金子光晴のレビュー一覧

  • 名ごりの夢
    幕末の御殿医桂川家に生まれた女性の体験談。
    若き日の福沢諭吉をはじめとする各藩から勉学の為派遣されてきた武士に幼い著者がしたいたずらや、洋行した諭吉から石鹸をもらい、包み紙を宝物として保管していたというほほえましい話の一方で、幕府の終焉に伴って幼いながらも自害の練習をしたという話もある。その後の人生...続きを読む
  • 名ごりの夢
    佐賀藩士にハマって色々文献を読んでいた頃、某サイトで
    “江藤新平・大隈重信・副島種臣などが語られている”
    とりわけ“副島種臣に関する回想が多い”
    ということが書かれてあったので、興味を持って読んでみました。
    結果。この本買って良かった…!!
    幕末の佐賀藩士に関する名著の多くは今や絶版もしくは入手困難...続きを読む
  • どくろ杯
    関東大震災からはじまる、妻森三千代との5年に及ぶ東南アジアとヨーロッパ放浪の記録。
    ひさびさに読んでみたが、圧巻の迫力は変わらず。
  • どくろ杯
    いつも思うことなのだけれど、この時代のひとたちは「恋愛をしてみよう」と決めてから恋愛をしているような気がする。感情としては同質のものだとしても、入り方が決定的に違うような気がする。それだから妙に冷静だというか、自分の感情や行為に対して客観的であるように感じられるのだろう。(『ねむれ巴里』に続く)
  • どくろ杯
    山崎ナオコーラがオススメしてた詩人のエッセイ。昭和頭かな?第2次大戦が始まる前、中国に渡航した際の話。この人、気が小さい割にやることは大胆(笑)みたいな。けど、しがない男の気持ち満載で身につまされる。こういう、すこし前の日本人のエッセイとか読むと、今と違う文章文体に頭が開発されます。おもしろい。
  • イリュミナシオン ランボオ詩集
    金子光晴訳。学生時代、一番ランボオに嵌っていた時に好きだった訳です。
    初めてランボオを読む人にとってもこの訳は分かりやすいし、ランボオの世界に入っていきやすいのではないでしょうか。
    様々な訳者によって訳詩集が出版されていますが、金子氏の描いたランボオは等身大の少年に見えます。放蕩者でも天才詩人でもな...続きを読む
  • どくろ杯
    「こがね虫」の詩人・金子光晴の、関東大震災で全てを喪失してからの生活を書いたエッセイです。この人の暗さは、安吾のカラッとした冷たさと違って、ジメジメうじうじしているのですが、読んでいると何だか一緒に泣いてあげたくなってしまいます。この人も文章が巧い!
    (関係無いですが、↓下にある「みんなのタグ」欄に...続きを読む
  • 名ごりの夢
    幕府のオランダ流外科医の家に生まれたみねが、維新後に少女時代のことを振り返り孫らに語った内容を嫁が筆記して出版された本。江戸の雰囲気が生き生きと美しく臨場感あふれて語られています。本当に江戸時代を生きた女性の口から語られた言葉。たくさんの古文書をよんでもなかなか得られない生きた江戸の姿に感動しました...続きを読む
  • どくろ杯
    金子光晴の自伝的小説。
    どろっとしたものがずっと流れているよな、
    そんな小説。
    わくわくドキドキまるでなし。
    淡々とすさまじい人生。

    結婚して、奥さんが不倫して、
    その奥さんと恋人を引きはなすためにパリを目指す。
    激☆貧乏旅行。
    上海→香港→シンガポール
    そしてパリへ。

    他に...続きを読む
  • どくろ杯
    美しい言葉を読むのは

    食べ物を
    体内に取り込むような

    むさぼるのではなく
    少しずつ浸透するような

    そんな気持ちで読みました
  • 世界見世物づくし
    この人の腹が据わっている文章と生き方がとても好きだし、本書も実際とても面白く「支那」関係の洞察は今でもよく通用すると思う。
    貧乏についての文章にはとくに笑った。曰く「貧乏も、ひとり身でやっているのだったら、からだがひきしまって、そんなにわるいものでもない」。「貧乏に平気な女がいたら、と僕はあくがれた...続きを読む
  • どくろ杯
    虚飾さえめんどくさくなった老人の半生記。もう本当にどこを読んでも面白い。詩人ならではのやわらかく切れのある文章。
  • 名ごりの夢
    徳川将軍家の奥医師の娘から見た、幕末から明治にかけてのいろいろな人々や生活ぶりが、いかにも生き生きと語られている。特に、当時の隅田川は透き通るように美しかったという語りが印象的。
  • じぶんというもの 金子光晴老境随想
    私もこういう爺になりたいです。意外だったのは孫に結構デレデレなところ。私には当分望めそうもありませんが。「生きることの真意は、日常のごく卑近な、食べたり、着たりをゆったり味わうところにあり、重大そうにみえてることがかえって第二義的なこととよくわかっているのだが、さて。」「わずかにおもいあがった理想-...続きを読む
  • どくろ杯
    なんていうかこの時代の魔都上海にめっちゃ行きたいし興味がわいてきた。詩人金子光晴の7年にわたる目的のない旅の軌跡。「どくろ杯」の正体には本当にびっくりだけど、当時の上海らしいアイテムだなあ。

    あと、比喩が素晴らしい。美しさとはまた別だけど、何かピースがかっちりはまりこむような爽快さがあるきれいな比...続きを読む
  • どくろ杯
    知人の勧めで読むことに。なんと言ったらいいのか言葉が出ない。暗い淵に今にも顔を押し付けられそうで、ただただ読んでいて苦しかった。が、途中で本を放り出すこともできなかった。
  • どくろ杯
    圧倒的だった。正直、何と感想を述べるべきか判らない。

    著者が詩人として世に出た後、関東大震災が襲う。胸が塞がれるような記述が冒頭に続く。
    夫人となる森美千代との出会いがあり、婚姻、子供の誕生。夜逃げを繰り返すような生活の中、家族を放って上海へ遊ぶ。帰国すると、彼女に若い恋人出現。結局、妻と彼が復縁...続きを読む
  • 京都守護職始末 1
    大抵のこの時代のフィクション、主に新選組を扱った物になると思うが
    容保さんがしょっちゅう具合が悪いというイメージで
    療養だとか具合が悪いとか倒れたとか
    そういう描写がとても多い。
    病弱な方かのような印象なのだが
    これを読んで納得した。
    こんな激務の最中にあって、具合が悪くならない方が寧ろ可笑しい。
    ...続きを読む
  • どくろ杯
    「めりけんじゃっぷ」の谷譲次を彷彿とさせるファンキーな生き様、そんな生き様にはおよそ似つかわしくない詩人らしい流麗な文体。時代背景を考えれば考えるほど、この金子光晴ってオヤジの海外放浪記は素敵すぎる。自らの血の一滴を振り絞るように、人間の底知れぬ奥深さを抉ってみせます。続編の「ねむれ巴里」「西ひがし...続きを読む
  • どくろ杯
    しらけわたった天地が、悠久につづいて、かなしさが霧のように茫々と立ちこめている。感傷だけが、ひそひそと溝河のせせらぎのように底にながれている。

    ↑5年前の自分が線を引いていた箇所