藤井亮二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書のキモは最後の第5部「財政再建アラカルト あなたは何を選びますか?」、特に262ページからの歳入と歳出のアラカルトになる。
そこで関心を持った項目を第1部から第4部に遡って読んでいけばいいのではないか。
こういったアラカルトは少なくとも与党と野党第1党はもっと全面に出して財政論議を進めて行かなければならないし、野党第2党以下は現状の立場ではワンイシューを唱えていればいいが、仮にも与党や野党第1党になりたいという気概があるのなら、財政再建案を常に腹案として持って置かなければならないと思う。
日本国民がいつまでも日本国債を買い支えられると考えるのは、先の大戦での破滅から何も学んでいないお花 -
Posted by ブクログ
20250915-25 我が国の財政は財政規律を失っており、先進国中でも最悪の財政赤字を毎年生み出している。バブル経済崩壊後(って1990年代だよ!)からずっと財政改革の必要性は認識されているはずなのに、景気対策やデフレ対策のための超金融緩和(量的緩和)が長く続いたせいもあって、国民の危機意識は薄いといえよう。そのような状況下で、本書は我が国財政の現状について、丁寧にわかりやすく解説し、最終章ではその処方箋をいくつか提示している。文章は読みやすくとても丁寧だが、ところどころ筆者の焦燥感が湧き出ているような気がする。
個人的には、為替相場は円高傾向に持っていくべきだし、何よりふるさと納税は即刻廃 -
Posted by ブクログ
日銀を経て日本総研の研究員となった河村氏と、大学教授の藤井氏による共著。日本の財政の現実と、国債に頼らない施策を数々のデータを元に提言している。
数字の数々を追いかけると結構難解だが、大枠で読んでいても『どうなっているのか、どうすれば良いのか』は分かりやすく解説している。そしてどんな政策を採るにしても痛みは伴い、利害関係の調整にエネルギーを割かれることもわかる。
国民の総意として大枠(総論)は概ね一致していると思う。しかし現実の痛み(各論)になると尻すぼみしてしまい、結局意識も何も変えられないまま、経済成長が止まってしまった40年をこの国は過ごしてきてしまったということか。
本書で述べら -
Posted by ブクログ
世界最悪な財政状況の日本
日本は国内で借金しているから、破綻することはないと前までは考えていましたが、積み重なる財政赤字を考えたり、円安による資産の目減りを考えたら、劇的な変化は困る気もしますが、プライマリーバランスの均等化は必要な気もしました。
少子化による日本の衰退や、選挙の度に国民への大盤振る舞いや、年収の壁の財源の捻り出しについての議論ははとんど、なかった気もする。
結局、20年以上前から言われ続けている議論だけど、少子化も含めて今だにら解決しない所をみると、財政破綻するまで、誰も手をつけない気がしてしまいます。
痛みに耐えた先に、成果があるなら、若い人は考えるかもしれないけど、有権者 -
Posted by ブクログ
GDP対比の債務残高が世界最悪の状態にあると言われながら、楽観的な見通しを示す日本を危ぶみ、財政運営の立て直しについて、国民自らも考えるべきであると警鐘を鳴らし、その選択肢を提示する。
利払費の見通しや独自試算、推計などは専門的で難解だったが、「金利が物価上昇率を上回る」のが通常だという点については、お金を貸す側の立場から考えて理解できた。
熱を入れて読んだのは、歳出削減や税制に関する記述。医療・介護や年金、地方財政、税金の公平性など国民一人一人が避けて通れない課題について、あらためて学び直す機会になった。
再認識したことは、以下のとおり。
①地方財政はコロナ危機における国からの地方創生臨時交 -
Posted by ブクログ
緊縮財政派である著者の主張はやや悲観的に過ぎる印象ではあるが、他方、MMT論者を含む積極財政派が主張する「日本国債はほぼ国内で消化されており、どれほど債務が積み上がろうがデフォルトの危険性はない」という論にも首を傾げざるを得ない。
著者が主張する緊縮財政を徹底した場合、経済成長はストップし、脱日本やキャピタルフライトが加速し、世界の中における日本の地位は取り返しのつかない程に低下してしまうのではないか。
賃金上昇を伴う緩やかなインフレの定着が期待される現在、景気を冷やすことなく、かつ市場の信認を維持できる持続可能な財政のバランスはどこにあるのか。
財政政策については緊縮派と積極派の主張が