あらすじ
何が大切か、見えなくなったあなたへ。
「目の見えない精神科医」が贈る、希望へのガイドブック。
この本の著者は、北海道美唄市にて精神科医として従事される福場将太さん。NHK北海道に「目の見えない精神科医」として出演され、話題となりました。
医学部5年生の時に、徐々に視野が狭まる病を患っていることが発覚。そしてとうとう32歳で完全に視力を失いました。
それでも福場将太さんは、10年以上に渡り、患者さんの心の病と向き合ってこられました。
目が見えるからこそ、見えるもの。
目が見えるからこそ、見えないもの。
目が見えないからこそ、見えないもの。
目が見えないからこそ、見えるもの。
そんな4つの世界を、「見えていた頃の生活」と、「見えなくなってからの生活」を行き来しながら書かれたのが本書です。
「視覚障がい者の視界は、意外にもカラフルです。
真っ暗な世界なんて、とんでもない!」
「人間は全てを手に入れられない分、全てを失くすこともできないのです」
「私にとって目が見えている人は、もはや超能力者なのです。
だって私にとっては不可能に近いことも、一瞬で成し得てしまうのですから」
「人生は一本道じゃない。行けるところまで行ってみて、ダメになったらダメになったで、また別の道を探せばいい」
……など、福場さんだからこそ語ることのできる、明日を明るく照らす希望の言葉が満載です。
もしもあなたが目の見えている人なら、大切なものを見つめ直すガイドブックとして。そして、もしも目の見えていない人なら、頼りたい視覚がなくても希望を見つけられるガイドブックとして、手に取っていただけることを願って。
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Posted by ブクログ
時々読み返したいと思えた本です。
医学部の臨床実習で、眼科の診察手技の練習中に指導医の先生から「君の眼は、いずれ完全に見えなくなるかもしれない」と告げられた著者。
その時のショックと絶望はいかほどだったことでしょう。
以前、テレビのドキュメンタリー番組で、北海道美唄市にあるメンタルクリニックで働く全盲の医師、福場将太さんの仕事や生活風景を観ました。
そして、その先生が本を出されたとのことで、今回、読んでみました。
ノンフィクション的な要素が強いのかと思いましたが、実際に読んでみると、目が見えていた人が途中から徐々に視力を失ったということによって、それまで見えなかったものが見えてきたあれこれについて語られたものでした。
目が見えないことがどういうことか、ということはもちろん語られていますが、著者は、人間の五感の中で、視力の持つ影響の大きさを良くも悪くも語っています。
見える私たちには、視力の良い点ばかりが目に付く、というか日常的に無意識に視力に大きく頼る場面が多いということに気づかされました。
彼は、見えるからこその便利さはもちろんあると話していますが、同時に、見えることにより、物事にバイアスがかかってしまい、本当の姿、ものが見えなくなってしまう、思考の邪魔になってしまうことも指摘しています。
視覚障がい者の中でも、精神科医という心を診る仕事をされているからこその発想、分析が見事です。
私たちに、見えることと見えないことの両方の影響、心の目で見ることの大切さ、視力に頼りすぎることによって失ってしまうこと、バランスを崩してしまう可能性もあることも指摘されています。
そんなことを考えたこともなかったです。
見える人にとっては当たり前にある景色、無意識のうちに見えることによってかかってしまうバイアスに気づかず生活しているのかもしれないと思いました。
何事にも、見えない部分にもスポットを当てて想像していくことが必要なのだと思います。心の眼とでも言いましょうか。
視覚障がい者という当事者で、その上に精神科医という立場で福場将太というキャラクターから発信されるあれこれは、やさしく、例えも分かりやすく、ユーモアがあり、障がいのあるなしにかかわらず、全ての人たちに、心に残るメッセージなのではないでしょうか。
日々、頑張っている人、疲れている人、ストレスや生きにくさなど感じている人、人生に迷っている人にもお薦めしたいです。心が軽くなりました。
Posted by ブクログ
エッセイ本みたいな感じかと思いきや…
生き方や感覚を、改めて考えさせられる、本当に素晴らしい本だった。
見えないから不幸、なのではなく、どんな心づもりで生きてゆくか、なのだろう。
見たくないものも見えてしまうこの世の中。
見ているつもりで見えていないものもある。
たくさんの人の目に届いてほしい、そんな一冊。
悩んでいる人に贈りたくなる一冊。
Posted by ブクログ
