「代謝」とは、細胞が食べ物からエネルギーを作り出し、体のあらゆる細胞に供給する仕組みのことである。そして、その中心的役割をするのが、細胞内のミトコンドリアであり、ミトコンドリアがどれだけうまくエネルギーを作っているかということが、しいては私たちの健康を大きく左右しているということである。
つまり、ミトコンドリアの働きをよくしてやれば、私たちは、健康で元気な体と精神を手に入れることが出来るのだ。では、どうしたらいいのか。
日々口にする食品の質を高め、適度な運動、睡眠、そしてストレスを溜めない生活を送ること。それに尽きるということ。
近年、予防医学の重要性がいろいろな分野から言われている。まさに共通している内容である。
このように我々の生活習慣を見直し、実践するだけで、健康的で、有意義な日々が送れるようになるならば、まさに医者いらずの人生である。
ただし、現代社会においてはなかなかハードルが高いのも事実である。
でも、世界的に見ても、日本は超高齢化社会、国を挙げて予防医学に取り込めば、長い目で見て、医療費の削減にもつながり、様々な面で国益にもなると常々思っているのに・・・・。
さて、この本で紹介されている、まず、ミトコンドリアを元気にするということにおいて、やはり日々の私たちが口にする食品を選ぶことが重要。
ふと思ったことは、そういえば、以前だったら、情報番組などで、例えばバナナが体にいいと紹介されたら、次の日スーパーで品薄になったりもしたけれど。そういった一つの食材にスポットを当てた取り上げ方は、最近少なくなったように思う。
そのように、食品に対する考え方は、随分と変化してきたように思う。ただ体にいい食べ物をそればっかり、あるいはそれだけ食べても、期待通りの効果は発揮できないということ。
どういうことかというと、それらの食品の持つ有益な養分あるいは栄養素は、腸粘膜からまず体内に取り込まれ、細胞内でエネルギー変換され、そのエネルギーがあらゆる細胞に送られ、彼らが本来の働きをする。それには、まずエネルギー変換、つまり代謝が正常に行われることが必要であるというのだ。
そしてカギを握っているのが、細胞内に存在するミトコンドリアである。ミトコンドリアがどれだけうまく働いてくれるかということ。
分子レベルまで突き詰めていき、そこから私たちが自分たちでできるヒントが書かれている。
私たちが口にする食だけではなく、運動や睡眠についても掘り下げて書かれてあり、とても勉強するには参考になると思った。
この分野について以前から関心があり、いろいろな本を読んでいるが大筋は共通していると思う。
健康になるにはいろいろな食事法もあるが、自分の体に合ったものを選べばいいとも記載されていた。選ぶ食品が違っていても、取り込まれる栄養素が共通していれば、問題ないのだ。考え方としては、共通しているように思える。これは私の経験からも言えること。
ホールフード
精製されていない穀物や食品
加工されていない調味料や食品
旬の食材、自分の住んでいる地域で育ったものを
中心にバランスよく食べる。
できれば、無農薬のものが望ましい。
などなど。
この著書がアメリカ人であることから、記載されているレシピを実践することは難しい面もあると思う。風土の違いから、食べてきたものが違うからだ。やはり、日本人には日本の風土の中で培ってきた腸内細菌の歴史があるから。でも、代謝など生物学的な仕組みは、変わらないので、ここに書かれてあることはとても参考になると思う。
私たちの体に存在する細胞など、分子レベルの視点の立場から書かれていた。いつもだったらさらっと読むだけだったが、「働く細胞」を昨年映画で見た。細胞を擬人化し、意思を持った細胞たちが、体の中でのそれぞれの役割を果たそうと頑張っている姿に、とても感動したのだ。自分の体は、このような彼らの働きで成り立っているんだなぁとちょっと細胞たちを応援したくなった。つまり彼らが十分な仕事をできるように、食事や運動、睡眠の質について、自分の体の声をきくということが、さらにイメージしやすくなった。