舛友雄大のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
潤は元々日本語と同じ潤うとか豊かの意味だが発音がルンのための、英語のrunを想起させるのでネットのスラングで豊かさを求めて中国から逃げるの意味になっているそうである。潤日で豊かさを求めて日本に行くという意味になる(潤も日も四声なので下がる発音)
さて、この本は日本に生活の拠点を移す中国人がどのような事情で、また何を求めてあるいは何から逃れて日本に来ているのかについて綿密な取材に基づき書かれた本である。
資産を守るために日本に来る人、熾烈な受験戦争から逃れるために日本に来る人、リベラルな言論空間を求めて日本に来る人などである。日本が文化的に中国と似ていることも日本が魅力的な逃亡先に選ばれている理由の一つのようである。
日本に資産保護のために移住してくる人は最低でも金融資産を20億円以上持つ人が多く、1000平方メートルを超える床面積の家を希望し、日本に来てからも同じようなレベルの中国人と付き合うようである。アリババの創業者のジャックマー氏も日本に住んでいるようである。
中国を後にする主な理由は、中国共産党の政策にあると言って良い。
食事、文化、言語どれをとっても中国と比べると快適ではないものの、日本に来て初めて息ができると感じる中国人も多いようだ。
日本に来る理由は様々だが、皆バイタリティーがあり、自分で未来を切り開こうとしているのは共通で、安穏と日々を送っている身に冷水を浴びせられたかのような本だった。
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Posted by ブクログ
・人口の流動化はますます加速すると思われるので、これまでの価値観をアップデートする必要があると感じた。
・「外国人」と一括りにまとめられ他者化されやすい存在であるが、本書で紹介されるように1人ひとりに個別の人生がある。例えば、第3章で登場する元教師の女性の話は引き込まれるものがあった。中国国内で思想教育が強化される中で、天安門事件など現代の歴史さえ教えられない。厳しいSNS規制により世界のネットワークとも繋がれない。そうした状況に違和感を感じ「潤」してきたという点で、(こうして知識欲・好奇心に駆られてこの本を手に取った)私と彼女で何が違うのだろう、もし私が彼女の立場だったらどう行動しているだろうと考えた。
・91頁 「ある場所のある良い人をどうにかして悪く書く。それが中国ではできるんです。毎日、毎年、長期にわたって蓄積していく。それで本当だと思ってしまうんですね。反対の声もないし。国内はたった一つの声しかないです。全部洗脳です。(中略)何事であってもみんなまず善悪を振り分け、時間をかけて固定した考えを形成していくんです」 潤してきた人たちの切実な声と言えるし、程度の差はあれど日本にも言えることなのではと考えた。
・日本の就労・移住ビザが他国よりも緩いのはどういう背景があるのか気になった。
・並行して、松村圭一郎著「海をこえて 人の移動をめぐる物語」を読んでいて、新たな気づきもあった。 -
Posted by ブクログ
中国人富裕層が日本のタワマンを買って暮らしてる、
なんて話は漏れ聞いてはいたが、
こういう背景があるところまでは十分理解していなかった。
ある程度想像はついてはいたというものの、
日本に来ている富裕層に、こういう考え方を持った人たちが
それなりの数いるということは、衝撃的だった。
この本では、一人の中国人女性の餓死?(?)をきっかけに
著者が日本に来ている中国人富裕層に取材を重ねた結果が載っている。
その背景はまとめると
・悪化を続ける中国の受験戦争を避け良質な教育を求めてくる一家
・割安なタワマンなどを通じて資産保全を図る中年層
(中国では不動産保有は認められない)
・毒された情報空間から抜け出し自由な言論空間を享受したい知識人
・行き過ぎた愛国主義を恐れるうちに安心安全なリタイア生活を
過ごしたいと思うに至った経営者
抑圧から逃げる姿勢 という点で共通している、と著者はいう。
我々が耳にする中国のニュースでも習近平政権の圧政ぶりは聞こえては来るが、
それを逃れて日本に来ているということだ。
ある意味日本の環境が中国人富裕層に認められた、ということで、
喜ばしいことであると言えないことはないが、
日本の実態を知るものとして、それは単なる比較論にすぎず、
日本の受験戦争だって偏差値エリートばかりを生むという点で弊害は大きいし、
タワマンは日本人には高根の花。
日本の言論空間が自由かどうかは、これからが勝負。
愛国主義もエセ右翼に占有され、偏ってる。
そもそも安心なリタイア生活を送れるような日本人オーナー経営者は一握り。
中国の経済力はすさまじいのだ。いままでは。
今まで知らなかった「潤日」という概念を知ることで、
逆に日本のことを考えるきっかけになった、そんな本。
第1章 世界の現象としての潤
第2章 タワマンに住む人々
第3章 新お受験戦争
第4章 引退組企業家安住の地
第5章 独自のエコシステム
第6章 地方という開拓地(フロンティア) -
Posted by ブクログ
とても面白かった!
