眩しいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分らしさを発見する物語としては勿論のこと、“物”への幾つかの捉え方がそのまま他者の捉え方や距離感として読める部分が面白かった。必要な物だけを持つ人、過剰なまでに持つ人、必要ではないけれど不要でもない物を持つ人、あるいは執着のようにひとつに噛み付いて離さないクビキリギスの生態もそう言って良いかもしれない。限りなく取りこぼしが少なくなるよう読み手が共感できる存在をごく自然な形で配置しているのも巧い。何より小説の内と外すべての人間に対する眼差しが真摯であり、それが読んでいてちゃんと伝わってくるのが良かった。派手さではなく、ていねいな描写によって小説を成立させる書き手として、次作を楽しみにしたいと思