駒田隼也のレビュー一覧

  • 鳥の夢の場合

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    ネタバレ

    生と死、現実と非現実。
    そういうものが曖昧に混ざり合っていくような感じがした。

    文章の中で一人称と三人称が混ざる箇所があり、始めは読みづらかったが、次第にその人物との境目が分からなくなるような不思議な感覚になった。
    離れて見ていたはずなのに、いつの間にか「わたし」になっていて、また「わたし」ではない自分になっている。
    そんな感じがした。

    私たちは、あるはずのものは必ずあると信じてしまっている。
    疑うこともなく、当たり前にあるのだと立ち止まることもない。
    しかし、この小説の中には「ないはずのものがあって、あるはずのものがない」。
    でもそれは私たちが気づいていないだけで、この現実にもあるのかも

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    2025年07月26日
  • 鳥の夢の場合

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    結局蓮見とのあの日々はどこまでが現実?戸惑いと興味深い会話の数々。人の思考がいかに移ろい易く曖昧であるかを突きつけられると同時にそれを肯定してくれる安堵感が不思議と残る。理解できずとも何となくに委ねながら読むのもいいかと。芥川賞候補作。

    瞼の話、青信号の話、伸びる腕の話など。自分の心にも確かにあった記憶が共感となって引き出される話がたくさん出てきてとても面白かった。

    〈心に残った言葉〉
    ”あるはずのもんがないのとおなじ程度には、ないはずのもんもあるというわけ。”

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    2025年09月29日
  • 鳥の夢の場合

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    芥川賞候補作
    ふわぁんと話は始まり、そのままゆらゆらと進む
    途中で現実に引き戻されて話のスピード感も上がってそこで色々分かることもあるんだけど、逆にそれがノイズに感じるほど不思議な心地よさがあった
    まさに環境音BGM

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    2025年07月05日
  • 鳥の夢の場合

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    第173回芥川賞候補作
    第68回群像新人文学賞受賞作

    実に幻想的な作品……とも言えるが、
    心臓の「拍」が止まってしまった男が、
    シェアハウスで同居する女性に、

    「おれ、死んでもうた。やから殺してくれへん?」

    と言う。

    そこで、まず病院行けや、
    と思わず突っ込んでしまいそうに(笑)

    最後までふわふわしていて掴めず、
    まさに鳥の夢のような、曖昧な作品。

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    2025年11月17日
  • 鳥の夢の場合

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    ネタバレ

    なんとも不思議な物語。これは鳥(文鳥?)が見た夢なのだろうか。シャアハウスで同居する蓮見が「心臓が動いていないから殺してくれ」みたいなことを言うところはショッキングでもあり、それを普通に受け止める同居人の初瀬の言動もフワフワしている感じがする。様々な対立構造が小説の中にあるような感じもするが、なんかはっきりしない。純文学らしいと言えばそれまでだが、個人的にはさらっと読んで終わってしまった。

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    2025年08月27日
  • 鳥の夢の場合

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    芥川賞候補ということで気になって読むことに。なにかがおかしい感じがするのにでもいまのその異常さは初瀬や蓮見には必要なものなんだろうな、という感じがする。死んでから始まる関係もあるんだね、もっと早ければと思う気持ちもあるけど人生はままならないものだし。遺体が見つかってくれたことは救いだと思いました。日本文学っぽかった。(読んでてちょっとかなり眠かったけど…)

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    2025年08月11日
  • 鳥の夢の場合

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    該当なしだった芥川賞直木賞の候補作を買って本屋を応援しようキャンペーン。

    芥川賞の方の候補だからストーリーが平坦なのはもうそういうものとして、スタイルが合わず。変則的なリズム感、括弧書きのない台詞、句点の放棄などなど全体的に型に嵌まらない文体なんだけど、少しくだけすぎで、演出上の効果を狙ってるのか単純に下手なのかがわからない。同じ芥川賞の『推し、燃ゆ』も同じ感覚だったけど、こういうのが「今っぽい」って評価なのかな。

    自分だけが友人の過去の発言を覚えていて「”使命感”に似た気持ちを持った」とか、本来の語義から遊離した、ニュアンスの解釈が読者任せな言い回しが多いのも気になる。一行一行噛みしめる

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    2025年07月19日
  • 鳥の夢の場合

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    群像6月号から
    出だしから哲学的なスタートで好みである。なんとも静かで穏やかな時間が流れ、ずっと幻想的なのだが、急に物語が走りだす。もう一回読も!と思わせる。あると思います!

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    2025年06月23日