青山ヱリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
公式より
「恋人もおらず仕事も冴えない三十九歳の由鶴の支えは一千万円の貯金だけ。家族から家の購入を勧められる中、片思い中の宇治とは3月で会えなくなることを知り……。」
この本の紹介文を見てすぐに「読みたい!」
と思いました。
なんだか、ワクワクするテーマだなと。
由鶴が主人公の『大阪城は五センチ』と
宇治が主人公の『ゼログラムの花束』の二篇からなります。
どちらの主人公も、女性風俗という点で
自分の知らない世界の人…として読み進めていたのですが、読後は 仕事や家族のことで悩んだり、友達と楽しく過ごしたり…
どこにでも本当に居そうな、愛おしい二人の物語でした。
軽い感じの関西弁が読みやす -
Posted by ブクログ
ネタバレ39歳女性由鶴が主人公の「大阪城は5センチ」。
そのスピンオフのような、アラサー君・宇治の「ゼログラムの花束」。
独身である由鶴が、風俗サービスのセラピストである年下の男性・宇治との関わりを中心に、扱うテーマはとても現実的であると感じました。
そしてその切実さも関西のノリに飲み込ませているところに、一段と現実味と親しさを感じる。とくに第二話とか、真面目に書いたらなかなかのないような気がするけれど、一種ネタになっててそのトーンに安心するというか。
実際、日々ずっと切実に真摯に生き続けているわけではなくて、物事や現実との距離は近づいたり少し離れたりしている。気分にもよる。
そんなふうに、 -
Posted by ブクログ
恋人もなく仕事もパッとしない39歳の八木由鶴はやっと貯めた一千万円だけが唯一の拠り所。そんな由鶴が女性向け風俗で知り合ったセラピスト・宇治との出会いをきっかけに自らの人生を掴んでいく「大阪城は五センチ」
借金返済のために女性向け風俗のセラピスト・宇治として働く31歳の真山氏久。数々の女性を癒す宇治を演じながら、幼い頃に生き別れた母への鬱屈した思いを捨てきれずにいる氏久が母への感情に折り合いをつけていく「ゼログラムの花束」
連作の中編2作はこれがデビュー作とは思えないほど文章も、構成も見事。
独身で生きづらさを抱える女性を描く小説にありがちな過剰な自意識や押し付けがましさはなく、独特の比喩