本書の初版を読んだ時の衝撃は未だ覚えている。自分自身の動き方を変えてくれた本の一つと言っても過言ではない。ポイントは正直メソッドの方にはない、というかどうでもいいし、誰にでも自分のやり方があるのでそれでいい。7つの習慣など、こうしたティップス系で長く読まれているのは、本質的な問題にアドレスできているからだろう。本書も、めちゃくちゃクリティカルな問題にアドレスしていると思った。それは、心ここに在らずの状態になっている場合、その目の前に集中していなければいけない状態をミスする可能性が高いということだ。
また、時間を管理するということがもっとも大事であった生産管理、単純なタスクの積み重ねで仕事をしたと言える時代は終わっている。日本人には当たり前の概念だが、水のような心、つまり澄んだ水のような心もちで物事に対峙することを指しているのだけれど、この状態を、リラックスしている状態と解釈している。実は、ちょっと違うのだけれども、感覚的にわからないため、こういう表現になっているものと思われる。特に、「気になること」があったとすると、望んでいる結果、次に取るべき行動、タイミングを示すリマインダーがないことで、心は休まることなく気になっている、つまり引っかかり続けるのだと。これは、まさにそうで、驚くべきことにこうしたことが多い。一方で、効果的に実行に移し、次々進めていると、つい先回りしたり、相談せずに実行に移したりしてしまう。関係者、だったり大事な人と、しっかり話し合うと言った行動は、スキップしがちになる。この一点が懸念点だろう。今大事なのは、行動自体を管理、進めるということだ。
具体的なメソッドは、もうやり尽くしているので今更ではあるが、気になっていることを把握する、何を意味するか・対応を見極める、内容を整理する、行動の選択肢を更新する、何をすべきか選択する、ということになる。本書のアプローチの最初の肝である。例えば、医療費の会社負担の精算があったとすると、気になることとしてはその精算作業だ。そこで、メールでインボイスを会社のメールに送付する。これでTODOは終わった。あとは、次に会社でメールを開けた時に、印刷するなり、アタッチして回付するだけとなる。作業としては3分程度だが、これが気になっている状態を数日続けた場合のストレスはすごい。
プロジェクト、つまり1アクションでは目的に到達しないタスクを指すのだが、についての管理方法は素晴らしい。この大きなプロジェクトでなくとも数珠繋ぎのようにアクションが連なっていくものをプロジェクトと定義したことによって、整理がはっきりした。100こくらいのPJwピーク時には持つことになる。仕事においては、このプロジェクトリストは、メールの受信箱に入らない外のフォルダの数でわかる。受信箱の直下が自分のプロジェクトリストだ。この方法の凄まじさは、やっているプロジェクトが一目瞭然であることと、トレースしなくとも管理されている。
優先順位を設けず、やるというアイテムは片っ端からやっていく。そうすることで、一歩からならず前進しているが、これがもたつく人と大きな差になっていることに気がついたのは、結構経ってからだ。行動のリマインダーも、非常に使える。これやらないと、と思った時に、自動的にスケジュールに入れて忘れると言うのは良い手だ。悦にいってしまったので型を意識しすぎたGTDは、ちょっと使いにくいところがある。やや、この型の美しさみたいなものに執着しすぎているからだ。創業した人みたいなものなんだろう。実は、いったんインボックスに入れるよりも、入れずにそのままスケジュールに入れてしまうなど、ストレートに処理するかどうかを瞬時に決めてしまうと言う手がある。フレキシブルに活用すると、本当に力を発揮するGTDには感謝しかない。