平芳裕子のレビュー一覧
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『東大●●講義』という本、割とよく見る気がする。
ファッション研究も、鷲田清一さんとか、山田登世子さんとかの著作がかなりあった気がする。
…いや、ほとんど読んでないけど。
なので、なぜ今?と思いながら本書を読み始めると、これが面白いこと。
ファッションはなぜ学問の対象として認められてこなかったのか。
ファッションはなぜ美術館に展示されてこなかったのか。
ファッションはなぜ「女性のもの」として認識されがちなのか。
こうしたところから、本書は問いかけてくる。
そうか、自分の頭にあったのは、「服飾史研究」であって、ファッション論(ファッション学)ではなかったのか!
もとは「型」や「様式」などを表 -
Posted by ブクログ
『東大ファッション論集中講義』は、東京大学文学部で行われた初のファッションに関する講義を基にした書籍です。この書籍では、ファッションとは何か、衣服とは何かを探求し、12のテーマを通じて文化や芸術としてのファッションを学ぶことができます。
この講義は、ファッションが私たちの身体を通して文化を形成し、資本主義社会に深く浸透していることを示しています。著者である平芳裕子は、ファッションが「浅い」ものとして見過ごされがちな理由について考察し、それが現代社会の根幹に関わる問題であることを指摘しています。
内容概要
テーマ: ファッションと衣服の意味
構成: 12のテーマによる分析
目的: ファッションを -
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Posted by ブクログ
ファッションとは「同じ社会を生きる人々と共にありたい」「人と同じでありたい」という同一化の願望と、「一緒でいたいけれど人と違ってもいたい」という差別化の欲望の両方を同時に 叶えるものです。
また、ファッションは時代の価値観を表すものであります。例えば西洋ではシャネルスーツが登場し社会的・身体的抑圧から女性を解放することに貢献し、日本でも国際化の流れで洋装が推進されました。興味深いことに、男性の洋装化は比較的スムーズだった一方で、女性の場合は家庭生活への影響や洋服の構造、高価格といったさまざまな課題があり、普及が遅れたという歴史的背景が本書で解説されていて、とても印象的でした。
時代の価値観 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ昔のヨーロッパの王様や貴族は、男性であってもストッキング、赤いコート、宝石、ハイヒール、草花のレースが施されたコートなどを着用していた。勿論、一般人は異なるのだろうが、今のスーツ文化と比べると昔の方が少なくともファッション的には多様であった。(現代のお偉いさんで個性的な格好をしているのは、アラブの国王?インドのモディ首相?ゼレンスキー大統領?)私は私服をファストファッションに頼りがちだが、これだけ庶民にファッションの選択肢がある時代は未だかつてなかっただろう。ユニクロ、古着、ブティック、オートクチュール、ZOZOTOWN、コスプレ…仮にスーツを着用する男性であっても、黒や濃紺以外の選択もある。
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Posted by ブクログ
<目次>
第1部 西洋のパラダイム
第1章 裁断と縫製~衣服に起源はあるのか
第2章 言葉と学問~ファッションは何を意味するのか
第3章 作法と流行~ファッションはなぜ女性のものとなったのか
第2部 近代がもたらしたもの
第4章 自由と拘束~女性の身体は解放されるのか
第5章 モデルと複製~ファッションデザインの近代
第6章 メディアとイメージ~衣服がファッションになるとき
第3部 創造性への問いかけ
第7章 展示と鑑賞~ミュージアムのファッション展
第8章 身体と表象~ファッションとアートの接近
第9章 名と言説~シャネルはなぜ評価されるのか
第4部