福場将太のレビュー一覧
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時々読み返したいと思えた本です。
医学部の臨床実習で、眼科の診察手技の練習中に指導医の先生から「君の眼は、いずれ完全に見えなくなるかもしれない」と告げられた著者。
その時のショックと絶望はいかほどだったことでしょう。
以前、テレビのドキュメンタリー番組で、北海道美唄市にあるメンタルクリニックで働く全盲の医師、福場将太さんの仕事や生活風景を観ました。
そして、その先生が本を出されたとのことで、今回、読んでみました。
ノンフィクション的な要素が強いのかと思いましたが、実際に読んでみると、目が見えていた人が途中から徐々に視力を失ったということによって、それまで見えなかったものが見えてきたあれこれに -
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私は約7年関わってきた憧れで大好きな先生がいました。その先生は、一般的に言ってしまえば「いい先生」ではなくて、破天荒で自分の体を壊すような無茶を平気でする「危ない先生」です。でも私はその先生が大好きで、ずっと尊敬していました。無理難題を言われても、周りから止められても、先生の指示を聞いていたから、今の私は激務と呼ばれる仕事をこなせていると思います。そして、その先生の影響で勉強も苦手で人前に立つのも得意でない私は「先生」という仕事に就きました。そして就いてすぐにその先生は個人的な事情で仕事を辞められました。落ち込みましたし、道しるべがなくなって苦しみました。でも、この本を読んで、きっとどこかで繋
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なんて穏やかな人なんだろう、というのが1番の感想です。
目が見えないからこそ見えるものがあり、
目が見えるからこそ見えないものがある。
目が見えない人は意外とカラフルな世界に生きている。
というのが目から鱗でした。
それから、
「目が見えない○○さん」ではなく
「○○さん、職業は⬜︎⬜︎、目は見えない」という表現がすごくよかったです。
目が見えないのは特徴のひとつであって、その人の全てではないんですよね。
当たり前のことなのに、頭にありませんでした。
昔全盲の方と友人付き合いをしていました。
最初は全盲ということが頭を占めていて近寄りがたかったのですが、よく笑いよく怒り、冗談を言った -
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私は強度近視でいつかは目が見えなくなってしまうかもと言う不安が心の中にありました。
立ち寄った書店で思わず手に取りました。
作者は医科大学在学中に指定難病疾患「網膜色素変性症」を診断され、視力が低下する中医師免許を取得、完全に失明し精神科医として従事している。
そんな作者が経験から得た障がい者へ誤解や、私達にも役に立つ沢山の生きる道しるべが書かれています。
例えば、障がい者にもベテランもいればビギナーもいる。助けが必要な人もいれば自分で何でもやれる障がい者もいる。私は障がい者を路上で見かけたらサポートしなきゃいけないと思っていました。それが優しさだと思っていました。
忙しい日々の生活の -
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【目次】
はじめに
第一部 見えないからこそ、見えないもの。
見えないからこそ、見えるもの。
いずれ失明すると分かりながら医師を目指した理由
目が見えない医師は、案外たくさんいる
私は「視覚障がい者」ではなく「視覚想像者」
目が見えないとできないこと
目の見えない人に抱く「勘違い」
人生のマジックアワーはいつ?
終わりの中の始まり
「人の痛み」は見えにくい
どんなものにも良い側面と悪い側面がある
喪失体験はどう受け入れたらいい?
「月」を視覚以外で見るには
どんな人でも背中はいつもあたたかい
音が見せてくれる素晴らしき世界
人生は空席を探すことが大事 -
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視力を失ってから見えたもの、見えなくなったもの。両方を率直に、そしてあくまで自分個人の場合は…というスタンスで書かれていて、心に入ってきやすかった。
自分にとっていいものが、他人にとっては嫌なものだったりもする。
視覚障害者の立場から有り難いと感じていることが、精神疾患の患者さんには不快な場合もあるというような例をあげて書かれていて、なるほどなと思った。
どんな場合も想像力が必要。そういう気持ちを持ち続けている福場先生が素敵だなと思った。
他に印象的だったのは、人間は多面体という言葉。
職業や病気、家柄…そんなものはその人の一面にしかすぎないんだということ。
当たり前だけど忘れそうになることを