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片付けコンサル会社で働く鷲澤憂(わしざわうい)は、何かを選ぶのが苦手な性格でいつも周りに合わせてばかり。自分とは対照的にサバサバと物事を判断し、“無駄なく、効率よく生きる”ことを信条とする上司の奈々さんに心酔している。心酔するあまりに服装も髪型も何もかも奈々さんの真似をし、恋人と同棲中の部屋の家具を次々に捨て、ついには恋人自体も捨てることで“効率のいい部屋”を手に入れた憂だったが、ひょんなことから泥酔して帰宅した翌朝、目覚めると部屋に見知らぬ青年がおり仰天する。すずりという名の青年は「おれを片付けてよ」と憂に依頼し、その日から二人の奇妙な同居生活が始まるが、すずりにはとある隠された過去があり・・・。「自分らしさ」が何なのか分からないまま、生きづらさを抱える男女。友情でも恋愛でもない関係性。奇妙な同棲生活を瑞々しい筆致で描く、2024年集英社ノベル大賞〈準大賞〉受賞作!
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Posted by ブクログ
自分らしさを発見する物語としては勿論のこと、“物”への幾つかの捉え方がそのまま他者の捉え方や距離感として読める部分が面白かった。必要な物だけを持つ人、過剰なまでに持つ人、必要ではないけれど不要でもない物を持つ人、あるいは執着のようにひとつに噛み付いて離さないクビキリギスの生態もそう言って良いかもしれない。限りなく取りこぼしが少なくなるよう読み手が共感できる存在をごく自然な形で配置しているのも巧い。何より小説の内と外すべての人間に対する眼差しが真摯であり、それが読んでいてちゃんと伝わってくるのが良かった。派手さではなく、ていねいな描写によって小説を成立させる書き手として、次作を楽しみにしたいと思います。
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