石原莞爾のレビュー一覧
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なぜ日本陸軍が満州を欲し、華北を欲し、東南アジアを欲したのかその始まりの理由がわかる。
彼らはトーナメントが存在すると思い込み、かつその参加権を日本が手にするべきだと思っていたのだ。
ひとつになった世界は科学による恐怖の支配が想定されている。
とんでもなく早い航空機が跋扈し、大量殺戮兵器が睥睨する世界であろうと。
それだけでは倫理も道徳も無い無機質な冷たい世界に感じる。
そんな世界に天皇による御心が加われば、
精神的にも科学技術的にも完成された世界統一が成し遂げられると思っていたのかもしれない。
石原にとって日本によるトーナメント制覇こそ理想の完成だった。 -
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メモ
英国は第一次欧州戦争の勝利により、欧州諸国家の争覇戦に於ける全勝の名誉を獲得しました。しかしこの名誉を得たときが実は、おしまいであったのです。まあ、やれやれと思ったときは東洋の一角では日本が相当なものになってしまった。それから合衆国が新大陸に威張っている。もう今日は英帝国の領土は日本やアメリカの自己抑制のおかげで保持しているのです。英国自身の実力によって保持しているのではありません。(p.42)
どうも、ぐうたらのような東亜のわれわれの組と、それから成金のようでキザだけれども若々しい米州、この二つが大体、決勝に残るのではないか。この両者が太平洋を挟んだ人類の最後の大決戦、極端な大戦 -
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真の世界平和のためには、犠牲を厭わずそれこそ全力での戦争をしなければならない。そ、そんな…。もちろん賛成はしかねるけれど、完璧主義的に平和ってものを考えて、真摯に戦争の意義を考えるのであれば、こういう結論になるのかも。だからこそ戦争をしなくてはならない、になるか、だからこそ戦争はしてはならない、になるか。その部分だけが結局賛成しかねる部分なんだろう。いまの世の中の戦争ってのは、結局石原莞爾ほどの真剣味を持たずにやっている。だからこそ、なんだかもっと罪深い気さえする。
気に入った部分の引用
「皆さんの中にも、秀才と秀才でない人がありましょう。けれどもたいした違いではありません。ナポレオンの大成 -
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書店でたまたま見つけて興味を持ち、購入しました。興味深かったのは、古代、中世、近代、現代の時代ごとに、西洋の戦争の歴史を分析し、戦争の性質を決戦戦争と持久戦争に分類したり、兵制を国民皆兵と傭兵に分類したりして、最終的には、東洋文明の日本とアングロサクソンの西洋文明の代表であるアメリカとが、「世界文明統一」のための「最終戦争」を行う、と予言したところです。戦史の分析については、西洋に限定されており、上述のように一般化できるのか、判断がつかないところもありますが、1つの考え方としては理解できます。また、本篇は昭和15年に発表されたようですが、そうすると、その一年後の12月8日に真珠湾攻撃が起きてい
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言わずと知れた歴史的名著である.
著者は関東軍作戦主任参謀として満州事変を主導したことが知られる石原莞爾中将であるが,本書は,彼が第16師団長時代の昭和15年5月29日に京都市で行った「人類の前史終わらんとす」という講演を立命館大学教授の田中直吉氏が速記・整理した小冊子『世界最終戦論』と,この『世界最終戦論』に関する質疑回答として彼が予備役編入(昭和16年3月)後に執筆したとされる原稿の2部から構成されている.
したがって,前者の部分は口語調で,後者の部分は文語調で記されており,文章の印象は全く異なるものとなっていて面白い.
さて,本書の内容に関してであるが,彼が欧州戦史研究と日蓮信仰 -
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日本の現代史において、「なぜ太平洋戦争のような明らかに負けが決まっている勝負に突入してしまったのか?」という意思決定の誤謬を問うことは、恐らく最も重要な論点の一つである。その論点を考える上で、関東軍参謀として満州国という理想を掲げて日中戦争を引き起こしながら、東南アジア・太平洋への戦線拡大には批判的であり軍部を左遷された天才的軍人、石原莞爾の思想を知ることも、また極めて重要であろう。
石原莞爾は日本の陸軍にとっては明らかに異端児であり、その思想の論理性や明確な絶対平和へのビジョンについては、驚愕せざるを得ない。そして、日本の左派はこれに対抗できる論理を、ロシアからの借り物であるマルクス・レー