森田富美子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1945年8月9日、16歳だった森田富美子さんは長崎で被爆した…。原爆投下により両親と弟3人を突然失ってしまう。
<大きなキノコ雲が見えました。その雲は、ゆっくりと崩れ、不気味に変化し始めていました>
<ずるりと 剥む けた皮膚を引きずった人、(中略)男か女かもわからない人、熱い地面に倒れたままの人、身の毛もよだつ光景でした>
森田富美子さんは、91歳になってようやく被爆経験を話せるようになった…。Xのアカウントを開設して、被爆体験を語り戦争反対と核兵器廃絶を訴え、同時に政治に無関心でいるとまた戦争になるのでは?と選挙に行こうと訴える投稿を96歳の現在でも続けている…。
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Posted by ブクログ
爆心地から200mの長崎の原爆で両親と幼い弟3人を亡くした著者が、妹と叔母家族と生き、自らも結婚して家庭を持ち、49歳で被爆者手帳を申請してから亡くした家族に向き合い始め、戦争をしたがる人たち、戦争がなかったかのように過ごしている戦後世代に向け、戦争反対、核兵器反対を等身大の姿で訴えている様子に読んでいて涙が出ました。
以前タモリさんが「新しい戦前」と言っていたことに衝撃を受けましたが、危機感がなさすぎる私たちに痛みを伴いつつ言葉を紡いで下さる姿に心揺さぶられると共に、何事も前向きでカラリとした著者の口調に最後まで一気に読み進められ、この時期に読むのに相応しい本に出会えたと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ90歳になってから平和への強い思いをSNSで発信し始めた森田富美子さん。
仕事を辞めて時間ができたことで、国会中継やニュース、政治のスキャンダルなどに目が向くようになり、「こんなにも不誠実なのは、もしかして戦争を知らないからでは?」と感じたそう。そこから、長年語ることのなかったご自身の戦争・被爆体験を、伝えるべきだと考えるようになったといいます。
娘の京子さんによる聞き書きで語られる、原爆で家族を失ったときの壮絶な記憶は胸が締めつけられます。長い間辛い思いを抱えてきた人や、今現在ももこういう思いをしている人が沢山いることは決して忘れてはいけないことだと思います。
更に、最近の森田さんの病気を抱 -
Posted by ブクログ
今年は終戦80年、読まなきゃと思っていた本を読んだ。今も存命中で戦争を経験した人の言葉はもっと広く知られてほしい。
長崎で生まれ育った森田富美子さんと娘の森田京子さんの二人のエッセイ(でいいのか?)
富美子さんの幼少期や戦時中の語りのところは想像しただけで凄惨極まりなく、数ページ読んでは閉じるを繰り返してなかなか読み進めることができなかった
本の一番最初のページに簡単な家系図がある。そのうちの何人が戦争、そして長崎に落ちた原爆で命を落としたのかが読むとわかるのだが、それは実際読んでたしかめてほしいと思う
どこがよかったか、とかではなく富美子さんの語りは全編において心に刻むべきで、実際に戦争を経 -
Posted by ブクログ
X(旧Twitter)で森田富美子さんの投稿を見かけて気になり、この本を手に取りました
96歳というご高齢にもかかわらず、戦争体験を発信し続けていることに、深い感銘を受けました
本の前半では、原爆によって日常が一瞬で奪われてしまった当時の様子が綴られていて、特に幼い弟たちが突然家族と会えなくなってしまう描写がとても辛く、胸が締めつけられました
母親が「これっきりの別れになるかもしれない」と言い、父親も「新型爆弾に気をつけろ」と話していたというエピソードからは、まるで別れを予感していたかのような切なさを感じました
その後、富美子さんは妹とともに叔母の家に身を寄せ、学校にも通わせてもらえたそう