最初はうすくて読みやすそうな本だと思って手に取ったが、読み返したい大切な本になった。
辛いとき、悲しいとき、自分を信じて良いのか分からなくなったとき、寄り添ってくれる。
全てを得ることも出来なければ全てを失うこともない、そんな捉え方を教えてくれる。
見知らぬ地で自分の足で、温かみを感じながら生きている姿にこちらも安心して穏やかな気持ちになった。
Posted by ブクログ
私は約7年関わってきた憧れで大好きな先生がいました。その先生は、一般的に言ってしまえば「いい先生」ではなくて、破天荒で自分の体を壊すような無茶を平気でする「危ない先生」です。でも私はその先生が大好きで、ずっと尊敬していました。無理難題を言われても、周りから止められても、先生の指示を聞いていたから、今の私は激務と呼ばれる仕事をこなせていると思います。そして、その先生の影響で勉強も苦手で人前に立つのも得意でない私は「先生」という仕事に就きました。そして就いてすぐにその先生は個人的な事情で仕事を辞められました。落ち込みましたし、道しるべがなくなって苦しみました。でも、この本を読んで、きっとどこかで繋がっている、二度と会えなくても心を支えてくれている、その一文を読んで、少しだけ前向きになりました。
Posted by ブクログ
とてもいい本でした。
網膜色素変性症を患って、32歳の時に完全に視力を失った著者。
「バリアバリュー」
視力障がいを持つ著者で言えば
「見えなくなったからこそ、見えるようになったものがある」
著者が経験したこと、感じたこと、伝えたいことをわかりやすい文章でまとめています。
すべてのページに読者各々の生きるヒントがあると思います。すごく感動したのに言葉がみつかりません。お勧めの一冊です。
Posted by ブクログ
言葉では表せないほど感動しました。
読後に静かな余韻に浸っています。
目が見えなくなる、どんなにか人生に絶望したでしょう。
だけど見えなくなってからの人生をそんな自分の運命を悲観的にならずに、生きている。その世界を丁寧に丁寧に味わって日々過ごしている。
私も心の中に(ロードヒーティング)を持って生きたいと思います。
Posted by ブクログ
「月」を視覚以外でみる方法がとても素敵で、心がきゅっとなりました。
目が見えなくなることは、世の中とのつながり方が変わることなのだなぁ、と思いながら読みました。
目に見えるものと、目には見えないもの。
それぞれに対する慈しみの気持ちが伝わってくる本でした。
Posted by ブクログ
この本は読んでいるうちに「君はどう思う?君はどう思う?」と、絶えず問いかけられるような感じになっていった。
つまり、作者の福場さんのことばを浴びながらどんどん「自分自身と対話をする」、そんな本なような気がする。
一読をお勧めします。
Posted by ブクログ
とても良い本でした。我々はわかっているようで、視覚に障害がある方の事を全然わかっていないなと、考えさせられる内容でした。
また作者の方が大変穏やかで、優しい人格だなぁと、文章を見ただけで感じて、とても気持ちよく本を読むことができました。
数々教えていただくことがあって、とにかくとても勉強になりました。
これからも頑張っていこうと言う気持ちにもなりました。
Posted by ブクログ
なんて穏やかな人なんだろう、というのが1番の感想です。
目が見えないからこそ見えるものがあり、
目が見えるからこそ見えないものがある。
目が見えない人は意外とカラフルな世界に生きている。
というのが目から鱗でした。
それから、
「目が見えない○○さん」ではなく
「○○さん、職業は⬜︎⬜︎、目は見えない」という表現がすごくよかったです。
目が見えないのは特徴のひとつであって、その人の全てではないんですよね。
当たり前のことなのに、頭にありませんでした。
昔全盲の方と友人付き合いをしていました。
最初は全盲ということが頭を占めていて近寄りがたかったのですが、よく笑いよく怒り、冗談を言ったり毒を吐いたり歌ったりと非常に楽しい人だったので、あっという間に全盲など気にしなくなったことを思い出しました。
外出するときになって、そう言えば目が見えないから色々気をつけないと!となったものです。
障がいがあっても、その人そのものと向き合えるようにしていきたいです。最初は構えてしまうかもしれないけれど。
Posted by ブクログ
引用
第三部
もう一度
目が見えるなら。
…
見えて良かったと思いたくない。
声は第二の顔、
拝啓五感プロデューサー様、
せねばとしたいも両方とも大切。
でも一度しかない人生、want派の活動を
曖昧の大切さ 虹のグラデーション
★感想
著者のお話しを聞いてる感覚。
