イム・ソヌのレビュー一覧

  • 光っていません

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    大好きな本になった。"閉塞感に満ちた日常に開放をもたらす"というカバーそでに書かれた言葉の通りの、8つの短編集。特に「幽霊の心で」「光っていません」がとても好きです。皆生きるのに必死でリアリティもある。心に重く冷たいものを秘めているけど、ファンタジックで不可思議で、奇妙な出来事を通じて、悲しみと向き合ったりかすかな希望をもらったりして、静かで穏やかな光を感じる終わり方をする。人の心の動く過程を本当に丁寧に優しく描いている。翻訳の表現も、とても綺麗な文章で、ため息が出るほど素敵でした。手元に置いておきたい本。イム・ソヌさんの今後の作品も楽しみです。小山内さんの他の翻訳本も読ん

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    2025年11月30日
  • 光っていません

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    どの作品も『死』をイメージとして扱うような作品でした。死後の世界とか絶対に生きていたら知ることはない世界のはなしみたいな感じです。いちばんこころに残ったのはタイトルにもなっている『光っていません』と『見知らぬ夜に、私たちは』です。『光っていません』は触るとクラゲになってしまうクラゲが世界に出現したあと安楽死替わりにクラゲになって人間をやめるひとたちのはなしで『見知らぬ夜に、私たちは』は親友だった相手に20年以上ぶりに再会して過去を思い出し未来を取り戻そうとするはなしでした。どちらも言葉が大切にされている作品でまた、何回も読み返したくなるような切ない気持ちになりました。

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    2025年02月16日
  • 光っていません

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    “手には触れなかったけど確かにあたたかく、それがあまりにあたたかいから、私は泣くことができた。どこの幽霊が、涙まで流してんのよ。私が言った。幽霊じゃないってば。泣いている最中も、幽霊はそう言った。 しばらくして幽霊は私を抱き寄せたが、それは私が生まれて初めて受け取る、一寸の誤差もない 完璧な理解だった。”(p.23)


    “失望が積もれば怒りになり、怒りは結局諦めになるから。それを繰り返さないように、私はいつからか、何も望まなくなった。”(p.20)


    “世の中はだんだんおかしくなっていってるのに、自分たちは家でほうれん草を和えて食べる予定でいることが、奇妙に感じられた。
    (中略)夕ごはんに

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    2025年01月26日
  • 光っていません

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    設定は突飛だけど、全てを通してリレーションシップの話。ヤモリがいなくなる話と最後のやつが好きだった。
    吉本ばななの短編が好きな人におすすめしたい。

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    2025年11月01日
  • 光っていません

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    私はこれ、大好き。
    しかし好みは大きく分かれるんじゃないかな。

    不思議な世界に美しい空気が流れる感じで、特に始めの3ストーリーは好き、4つ目はもう少し現実的だけど、でも好きだな。

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    2025年10月09日
  • 光っていません

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    ネタバレ

     幽霊を主体とした不思議なSFで面白かったです。
     人間が幽霊になってしまっても他の人間たちに何かを残す感じが良かったです。
     表題作の「光っていません」が一番良かったかなと個人的には思っています。
    1話目の「幽霊の心で」と8話目の「カーテンコール、延長戦、ファイナルステージ」も良かったです。

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    2025年07月30日
  • 光っていません

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    ネタバレ

    短編集。1995年生まれの若い韓国人女性作家さんの作品。2022年に原著出版。

    部屋で、自分の日常、プライベートの場に、だれかもう一人入ってくる感じのお話が多かった。部屋から始まる、部屋で起こる異世界、みたいな、コロナ禍で部屋とか私的な空間が日常の大部分になった時期とも重なっているのかな。

    不思議なお話のようで、変に現実的だと感じるのは、

    現実の多くが不条理であり、同時に奇跡的なことでできているから、かな。…

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    2025年07月22日
  • 光っていません

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    「手持無沙汰な午後、わたしはパン屋のレジカウンターにつっぷしていた」……オーなんだなんだこの出だし
    いきなり「つっぷして」って、思わずググった。

    どのお話も、
    とんでもない状況(SF的状況)にある普通の、ただしとても大変な心の中のこと、
    それでいて、どの話も少し欠けていて、ふわっとした余韻を残す。

    韓国のSF界はいま、独特の文化となりつつある……と、思う。

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    2025年05月08日
  • 光っていません

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    閉塞感に満ちた日常に解放をもたらす短編集。
    どの作品も、不安と絶望の中で生きる登場人物たちが、自分自身を取り戻していくようなストーリーでとても癒されました。
    特に良かったのは表題作の『光っていません』。クラゲになろうとした女性・ジソンさんの最期を見送った「私」が、自分の大事なモノに気付かされる瞬間がとても美しく、感動的でした。

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    2025年03月18日
  • 光っていません

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    とっっっても良かった…。

    日常のなかに混じり込んだ奇譚が、生活の鬱屈さをそっと解いていくような8つの短編集。
    ディストピアもののようだけど現実離れしてはいなくて、ちょっと気を緩めたら私たちもこんな世界に迷いこんでしまいそうなリアルさがあった。

    あらゆる物事をあきらめざるを得ないN放世代を生きる韓国の若い人たち
    辛いことを辛いと感じる心も麻痺してしまった人々に、きちんと悼む気持ちを思い出させてくれる物語ばかりだった。

    結末ははっきり記されていないけれど、主人公たちは回復につながる選択をしているなと想像できる、そんなほんのり明るい余韻を感じられた。

    「幽霊の心で」がいちばんのお気に入り!

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    2025年02月22日
  • 光っていません

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    なんとなく手に取って読んだ作品。読んでよかった。透き通っていて、凄く寂しく切なさを感じる短編集だった。作者の作る世界がとても好きになった。

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    2025年02月20日
  • 光っていません

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     現実世界の隙間にフッと別の世界が開いている。
    そんな不思議がありました。

     書き出しの文から、なんか、どこかへ滑り落ちていくような、何かの隙間をすり抜けていくような、落ち着かない違和感があります。
     次の段落で、世界がバンと切り替わります。 あ、ほら来た、 どこここ? 何の話? みたいな、です。

     上手いですよ~! 不思議ですよ~!

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    2025年02月12日
  • 光っていません

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    「このお話」と選べないくらい、全8話それぞれが良かった!「踏ん張る人生」に疲弊した人たちを描いてるんだけど、終わり方に少し明かりが見えるので柔らかい気持ちになれる本でした。

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    2025年01月08日
  • 光っていません

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    (2025/01/29 2h)

    池澤春菜氏が勧めていたのをキッカケに手に取った。
    「冬眠する男」
    「アラスカではないけれど」の2章3章が好き

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    2025年01月29日