ヨン・ソミンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
1年前の夏、テレビ局の放送作家のジョンミンは、ソウルから電車で約1時間ほどの所にあるパムカシ村と呼ばれる静かな町の第四団地にあるアパートに一目惚れして住み始めます。
そこは、高台にあってヨーロッパの家を思わせる建物で、アイボリーの外壁にオレンジ色のアーチ窓のバルコニーが付いています。
301号室に居を定め、自分が住む家を初めて好きだと思ったジョンミンでしたが、その秋、突然に仕事の契約を解除され、失意のために引きこもり生活に陥ってしまいます。
何かをしなければと思いながらも、夏を迎えてしまったジョンミンは、ある日、衝動的に外出します。
すぐに厳しい暑さにまいってしまい、コーヒーを飲 -
Posted by ブクログ
表紙に惹かれて購入
人生につまづいた主人公が偶然辿り着いた陶芸工房で陶芸を学び、陶芸と工房の仲間たちを通して自分の中の引っ掛かりと向き合っていく小説。
私は20代前半だが、人が怖くて一歩踏み出す勇気が出ずにずっと1人で安全地帯でビクビクしているような人生を送っている。そんな私とこの小説の主人公はあまり似ていないと思うが、暗くて憂鬱な日々からゆっくり抜け出してる様子を見て勇気をもらえた。いつも勇気が出なくて何もしてこなかった大学生活だけど、この夏から一歩踏み出してみようという勇気を貰った。
今まで読書をしてこなかったせいで登場人物の心情などはいまいち理解できなかったので、また再読してみよう -
Posted by ブクログ
何度も作り直せばいい。器を焼くことは、心に明かりを灯すようなもの。手を動かすこと食べること。それが、力をくれる。
帯に書かれたこの言葉は、陶芸から出た言葉だとは思いますが、この作品を読んで、まさに人生を語っているように思えました。
今回翻訳された3作品のうち、2作品はテーマこそ理解できるものの、十分に理解できたと自信を持って言えるほどではなく、私にとっては難解な作品が続きました。しかし、この作品は庶民的で、すんなりと自分の中に入り込んできました。
主人公のジョンミンは一人っ子で(私と同じです)、少し癖のある父親と、そんな夫に遠慮している母親を持つため、「家族から愛されている」という肯定感