「中国人は悪いことばかり考えていて、日本を占領するために実質植民地にしに来ているんだ」くらいの認識でいた気がする、いやいたと思う。
だけど、そうではなかった、「潤」してくる中国人はむしろ中国から「潤(run)」している=逃げて来ていて、中国では得られない子女の教育と、固有の資産保全、または言論の自由を求めて来ている人も多いのだそうだ。(もちろん100%そうなのかは分からないけど)
中国では高校受験の時に高校や大学に進学できる層と出来ない層を振り分けられて、苛烈な教育戦争に落ちこぼれたら大学にも行けず職業訓練校などにいくしかなく、下手すると一家ごと没落してしまうそうだ。しかも幼稚園生小学生が微分積分出来るとか円周率百桁言えるとかそう言うレベルと戦わなければいけないらしい。無理。
さらに中国国内で土地を買うと言うのは出来ないのは知っていたが、70年の借用が出来るだけだそうだ。そりゃどこかにじぶんだけの土地が欲しくなるのも頷ける。
両替商や貿易を通して現金を日本に持って来ている実態も詳しく調べられており、目から鱗だった。
それに、一番は知ることの自由、発言の自由が保障されていることでは無いだろうか。
つまり、日本に来る中国人は、中国のためではなく、自分や家族のために来ているのだと言うこと。
てっきり習近平に送り込まれて来ているものかと…
中国国内の事情を知ればそれは仕方ないことに思えた。大体、中国当局が時代に逆行した緊縮路線を取りすぎ&日本政府が緩すぎなのが悪い。
きゅうりを塩漬けにしたら浸透圧の違いで水分が外に出てしまうのと同じだ。出て行った水に良いも悪いもあるだろうか?むしろ残った水の方が濃縮されて煮詰まって…
20年後、習近平亡き後に新しい国家に生まれ変わるだろうか。 -
Posted by ブクログ
題名: 潤日 日本へ大脱出する中国人富裕層を追う
著者:舛友雄大
発行:
2025年2月4日 初版
2025年6月10日第5刷発行
東京はじめとした大都市のマンション価格が高騰する際、「裕福な中国人が買っているから」と不動産関係者が言っていた。実態がよく分からなかったし、中国からの新しい移民について焦点合わせた本は読んでみたいと思っていたので、見つけて衝動買い。
当然ながら一様ではないバックグラウンドの人々がそれぞれの狙いを持って日本にやってきている。共通点は大陸での生活に感じる抑圧からの脱出。それを可能にするのは他国と異なりビザ発給基準が低めの日本政府、歴史的な円安。政治的もしくは経済的な背景で、大陸から海外に向かって人が流出していくのは、繰り返されてきた中国の歴史の一部。その新しいパターンが「潤」(Run)現象。
この本を通じて、中国のリベラル派知識人が東京に集まってきている事を知った。五岳散人のYoutubeを観てみたいし、いくつかの神保町の本屋にも行ってみたい。中国語言論空間のとても面白い部分が、潤現象で身近な場所になりそう。
この本が発行された後で、日本政府のビザ発給要件は厳格化の方向に動いているので、潤現象にも一定の影響出ているのではないか。
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Posted by ブクログ
本書を読み、中国の実情を知ることで、日本での自由な生活がいかに恵まれているかを痛感しました。
医療現場で日々多様な背景を持つ方々と接する身として、この「当たり前」の日常の尊さを改めて噛み締めています。
周囲に中国の方々が増える中、彼らにとっての日本はどのような場所なのかと思いを巡らせると、自国への誇りとともに、目の前の隣人と誠実に向き合う責任を感じます。
国同士の対立が深まる時代だからこそ、まずは身近な一人ひとりへの尊重が平和への第一歩になるはずです。
生きることは容易ではありませんが、この恵まれた環境で、互いに認め合える関係性を築いていきたいと強く思いました。
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Posted by ブクログ
面白かった。中国から出て日本に住む人たちがどういう経緯でそうなったのか、マクロとミクロから読み解いているドキュメンタリー。
コロナ禍でのロックダウンや弾圧が耐えられなくて脱出した人が多く、自分が思っていたより現地は壮絶だったことを感じる。
過激なお受験戦争や日本の住宅事情、爆買いされる北海道の土地など、実態まで調査されており著者の行動力の高さと中国文化への知見を感じられる。実際は投資目的で国土がどうこう言うのは簡略化しすぎな意見だなあと感じる。
活動派の人の話は偏りを感じられてどこまで本当なのか分からないので話半分。愛国のために捕まる覚悟で行動を起こす人の気持ちはよくわからん。
総じて、日本に来るという行動まで起こす人たちが考えていることの空気感を掴むのにとても良い本でした。