【感想・ネタバレ】わたくし96歳が語る 16歳の夏 ~1945年8月9日~のレビュー

あらすじ

Xで8.5万フォロワー(2025年7月現在)を持つ「わたくし96歳」が語る戦争の記憶。

1945年8月9日、長崎で被爆した著者は、当時16歳。
戦後の人生において、その体験を語ることなく過ごしてきましたが、ある日、自らに問い直します。

「2019年6月、私は90歳になりました。それをきっかけに、それまで語らなかった戦争体験、被爆体験を語っていこうと、「カタリベ(語り部)」をする決心をしたのです。」(本文より)

戦争体験者、被爆体験者は年々減り続けています。
「伝えられるだけ伝えないと」――その思いは、日に日に強くなっていきました。
思い出したくもない、語りたくもない話です。
だからこそ、長い間、口を閉ざしてきたのです。

2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった直後、著者がTwitter(現・X)に投稿した文章が注目を集めます。

「20歳の女性が渋谷の反戦デモに参加したというツイートを読んだ。初めてのデモ、生きているうちに戦争反対を叫ぶとは思わなかった、涙が出たと書いてあった。戦争を知らない若い人達にこんな思いをさせるとは思わなかった。2度と戦争の悲劇を繰り返させない、それが私達戦争体験者なのに。」(投稿より)

この投稿は9万件以上の「いいね」を集め、大きな反響を呼びました。
戦争体験者のほとんどが、あまりに悲惨な体験だったがゆえに、それを語らないままでした。

以降、戦争体験者として自らの言葉を発信し続けてきた著者は、今、96歳。
語ることを避けていた「あの日」の記憶を、一冊の本にまとめました。

本書は、「カタリベ」になろうと決心した著者と、
長女が書き溜めていた「著者の記憶」をもとに完成させた「カタリベの記録」です。

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Posted by ブクログ

 1945年8月9日、16歳だった森田富美子さんは長崎で被爆した…。原爆投下により両親と弟3人を突然失ってしまう。
  <大きなキノコ雲が見えました。その雲は、ゆっくりと崩れ、不気味に変化し始めていました>
  <ずるりと 剥む けた皮膚を引きずった人、(中略)男か女かもわからない人、熱い地面に倒れたままの人、身の毛もよだつ光景でした>

 森田富美子さんは、91歳になってようやく被爆経験を話せるようになった…。Xのアカウントを開設して、被爆体験を語り戦争反対と核兵器廃絶を訴え、同時に政治に無関心でいるとまた戦争になるのでは?と選挙に行こうと訴える投稿を96歳の現在でも続けている…。

 この作品は森田富美子さんが、娘の京子さんに自らの被爆経験を書き残してほしいという願いから実現したものです。誰でも読めるように、字も大きくルビも振られているし手にしたらわかりますが、ハードカバーの厚い本というより、薄い冊子という感じで読みやすいです。持ち歩きにも適しているかもです。でも内容はとっても重いものです。

 こうして書籍という形で戦争を知らない私たちが、その経験を知ることができる形にしてくれた森田富美子さんと娘さんの京子さんに感謝します。

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

もう一冊の「わたくし96歳 #戦争反対」と合わせて読む。
こういう本を若い人や子供たちにも読んでほしいです。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

戦後80年。だし、読んでみた。
元気で生きれたら90年100年をこの目で見ていくことになるけど、忘れたくない、こんな時代もあったんだなって。普通・平凡な毎日に感謝しかない。

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

子供向けに書かれた、とても読みやすい本です。しかし、その内容は戦時中の悲惨な様子をありありと浮かび上がらせるようなものでした。特に私は戦争の被害も驚愕でしたが、残された人々、生き残った人々の苦悩の日々にも焦点を当てるべきだと感じました。

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私の母と同い年の90代女性の貴重な証言。
既に、Twitter(X)では存じ上げていた方。徹子の部屋も拝見した。
終戦時、15歳だった母も、なかなかに大変な時代だったと言うが、長崎で原爆で何人もの家族を失ったこの方の経験は桁違い。筆舌に尽くしがたい…というような経験をやっと今、公にされた。
難しい漢字にはふりがなを打ってあるし、また挿絵も豊富。若い人にも手に取ってもらいたいという思いからなのだろう。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

被爆体験は、あまりに生々しく悲しい。夫も被爆体験者だったとは。家族を弔う無念さ、青春を奪われた悲しみ。重い本であった。

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2025年08月15日

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