【感想・ネタバレ】片付かないふたりのレビュー

あらすじ

片付けコンサル会社で働く鷲澤憂(わしざわうい)は、何かを選ぶのが苦手な性格でいつも周りに合わせてばかり。自分とは対照的にサバサバと物事を判断し、“無駄なく、効率よく生きる”ことを信条とする上司の奈々さんに心酔している。心酔するあまりに服装も髪型も何もかも奈々さんの真似をし、恋人と同棲中の部屋の家具を次々に捨て、ついには恋人自体も捨てることで“効率のいい部屋”を手に入れた憂だったが、ひょんなことから泥酔して帰宅した翌朝、目覚めると部屋に見知らぬ青年がおり仰天する。すずりという名の青年は「おれを片付けてよ」と憂に依頼し、その日から二人の奇妙な同居生活が始まるが、すずりにはとある隠された過去があり・・・。「自分らしさ」が何なのか分からないまま、生きづらさを抱える男女。友情でも恋愛でもない関係性。奇妙な同棲生活を瑞々しい筆致で描く、2024年集英社ノベル大賞〈準大賞〉受賞作!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

登場人物の書き分けや心情の描写、展開のなぜという疑問に対してのこたえ、表現力が丁寧で、かつ過剰になりすぎない分かり易さがよかったな。

何より物語として、わたしも一度悩んだ頃に向き合った「片付ける」ということが、人間に何をもたらすのかを書いてくれて嬉しかった...辛かったときの自分に読ませてあげたい。勇気づけられる作品だった。

0
2025年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルの『片付かないふたり』が、読む前と読む終わった後で意味が違ってくるので、思わず「良〜〜」と唸ってしまった。
効率的に生きて何でも捨てていってしまう主人公が、最後には余分であるけど宝物のように大切なものを見つけられたのが本当に良かった。
そこまでの感情の移り変わりがとても丁寧で、思わずじんとくる。
ミニマリストの主人公の思考や、すずりの知らない人ばかりの飲み会に飛び入りするというのが斬新ですごく面白かった。

0
2025年08月27日

Posted by ブクログ

どこまでもやさしい物語だと思った。綴られることばはもちろん、自分ではない誰かになりたいと思う気持ちも、他人から否定されるのがこわくて何も選べないことも、この物語は否定しない。現実を突きつけられたとしても傷を傷のままにせず、寄り添って、その人の思いを捨てさせやしなかった。大丈夫、と包み込んでくれる軽やかなあたたかさが、不安な気持ちを片付けてくれた。いつか忘れてしまうとしても、この作品を読んで抱いたやさしい感情を、私はきっと覚えているだろう。

0
2025年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の憂と私の価値観がひたすら合わず、初めの方は読むのが少し苦しかった。
しかし物語が進み、憂が様々な人に出会うことで、成長した?ような感じのお話でした。
なんだか問いに答えが出たような、出ていないような。でもやんわりとしていて、とても好きな雰囲気。

0
2025年07月26日

Posted by ブクログ

それぞれの心で感じることを体現する
理解されない苦しさや理解してあげれてないことに気づく自分が居たらどうしますか?

0
2025年06月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ


「自分の居場所を見つけたい、片付けて欲しい」
そんなすずりの気持ち、切なくなりました。
わたしも、私は今のままでいいのかな何も変わってないけど、変わらなくていいのかなと
ここは私がいていいのだろうかと考えてしまうことがあります。
でもそんな気持ちを少しずつ取り出して、
把握して気持ちのお片付けをしていく。
そこに至るまでは楽な道のりではないけど
お片付けをすることで自分が居場所と思える場所が見つけられる、かもしれない。
社会人でいまの自分に悩んでいる人に読んで欲しい本だと思いました。

0
2025年05月22日

Posted by ブクログ

自分らしさを発見する物語としては勿論のこと、“物”への幾つかの捉え方がそのまま他者の捉え方や距離感として読める部分が面白かった。必要な物だけを持つ人、過剰なまでに持つ人、必要ではないけれど不要でもない物を持つ人、あるいは執着のようにひとつに噛み付いて離さないクビキリギスの生態もそう言って良いかもしれない。限りなく取りこぼしが少なくなるよう読み手が共感できる存在をごく自然な形で配置しているのも巧い。何より小説の内と外すべての人間に対する眼差しが真摯であり、それが読んでいてちゃんと伝わってくるのが良かった。派手さではなく、ていねいな描写によって小説を成立させる書き手として、次作を楽しみにしたいと思います。

0
2025年05月24日

「女性向けライトノベル」ランキング