松浦優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本は「アセクシャル・アロマンティック」を主に扱うとしながらも、その他のセクシュアリティなどについても言及されており、かなり充実感があったように思う。
クィアスタディーズでの重要な視点や論点についてかなり幅広く、かつ簡潔にまとめられているため、これからクィアスタディーズの入門書としても機能するのではないかと感じさせられた。
私は本書で紹介されていた「強制的性愛」や「異性愛規範」のレンズを通すことによって、さまざまな性的な言説に対して感じる違和感や不快感の原因を可視化することができるようになったと感じた。そもそもなぜ性的な関係が特別視されているのか、「男女間の友情が成立しない」という言説はな -
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女性に性的魅力を感じ、恋愛対象も女性という、いわゆる普通の私には体感としては
分からない世界。性的惹かれ、恋愛感情を持たない人たち。
でも、知っておかなければいけないと思う。
先日の参院選で躍進した政党は、男女しかありえん!と言い切る。
少数を切り捨てる。
そりゃ、そのほうが楽だ。いろんな人がいる、と思うと、複雑で、ややこしい。
でも、存在しているのだ。
流石に今は左利きの人を排除はしないだろう。1割存在する。
それと同じことなのだ。割合はもっと少ないかもしれないが、
性的に単純ではない人が相当数いるということは、知らなくてはいけない。
安易に、昔ながらの家族が一番、などといってはいけないのだ -
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Aro/Aceについての説明だけでなく、Aro/Aceの視点から(異)性愛世界において当たり前とされている恋愛・性愛がらみの諸々に突っ込んでいく内容で、Aro/Aceというトピックに縁のなさそうな人ほど読んでほしい本。
自分自身恋愛的/性的関係性の実践に関心がないことで何か不快なことを言ってくる人々が周りに特にいなかったのであまり困ってないと思っていたが、実は今の社会構造の中で生きているだけで不利益を被ることがあるのだとわかった。
差別は排除(「恋愛感情が無いなんて普通じゃない」という非難)されたり存在を抹消(「まだいい人に出会ってないだけ」と言われカミングアウトを否定される)されたりというコ -
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LGBTや性的マイノリティの存在が知られるようになって(2015年に渋谷区と世田谷区にできたパートナーシップ制度で公的な書類にその存在がはじめて記載されたという意味)そろそろ10年になるが、セクシュアリティや恋愛について自分が常識だと思っていたことをぶん殴られたような本だった。
自分がどれほど自由にものごとを考えているつもりでも、自分が経験してきたこと以上の考えを何の刺激もない状態で自由に考えることは難しい。
読んで、自分が自由になれた気がしたし、恋愛や性愛の解像度が上がったように思う。
企業や自治体開催のLGBT研修を受けると全てわかったような気になってしまいがちだけど、これはその先を行 -
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アセクシュアル(asexual)、アロマンティック(aromantic)という見かけることの少ない用語に興味を持って読んでみたが、学術論文の体裁を取りながら一般の人に理解できるように苦労した著者の力量に感謝です.他者に性的に惹かれないという意味のアセクシュアル、アロマンティックだが、様々な恋愛的指向があること自体ある程度知っているつもりだったが、それだけ人間の多様性が現れる分野なのだと感じた.p171で議論されていた経済システムのジェンダー構造と異性愛規範の関係を総括した「結婚制度を根拠として経済システムのジェンダー構造は構築されており、また経済システムのジェンダー構造によって結婚制度は形作ら
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性的マイノリティの地位がいくらか確保されつつある風潮のなかでも、結局アセクシャル・アロマンティックの実在性という意味では、筆者が研究題材として取り上げているという二次元オタクのような存在ですら肯定できる理念なのかは、LGBT等でもそうであったろうが弱者側が自己承認するにはある程度振り切ったくらいに世間の目が変わらないと弱者ゆえの葛藤があるように思う。(ポリティカル・コレクトネスの行き過ぎのような問題もあろうが)
ひとまずはアセクシャル・アロマンティックの定義から、性欲はあるもののといったようなある種都合の良いように見える存在の包摂まで、なおのこと不可視化されやすいAro/Aceというものを見 -
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アセクシャルやアロマンティックについて学べる入門書的な新書があればいいのに、と思っていたところ、こちらの本が刊行された。やったー。
自分なりにアセクシャルやアロマンティック、Aスペクトラムなどについて学んできたつもりだったが、読んでみると、すでにわかっている部分もあれば、初めて知る内容もあり、非常に興味深かった。
特に第3章「Aro/Aceの実態調査」にある “『性的』なるものを捉え直す” という節で、マスターベーションや性的空想について、一般的に想定されている内容を再考しようとする試みがあり、おもしろかった。自分自身でも腑に落ちる点が多くあった。
『アセクシャル/アロマンティックとは何か -
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強制的異性愛がいかに親密関係のあり方を規定しているか?という、タイトルから想像したことよりももっと大きな話だった
歴史的にセクシャリティが多数派ではないとそれは罪とされ⇨病理的なものとされるなど排除されてきた経緯がある ただもともと差別用語だったクィアや同性愛者を逆手にとって自分たちの反差別運動に流用してきた
分類としてはラベリングできるものだけでもこんなに細かいんだっていうのにまず驚いたのと、本書では繰り返し"ひと口に〇〇といっても、様々なケースがあるため個別具体的なものとして、ラベルだけで一方的に決めつけたり判断したりしてはならない"と説く
当事者たちが言われたり -
Posted by ブクログ
ネタバレ「アセクシュアル」「アロマンティック」についての歴史、概念、状況、などの本。
論文っぽいので、軽く読むにはちょっと労力が必要。
結局、何でもありうるんだな、という感想。
人それぞれセクシュアリティはあって、現状、異性愛が優遇されている社会なので、どのセクシュアリティでも生きやすい社会になるように議論していく必要があるなーって。
他者に「性的に惹かれる」とはどういうことか?
はなんとなく分るんだけど、
じゃあ「恋愛的に惹かれる」てどういうことなの?どういう定義なの?
って疑問があって、、、要するに友情と恋愛との違いが「性的な惹かれ」があるかどうか?なのかなと感じていたので、その辺のことを知り