視野が広がるというより緩む。
第三部を自分に重ねてハッとした。
もう一度、子育てをやり直せるなら。
やり直せてよかったでなく
今を出し惜しみない愛を
力み過ぎず、笑顔で生活したい。
Posted by ブクログ
私は強度近視でいつかは目が見えなくなってしまうかもと言う不安が心の中にありました。
立ち寄った書店で思わず手に取りました。
作者は医科大学在学中に指定難病疾患「網膜色素変性症」を診断され、視力が低下する中医師免許を取得、完全に失明し精神科医として従事している。
そんな作者が経験から得た障がい者へ誤解や、私達にも役に立つ沢山の生きる道しるべが書かれています。
例えば、障がい者にもベテランもいればビギナーもいる。助けが必要な人もいれば自分で何でもやれる障がい者もいる。私は障がい者を路上で見かけたらサポートしなきゃいけないと思っていました。それが優しさだと思っていました。
忙しい日々の生活の中でSNSをよく見ますが、そんな中のどれだけが自分に必要なものか分からなくなっています。
最後に心に刺さったところの一つに
「私達の人生はイレギュラーだらけです。とてもルーティンではこなせません。合理化 効率化しようとするとかえって窮屈になり、アドリブが利かなくなってしまうのです。」
私も今となっては無駄だった事が、楽しく忘れられない思い出になっているとしみじみ思います。
私は三年程前から本を読み始めました。
直ぐに役に立つかわかりませんが、読書をこれからも楽しんでいきたいです。
Posted by ブクログ
『何が大切か、見えなくなったあなたへ。
「目の見えない精神科医」が贈る、希望へのガイドブック。』
友人から送ってもらいました
気付かされることがたくさんあって……
帯に『人生の暗闇を、抜け出そう。』
とある
これは視覚障害のことではない
見えているのに見えていないものの何て多いこと
見えない方は真っ暗闇ではないのだ
もちろん想像を超えるご苦労があるとは思うのだけれど
でも!
作者からたくさんの問いかけがあります
≪ 見開いて 新しい景色 探しに行こう ≫
Posted by ブクログ
【目次】
はじめに
第一部 見えないからこそ、見えないもの。
見えないからこそ、見えるもの。
いずれ失明すると分かりながら医師を目指した理由
目が見えない医師は、案外たくさんいる
私は「視覚障がい者」ではなく「視覚想像者」
目が見えないとできないこと
目の見えない人に抱く「勘違い」
人生のマジックアワーはいつ?
終わりの中の始まり
「人の痛み」は見えにくい
どんなものにも良い側面と悪い側面がある
喪失体験はどう受け入れたらいい?
「月」を視覚以外で見るには
どんな人でも背中はいつもあたたかい
音が見せてくれる素晴らしき世界
人生は空席を探すことが大事
人間は多面体
支えることは支えられること
第二部 見えるからこそ、見えるもの。
見えるからこそ、見えないもの。
有り難み、足りてますか?
見えているからこそ、ちゃんと見ましょう
自分の持つ「超能力」に気づいてますか?
拝啓、五感プロデューサー様
心のお引越しはいかがでしょう
SNSって、見る必要ありますか?
幻想(ファンタジー)も大切に
歳なんて聞くもんじゃない
あなたはとてもお綺麗だ
声は人間にとって第2の顔
伝えたのに伝わらない理由
やり過ぎサポートに御用心
積極的に曖昧に生きよう
回り道、寄り道に意外な拾い物
あなたはMUST派? それともWANT派?
孤独100パーセントは絶対にダメ
見える道と見えない道
第三部 もう一度目が見えるなら。
もう一度目が見えるなら
はじめにのような、おわりに
Posted by ブクログ
見えないからこそ見えるもの
カミングアウトするまで15年かかったと
顔を見なくても想像力を働かせて痛みを感じ取る
何かを失ったとしても失った分、何かを得る
Posted by ブクログ
視力を失ってから見えたもの、見えなくなったもの。両方を率直に、そしてあくまで自分個人の場合は…というスタンスで書かれていて、心に入ってきやすかった。
自分にとっていいものが、他人にとっては嫌なものだったりもする。
視覚障害者の立場から有り難いと感じていることが、精神疾患の患者さんには不快な場合もあるというような例をあげて書かれていて、なるほどなと思った。
どんな場合も想像力が必要。そういう気持ちを持ち続けている福場先生が素敵だなと思った。
他に印象的だったのは、人間は多面体という言葉。
職業や病気、家柄…そんなものはその人の一面にしかすぎないんだということ。
当たり前だけど忘れそうになることを改めて教えてもらった。
目に見えているものも、見えないものも、しっかり見ていく心を持ち続けよう。