グレイス・M・チョーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
筆者のオンマが今の世の中を見たらなんと言うだろう。MAGAに対しては眉間に皺を寄せ、The summer I turned prettyの人気には「オモ!」と驚くだろうか。
晩年(読後直ぐの今この言葉を書くのがすごく寂しくて哀しいけれど)、筆者と食事を共にした3人目の母の様子は、1人目の時のエッセンスを残しつつ2人目の時の儚さをはらんでいて切なかった。
精神疾患におけるリカバリーは、病気になる前に戻るのではなく病気を経て新たにアップデートすることとされるけれど、その様はまさしくリカバリーで、伴走する筆者の苦慮や省察の言葉には胸に迫るものがあった。
PTSDを抱え、命からがらどうにかたどり着い -
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Posted by ブクログ
慰安婦問題。これは今からほんの70年前くらいのお話。戦争が起こると日本以外の国でも同じようなものはあったようだが、強制的もしくは騙される形の人権侵害として慰安婦問題はあるのだと思う。朝鮮の女性は世界大戦時は日本兵を、その後の朝鮮戦争時には母国と米軍の兵が相手になっている。
著者の社会学者は、母の生い立ちを巡る長い長い旅をする。深いえくぼが美しい母が決して話さなかった若い頃の話。その母が異国の地で病になり、懸命に寄り添う娘。
自分の意思で海外生活を選ぶのとは違う。生きていくためであったのに母国で蔑まれ、居場所がなく新天地を目指す。だがその地がアメリカなど白人優位の国だとしたらと想像してみると -
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Posted by ブクログ
筆者のグレイス・M・チョーは韓国人の母と米国人の父の間に生まれたハーフ。父は米軍人で韓国の米軍基地に駐留したことがあり、そこで母と結ばれ、彼女が生まれた。
この本はその両親、特に母親との思い出を、母から習う韓国料理との思い出の中で綴る。ただ決して「心温まる」という感じのものではない。
グレイスの母は1941年に大阪で生まれたコリアン。大戦後の朝鮮戦争を経て、60年代に韓国に軍事政権が生まれた頃、韓国政府は米国軍人相手の売春行為を公的に認めており、母親はそこで娼婦として働いていたと聞かされる。
父と出会って、グレイスが生まれ、アメリカに渡り、父の生まれ育ったワシントン州チョへイリスという小さな町 -
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Posted by ブクログ
読み始めた時、あまり内容に入れませんでしたが
130ページ超えたあたりから少しずつ
内容と作者の息が合ってきたのではじめの方で
諦めずに読んでいただきたい作品です。
どこにいても、故郷の味は格別!!
そして、料理を通じて色々な人(国)と関わりを持とうと頑張ってきた作者のお母さんのお話。
食の力は偉大だと改めて感じるとともに
自分の家の味、母の味を大切にしたいと思いました。
それだけでなくこの本は戦争を通じてセックスワーカーとして働いた作者のお母さんの生き様、
戦争が生んだ、戦争が終わっても終わらない苦しみを描いています。
戦争はその時だけではなく、人々に大きな傷をもたらす、、、そのことは忘れ -
Posted by ブクログ
とても個人的な読書体験でもあった。
筆者同様、私も幼児の頃に両親と共に生まれた国から育った国に移住した。ネイティブ言語や文化、常識を親と共有していないことによる相互不理解、衝突、もどかしさ、時に疎外感。周囲の無邪気な言葉に容易く引き裂かれる、複雑なアイデンティティ。そして大人になってから真に思いを馳せることができる、両親の味わってきた苦労と差別。もちろん筆者と私は全く異なる人生を歩んでおり感慨も必ず異なるのだが、シンパシーを感じた。
そんななかで、筆者は主観性と客観性のバランスを巧みに取っていて、淡々とした「腑分け」としても、切実な私小説としても、読み応えのある作品となっている。筆者の母の精神