小林一彦のレビュー一覧
-
購入済み
明解
高校の授業で習って以来ずっときちんと読みたい、理解したいという願いがやっと叶いました。受験目的と違い、わかったつもりでいた自分への反省をこめて、この解説本をお薦めします。あまりにも有名な書き出しは、多感な年頃の僕に、新しい引き出しを与えてくれました。あまりに気に入ってしまったがゆえに、古典のノートの表紙にペン習字を兼ねて書き下しました。年を経て再びあの頃に、いや、あの頃とは違った感性を蘇らせていたました
-
Posted by ブクログ
王朝和歌の名歌をそのエピソードとともに綴ったエッセイ集だ。もともとは中日新聞系の各紙に連載された記事が元になっており、すべての項目が見開き2ページに収まっている。
著者は気鋭の和歌の研究者である。本書はあくまで一般向けを意識して書かれている。一般紙に書かれる内容としてはかなり高度であり、この連載を読み続けていた人は現代の和歌研究の水準を知ることができていたはずだ。
書名は恋歌であるが、収録されている歌は必ずしも恋愛の歌だけではない。王朝の和歌の中核に恋の表現があるのは事実であり、その方面の作品に豊富なものがあるのは事実だ。本書でも数多くの恋歌が掲載されているが、恋というある意味普遍的な内 -
Posted by ブクログ
古典の読み方にはいろいろある。あくまでも作品の書かれた時代のなかで作品を捉え、現代とは切り離して読もうとする態度はそのなかでもっとも正統と考えられている。しかし、古典が古典たるゆえんは時代を超え、さまざまな解釈に晒されてもその本質を失わないところにもある。本書は中世文学の研究者である筆者が、思い切って作品を現代の文脈に引き出した意欲作である。
「方丈記」が平安時代の末から、鎌倉時代の初めにかけて相次いで発生した天災と人災の連続の中を生きた人物の一種のルポルタージュであることは以前からよく言われてきた。ただ、それは歴史上の出来事であり、自分とは無関係な悲惨な時代の話としてしか受け取ることが出