと感じた。ただ同時に、冲方丁が選評に書く通り、食器棚の上に置かれた煙草などの小道具の必然性が煮詰まりきっていないというのは全体を通して思うところ。これからの作品を楽しみにしたい。

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    2025年10月11日
  • 降りる人

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    淡々とした工員の日常が描かれる。大きな事件も起こらず、アパートと工場を行き来し、休日が終わればまたその繰り返し。それなのに読むことをやめられないのは、時折キラリと光が見えそうになるからか。実家での母とコロッケを作る場面やアパートの駐輪場での女性とのやり取り、病気の友人を見舞うために粥を作るときに見える彼の気持ち。見えそうで見えないものを見つけたいと読んでしまったのだろうか。余韻の残る作品。彼に寄り添ってくれる人がどうかこの先いてくれますようにと祈らずにいられない。

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    2025年09月30日
  • 降りる人

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    心身ともに疲弊して仕事を辞め、山の中の工場にて期間工として働く30歳。つくっているのはベルトの部品。一日中同じところに立ち、流れて来る製品を同じ手順でチェックするというだけの、圧倒的流れ作業の単純労働。現状に満足している人は社員を含め誰もおらず、だから、社員と期間工の間で、残業前に支給されるパンを巡る、本当にクソほどどうでもいい小競り合いが勃発する。自転車が盗まれたり、それがきっかけで女の人と知り合ったり、ほのかな恋心を抱いたり、それがずたずたに引き裂かれたり、寄ってくる期間工がいたりの一年。あることがきっかけで、退職に追い込まれる。

    哀しみしかない期間工の生活を、淡々と描写している。ただた

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    2025年09月29日
  • 降りる人

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    喜多川奏氏の作品と違ってそのままでもいいんだよと隠な感じと淫な感じが混ざってどんどん引き込まれていく。性的描写が多くて最初は苦痛だったのがゆるい感じで進むので気にならなくなり男友達とはこんな感じなのかと新たな発見。

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    2025年11月06日