高群逸枝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日本の古代史における母系制から父系制への転換を読み解いた本です。
本書の冒頭で著者は、「女性史とは何か」という問いを提起し、「女性の立場による歴史研究の学問である」とこたえています。歴史学の観点から女性の生活・文化・思考などを研究する学問ではなく、「女性の立場」という観点にもとづくことが明記されており、いわば知の政治性を踏まえた学問であることが著者に意識されていたことが注目されます。著者は、上代の婚姻性が招婿婚だったということに簡単に触れるにとどめ、その時代の女性の暮らしについての調査・研究には立ち入らず、もっぱら祖と氏をめぐる制度と観念の形成と変遷をたどることに注力しています。
とりわけ