平芳裕子のレビュー一覧
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ネタバレ<目次>
第1章 他人の服装がなぜ気になるのか~自己と社会
第2章 どうしてパーカーは生まれたのか~起源と流行
第3章 なぜ「ダサい」を恐れたのか~年齢と着こなし
第4章 誰がどうパーカーを支持するのか~スタイルと逸脱
第5章 スーツの力はどこから来るのか~歴史と階級
第6章 ふさわしさはどう決まるのか~戦略と交渉
第7章 私たちはなぜその服を選ぶのか~ファッションと規範
<内容>
ファッション文化論などを専門とする著者。ちくまプリマ―ブックの『東大ファッション論集中講義』に続いて読破。「おじんのパーカーダサい」から始まり、ファッションの歴史をうまくまとめている。ファッションを考えるときに、よい本だと思う。 -
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ファッションを学問として扱うという発想自体が新鮮だった。これまでファッションは「流行」や「服装の好み」の話だと思っていたが、本書では芸術・社会・身体・労働・ジェンダー・産業史など多方面から分析されており、単なる衣服論ではないことに驚かされた。
特に印象的だったのは、「服は身体を包むもの」という原点から、母胎に包まれていた感覚と衣服を結びつけていた点である。また、ファッションが「模倣」と「自己表現」という矛盾を抱えながら成立しているという指摘も面白かった。自分は普段、服を個性表現というより社会に違和感なく溶け込むためのものと考えているが、その価値観自体が近代以降の男性服の歴史と結びついていることも興味深かった。
フランス革命後、男性服が簡素化し「外見より能力や身体を鍛えること」が重視されるようになった流れは、自分の感覚ともかなり近い。一方で女性は長く「見られる身体」を求められ、コルセットなど身体を服に合わせる文化が続いてきた。しかし現代でも骨格診断やダイエットなど、「服に合う身体を作る」という構造は残っていると感じた。
また、シャネルが「女性に活動してほしい」という思想のもと、機能性を重視した服を作っていたことも印象に残った。ファッションは単なる装飾ではなく、その時代の女性観や社会変化と深く結びついている。
さらに、縫製労働やファストファッションの問題にも考えさせられた。服作りを担う女性労働が「誰でもできる仕事」とみなされ低賃金になっている構造は、家事育児労働とも似ているように感じた。安価な服を求める現代社会の裏側に、見えづらい労働問題が存在していることも強く意識させられた。
日本と欧米でファッション研究の方向性が異なる点も興味深い。欧米では美術・自己表現として、日本では洋装化やもんぺのような実用性・生活文化として捉えられてきた背景があり、日本では「服=生活の道具」という感覚が強いのかもしれない。 -
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ファッションとは「同じ社会を生きる人々と共にありたい」「人と同じでありたい」という同一化の願望と、「一緒でいたいけれど人と違ってもいたい」という差別化の欲望の両方を同時に 叶えるものです。
また、ファッションは時代の価値観を表すものであります。例えば西洋ではシャネルスーツが登場し社会的・身体的抑圧から女性を解放することに貢献し、日本でも国際化の流れで洋装が推進されました。興味深いことに、男性の洋装化は比較的スムーズだった一方で、女性の場合は家庭生活への影響や洋服の構造、高価格といったさまざまな課題があり、普及が遅れたという歴史的背景が本書で解説されていて、とても印象的でした。
時代の価値観や社会背景を反映し、抑圧からの解放に貢献してきたファッションですが、現代ではどのような役割を果たしているのかについても考えさせられました。機能性があり、自分表現の自由度が高まった一方で、大量消費や廃棄などの問題もあります。日本では洋装が主流になる中で、着物を着ていたからこそ生まれた「所作」や「作法」が失われつつあることに寂しさや危機感を感じました。
解放というと一見前向きに聞こえますが、伝統や文化の側面が置き去りにされてしまうこともあるため、そのバランスの難しさについても考えさせられました。 -
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ネタバレ昔のヨーロッパの王様や貴族は、男性であってもストッキング、赤いコート、宝石、ハイヒール、草花のレースが施されたコートなどを着用していた。勿論、一般人は異なるのだろうが、今のスーツ文化と比べると昔の方が少なくともファッション的には多様であった。(現代のお偉いさんで個性的な格好をしているのは、アラブの国王?インドのモディ首相?ゼレンスキー大統領?)私は私服をファストファッションに頼りがちだが、これだけ庶民にファッションの選択肢がある時代は未だかつてなかっただろう。ユニクロ、古着、ブティック、オートクチュール、ZOZOTOWN、コスプレ…仮にスーツを着用する男性であっても、黒や濃紺以外の選択もある。男だからこのスタイル、私はファッションに興味ないから…と視野と選択肢を狭めてはもったいない。人の数だけスタイルが用意されている現代、それを選ぶか否かはあなた次第だ。