岩間一弘のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ日本の軍国主義にも深く関わる中華料理のルーツを膨大な文献から簡潔にまとめられており、加害国側としての複雑さを感じつつ興味深く読んだ
(加害側の意見と単純に一括りにするのも難しい)引き揚げ者が抱える満州への思いも共有されていて当時の肌感がより想像しやすかった
個人的にサントリーの烏龍茶の広告が昔から好きだったんだけど、現実問題を直視せず理想の中国を描く点でオリエンタリズムの再演にすぎないという指摘は本当にその通りって感じ...(理想の中国を通じて自分たちの青春時代を思い出しているのもグロテスク)
当時既にあったオリエンタリズム批判を引き受けず、傍観者として理想の中国を描くのは糸井重里的な物語消 -
Posted by ブクログ
日本での中華料理の広がりは、それこそ日中・日露戦争以降の日本の大陸への帝国主義に始まり、敗戦後の引揚げの方による、日本での新たな仕事としてやり易かったのではないかな、くらいに茫洋と思っていました。
そういった茫洋とした点や、都市伝説的に広まっていた説を、膨大な文献を整理して、その由来、日本での広まり、日本に最初に紹介した人などを整理したことで、なるほどなと読み進められる良書。
既に日本のものとして独自の進化を遂げた、ジンギスカン、ラーメン、焼き餃子などをそのルーツを帝国主義に結び付け、満州などの時代のノスタルジアと贖罪の気持ちとを喚起させる食べ物であるとするのは暴論という意見もあるかもです -
Posted by ブクログ
読みながら思い出したのは「つくられた伝統」という言葉。イギリスの歴史家エリック・ホブズボームとテレンス・レンジャーが提唱している概念です。古くから存在していると思っている「伝統」の多くが、実は近代以降に「発明」されたものであるというもの。社会制度についての視点だと思っていましたが毎日の味覚についても当てはまる、と思いました。そういえば湯澤規子『「おふくろの味」幻想』という新書にも重なりました。本書の面白いところはそこに日本の帝国主義とポスト帝国主義の中での日本人の心情の流れ、という論点を持ち込んでいるところ。満州事変から日中戦争を通しての中国大陸に対する加害者意識、被害者意識、そしてノスタルジ
-
Posted by ブクログ
<目次>
序章 中華料理に込められた対中・対日感情
第1章 肉まん~近代的な食文化としての中華料理
第2章 ジンギスカン料理~満洲名物から北海道遺産へ
第3章 餃子~満洲の記憶とポスト帝国主義
第4章 ウーロン茶~忘れられた台湾文化
第5章 シュウマイ・ラーメン・四川料理」~郷土料理の創造とノスタルジア
終章 世界史のなかの日本中華料理
<内容>
近代の歴史のなかの中華料理を分析していく。日本における中華料理(ウーロン茶をそう呼ぶのかは別にして)はいずれも本場の中華料理ではない。戦争の引き揚げ者や日本に帰化した中国・台湾人が、日本人の口に合うようにアレンジしたもの。そこにノ