あらすじ
恋人もおらず仕事も冴えない三十九歳の由鶴の支えは一千万円の貯金だけ。家族から家の購入を勧められる中、片思い中の"宇治"とは3月で会えなくなることを知り……。恋・お金・家、彼女が選ぶ人生とは。創作大賞2024(note主催)朝日新聞出版賞受賞作。
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Posted by ブクログ
公式より
「恋人もおらず仕事も冴えない三十九歳の由鶴の支えは一千万円の貯金だけ。家族から家の購入を勧められる中、片思い中の宇治とは3月で会えなくなることを知り……。」
この本の紹介文を見てすぐに「読みたい!」
と思いました。
なんだか、ワクワクするテーマだなと。
由鶴が主人公の『大阪城は五センチ』と
宇治が主人公の『ゼログラムの花束』の二篇からなります。
どちらの主人公も、女性風俗という点で
自分の知らない世界の人…として読み進めていたのですが、読後は 仕事や家族のことで悩んだり、友達と楽しく過ごしたり…
どこにでも本当に居そうな、愛おしい二人の物語でした。
軽い感じの関西弁が読みやすく、
主人公二人の成長を
ワクワクしながら読めました(^^)
Posted by ブクログ
文句無しの五つ星
デビュー作らしからぬ落ち着いた文章、引き込む魅力たっぷりの物語が素晴らしい読書経験となりました。
今回のキーマンたちである、八木由鶴と宇治。どこか自分が過ごしてる世界の延長に彼らが居てる気分がして、まったくのフィクションとして思えない。
「大阪城は五センチ」ももちろんすばらしいが、個人的に「ゼログラムの花束」もまた違った視点で描かれて、最後の最後まで読み切るのが惜しくてゆっくりと読ませていただきました
大人のほろ苦い恋愛ではありますが、ほんわか温かな気分になるので、モーニングをいただきながら読むのオススメです
Posted by ブクログ
いろんな感情が込み上げてくる内容。
精神的自立の難しさを感じた。
頑張ってもうまく行かないことがみんなあってそれをどんな形で乗り越えるのかが大切だと思った
Posted by ブクログ
39歳女性由鶴が主人公の「大阪城は5センチ」。
そのスピンオフのような、アラサー君・宇治の「ゼログラムの花束」。
独身である由鶴が、風俗サービスのセラピストである年下の男性・宇治との関わりを中心に、扱うテーマはとても現実的であると感じました。
そしてその切実さも関西のノリに飲み込ませているところに、一段と現実味と親しさを感じる。とくに第二話とか、真面目に書いたらなかなかのないような気がするけれど、一種ネタになっててそのトーンに安心するというか。
実際、日々ずっと切実に真摯に生き続けているわけではなくて、物事や現実との距離は近づいたり少し離れたりしている。気分にもよる。
そんなふうに、真面目と不真面目の間のバリエーションがいろいろ混ざっているような発言模様や語りがあって、楽しめる。…
Posted by ブクログ
タイトルと海外の小説のような装丁にひかれて。思ったよりもよかった。大阪城が見えるところにゆかりがあるので親しみもあった。2篇で語り手が変わるけど同じ世界の話。映画になりそうな感じ。
Posted by ブクログ
無理な明るさがなくて、描写が綺麗なこんな本が好き!
初めて読む作者の本は、自分の知らない世界が広がっていくような感じがした
燦々とした世界じゃなくても、寂しくて心許なくても、ひとりで立ち続けていくような二人
信じたいと思うものをただ信じたらよかったんだ
Posted by ブクログ
恋人もなく仕事もパッとしない39歳の八木由鶴はやっと貯めた一千万円だけが唯一の拠り所。そんな由鶴が女性向け風俗で知り合ったセラピスト・宇治との出会いをきっかけに自らの人生を掴んでいく「大阪城は五センチ」
借金返済のために女性向け風俗のセラピスト・宇治として働く31歳の真山氏久。数々の女性を癒す宇治を演じながら、幼い頃に生き別れた母への鬱屈した思いを捨てきれずにいる氏久が母への感情に折り合いをつけていく「ゼログラムの花束」
連作の中編2作はこれがデビュー作とは思えないほど文章も、構成も見事。
独身で生きづらさを抱える女性を描く小説にありがちな過剰な自意識や押し付けがましさはなく、独特の比喩表現や感受性の豊かさが心地いい。
そして何より読後の清々しさは格別。
ずっと読んでいたくなる作品でした。
Posted by ブクログ
さわや書店のポッドキャストで紹介されている内容とはちょっと違っていたぞ。
私が耳で勝手に予想していた内容ではなかったが(カウンセリングのお仕事って)、ある意味、意外性を楽しめたので、こんな読み方もありかと(映画やテレビが違っているのと似ているな)
2編とも、最後には自分を失わず、前向きに進んでいく姿がみれて良かった。
Posted by ブクログ
大きな山や谷はないけど、それがリアルでひとりの感情の動きと描写をじんわり感じさせてくれた。
主人公と彼をそれぞれ主題にした2つの物語は、どちらも大切な人が幸せに生きてほしいと願う温かいストーリーだった。
女性用風俗という未知の世界のお話だけど、貯金も仕事も友達も満たされた主人公の果たして何を手に入れたら幸せだと感じられるんだろう。
別れを経て進む前向きな心情に春のような潔さが儚くて綺麗だった。
Posted by ブクログ
著書には、創作大賞2024(note主催)朝日新聞出版賞受賞作である「大阪城は五センチ」と、”宇治”こと真山氏久の視点で自分自身を鑑みる「ゼログラムの花束」の2作品が収められています。
著者の文章は読みやすいのに重厚感がある語り口に、なぜか私は苦しさをも感じてしまう作品でした。
登場人物が丁寧に描かれていて、各々の潜在意識であろう言葉にも、なぜか私には明るさが見えなかったからかもしれません。
noteで創作された作品がこうやって世に出ていることを改めて実感した作品でもありました。
Posted by ブクログ
自分の生き方やらなんやらかんやらが不安定で迷子になったような気持ちになった物語でした。由鶴さん視点の「大阪城は5センチ」一人で生きていくことの覚悟みたいなものが固まっていく様が身につまされたです。宇治くん視点の「ゼログラムの花束」はがんばれと応援したくなりました。
Posted by ブクログ
読んでみてぎゅぅぅぅっと胸が締め付けられる。恋、お金、家はたまた仕事。
このままでいいのかという漠然とした不安が言語化されているようでした。
しかし出てくる女性たちは、みな自分の生き方を少しずつ見つけ、自分にとっての答えを見つけているようでした。何かを選んだとき、それが正解・不正解ということではなく、自分でその道を作っていくんだと教えられた気がします。
社会人となってから数年経ち、悩みも増える20代後半以降の女性に読んでみて欲しい1冊。