京都新聞取材班のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この事件が報道されたときに、人間はこうも残酷なことができるのか?と思った。実に痛ましい殺人事件だった。2019年7月18日昼前、京都アニメーション第1スタジオに青葉(当時41歳)が侵入、バケツからガソリンを建物1階にまいてライターで着火したことにより、爆燃現象が発生した。結果としてスタジオは全焼、社員36人が死亡、33人が重軽傷と、日本国内の事件では過去に例を見ない大惨事となった。
その4年2ヶ月後の2023年9月5日の公判で、青葉は「こんなにたくさんの人が亡くなると思っておらず、やりすぎたと思っています」と述べた。そこには、謝罪もなかった。
その遺族のインタビューが載る。実にいたたまれな -
Posted by ブクログ
事件の報を聞いたときは、本当に「なんてことをするんだ」と思った。
些少ながら、京アニに寄付をした。
本書を読んでいる最中も、所々で悲しみに襲われた。
なぜこんな事件が起きたのかを知りたいと思って読み始めたが、犯人の偏ったものの見方による影響が大きいと感じた。
犯人にも人生の分岐点が幾つかあったようだが(それこそ犯行の直前も)、結果的に事件を起こしてしまった。
何か一つの原因があるわけではなく、再発防止といっても難しいところがあるが、「無敵の人」をできるだけ作らない、人生のレールを踏み外した人を安易に排除しない、といったところから始めていくしかないのだろう。 -
Posted by ブクログ
青葉は統合失調症を病んでおり、そのせいで問題行動を起こしてしまい、周囲から見放されさらに孤独になる…という悪循環に陥っていた。事件前も死刑判決後も現実と妄想の区別がついていないらしく、いまだに「応募した小説を京アニにパクられた」と思っている。京アニ事件以前に前科二犯。いわゆる「無敵の人」だった。
「人とのつながりがなくなったとき、犯罪行為に走る」
「この年になって思うのですが、叱ってくれる人は大切だな、と思います」
青葉自身がそう述べている。人間関係の大切さ。
京アニの事件から数年後、大阪の心療クリニックで起きた放火殺人事件の犯人のスマホには知人の連絡先は1件も登録されていなかったという。 -
Posted by ブクログ
期待通りに期待を超えてくる重さ、苦しさだった。
被害者、その家族の有り様は経験がないので想像を超えるだろうものであって、その悲しみや苦しみ、前を向く葛藤はリアルな描写がされていて、解像度高く…と冷静な分析をするのも憚られる。目頭は何度も熱くなった。
いつもメディアとは何なのかと思う。我々は知りたいだけなのか、それが何かインプットになるのか。社会は再発防止を啓発しているのか。
そもそもメディアという社会は会社で成り立っていて単なる資本主義ではないか。
--
何より苦しくなったのは、被告の描写。
言葉を選ばず「やっぱり」である。彼の人生は苦しい。生を得た瞬間に獲得したものが、大きく作用していく -
Posted by ブクログ
京アニ事件の真相を探ったノンフィクション。
知りたいと思う気持ちもありながら、あまりのむごさにその記事を見るたびにおぞましさと憎悪を感じて遠ざけたいという気持ちが同居します。
犯人の青葉被告の暴挙に至るまでの道筋には少しだけ、それこそほんの少しだけ同情の余地もありますが、自分勝手な妄想にとりつかれた末のとても理不尽な犯行です。
この本を読んでも犯人に理解を示すことなど到底できません。寛大な心をもって犯人と接しようとする被害者の遺族に驚き、敬意を持つばかりでした。
死刑によって何も解決されることもないと思います。が、それでもこの制度が無ければ納得できない心情も、ものの摂理もあるのではない -
Posted by ブクログ
被害者、遺族の方々、青葉の幼少期~生い立ち、青年期~事件を起こすまでの人生、友人から見た青葉など多方面からの見解が書かれた内容でした。
青葉は高校の頃が一番輝いていて、人間らしい充実した生活が送れていたように思う。
その後、社会にうまく適応できず、事件を起こすまで人生が転がり落ちるように転落していった人生。
そこには元々被害妄想の性格があり、自分の中の凝り固まった考え方が妄想を増幅させ、一人よがりの妄想に取り憑かれた結果、このような思考回路になっていったのではないか。
確固たる確証もないのに、それがあたかも真実と決めつけるのは本当に恐ろしい事。
自分一人の思考だとそこで完結してしまうんだろう。 -
Posted by ブクログ
【目次】
はじめに
1.暴走
現場近くの公園/惨劇/逃走/娘との対面
2.喪失
愛されたアニメーターたち/涼宮ハルヒにそっくり/奪われた「未来」/『氷菓』に託した青春/それぞれの名前
3.遺族
メディアスクラムのなかで/風化への思い実名か匿名か/こんな息子がいたのだと/名前は誰のもの?/歳月の流れ/
4.半生
初公判/「バオウ」と呼ばれた少年/離婚、そして貧困/青葉の青春/東京での夢/父の死、そして母との再会/真面目にやっても報われない/流転の日々/共鳴/紙一重の怖さ
5.執着
京アニとの出会い/「LOVEであります」/ナンバー2/京アニ大賞/包丁を突きつけて/無差別殺人/京都への -
Posted by ブクログ
京都アニメーション放火殺人事件を、地元紙による6年にわたる取材から書き記した一冊です。なぜ事件に至ったのかから、死刑が確定するまでを、様々な立場の人への取材を通して、克明に記しています。
重い一冊でした。亡くなった36名の一人一人に、家族がいて、生活があって、夢もあって。そんな当たり前のことに思いを馳せ、改めて、その被害の大きさを思い知りました。
青葉真司は、無敵の人だったのだと思います。その最後の歯止めとなっていたのが、訪問看護師だったのかもしれない、とありました。そんなギリギリの状態を、どうにか持ち堪えられるように、良い方向に向くように、今日もどこかで、危険を承知で支えている人がいると -
Posted by ブクログ
京アニ放火殺人事件を追ったルポ。
こう言う本は、本当にやるせなくなる。泣いたわ。夢を追っていた人たちを無意味に殺し、夢に救われていた人たちを無惨に殺した。
生い立ち、色々あるし、自分の創作が客観的に見れない気持ちもわかるが、そんなの、世界中の何十億人が何十億の何乗も経験している。
精神疾患の診断もあったようだが、疾患があったから歪んだのか、歪むほどのことがあったから疾患を発症したのかはわからない。
人は、壊れる。
案外簡単に壊れる。
壊れたら元には戻らない。その先があるだけで、壊れたままなのか、再生できるのかそのほかなのかは、いろいろだと思う。
みんなそれぞれだ。
壊れたことには同