藤田壮眞のレビュー一覧
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4歳の時に自閉スペクトラム症の診断を受けた作者によるエッセイ。
15歳になった作者 藤田壮眞さんが語る視点は、とても新鮮で瑞々しい。私がこれまで知識として学んだ自閉症は、いわゆる自閉症を外側から捉えたものだった。
本作では、藤田さん自身が幼い頃の記憶に遡って、感じ方やモノの見方を綴ってくれている。この記憶を引き出す作業も、時には思い出したくない過去が鮮明に蘇り、痛みを伴っただろうと思うと、言葉に言い表せない程の感謝が込み上げてくる。
一方、この本を世に送り出す作業により、自分の成長に気付かされたと藤田さんは語る。「幼稚園編」から「高校編」まで順に読んでいくと、彼の感じ方や考え方が徐々に変化しているのが伝わってくる。
彼と共に歩んで来られた巻末のお母様のメッセージにも思わず涙が溢れた。
私には自閉症の診断を受けた甥っ子がいる。
彼が日頃どんな風に周りを見ているのか、どんな風に感じているのか、少しでも理解したくて本作を手にした。症状は同じではないにしても、彼のことを知るヒントをたくさんもらえたと思う。
私は、自閉症もひとつの個性だと思っている。
ただ、それを表明している人、そうでない人、気付いていない人、普通に生活している人、様々だろう。
多様性が叫ばれる時代で、自閉症の特性を受け入れられる社会が理想だが、現実はなかなか難しい。
先ずはその個性を理解しようとする人が増えて欲しいと思う。本作は、その一助になるとても貴重なエッセイ本だと感じた。
今の情報過多社会が孕むリスクを想定しつつも、強い意志と勇気をもって、藤田さんが本作を世に出してくれたことに心から感謝したい。
一人でも多くの人に読んでほしいと思う。
余談だが、作中にあるイラストは藤田壮眞さんご本人によるもの。彼から見える世界がとてもよく表現されている。しかもイラストは全頁にわたる。
この特性は神が与えた宝物なのだろう。
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著者の文部科学大臣賞を受賞した作文を読んでから、ずっと読みたいと思っていた本。とにかく文章が上手くて、スルスルとあっという間に読み終えた。彼の文章は何故こんなに読みやすいのか?以前読んだ韓国小説『アーモンド』と似ている。エゴを感じさせず、押し付けがましくない空気感が心地よい。
内容も深い。徹底した内観と淡々とした自己分析が素晴らしい。読んでいる方が胸がチクッとするようなことにも、容赦なく踏み込んでいる。見たくないものを見たり、認めたくないものを認めたり、ということを繰り返す中で、著者が凄まじいスピードで成長していく。それを読んで、すごく元気が貰えた。そして何より自分自身の内観も捗った。
藤田さん自身も素敵な方だが、お母さんや先生、友人など、彼を取り巻く人たちも本当に素敵で愛に溢れている。優しい世界に、ほっこりと温かい気持ちになる一冊だった。
イラストも藤田さんが描いたものらしいが、とても可愛くて癒される。 -
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私たちから見えているのは、その人の「外側」だけであり、内側は覗けない。
そんな当たり前のことを、ほとんどの人が忘れていて、「外側」だけでラベリングをしていく。
※念のために書くが「容姿/見た目」のことではない
私は感情がたかぶったとき、疲れているときなどに、「他者との境界線」が曖昧になる。
「自分の気持ち」なんて、相手は知るはずもないのに、「なんでわかってくれないの!?」と怒りをぶつける。
でも一方で、そうやって相手との境界が曖昧になっている様子は、SNSでもよく見る。
知り得ない相手の事情を勝手に妄想して、自分の感情を「こんなこともわからないんですか」とばかりに並べたてている。
「普通はそうしない」という感覚が、多くの人より、薄い。「常識」と言われるものを尊重するとき、「そうするのが普通」みたいな感覚はなくて、「こうするべきだと学んできた」「あの場合はああだったからこれでいいはず」みたいな感じだ。
そのズレをわかっているから、連絡が返ってこない時、相手が無表情の時、ふと、「自分が何か失礼なことをしてしまったのではないか」と怖くなる。
パートナーや仲のいい友だちは「寛容」なタイプが多い。
友達の精神科医が教えてくれたのは、
ADHD/ASDのDはDisorder(障害)だが、
その特性が障害になるかどうかは、関わる人や環境によると。
月並みな感想にはなるが、勇気をもらえる本だった。
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15歳の自閉症の藤田壮眞さんのエッセイ。
私は発達障害について、一般の方よりも知識があると思っています。発達障害のあるお子さんを持つ親御さん達の気持ちもある程度分かっているつもりです。
でも、ご本人の感じていることは想像するしかありませんでした。気持ちは聞くことができても、見えているもの聞こえているものを共有することはできません。それをここまで具体的に言葉にしてくれているとは!
それも15歳とは思えぬ文章!感性!
定型発達の15歳の少年で、ここまで自己分析をして、それを言葉にできる人はいるだろうか?いや、◯歳の中年の私だってこんなことはできない‥‥
読んでいて、こんなこともできるんだ、楽しく通学もできているんだな、なんて思ったりもしたのですが、本当に辛かったことは書きたくないし思い出したくもないとありました。毎日が試練の連続なのだということが一冊でとてもよく分かりました。
でも、自閉症でも定型発達でも変わらないよ!と思ったことは思春期の親子のぶつかり合い。
タイトルにもなっている『わたしは、あなたとわたしの区別がつかない』。これはある意味、どの親子でも言えることなのではないのかな、と思います。親も子もこの時期に自分達は別の人間なんだ、とはっきりと自覚するのではないでしょうか?(作者の言いたいことはこういうことではないと思いますが‥‥ごめんね、壮眞君)
壮眞君と、お母様の日々の葛藤、努力が痛いほど伝わってくる本書。あとがきに覚えておきたい言葉があったので、記しておきます。
”けんかしてもいいけど、敵にしないこと。誰もが良い心と、そうでない心を持っている。わざわざ相手の悪い気持ちを引き出しても、良いことはない。憎まない。ものごとの悪い面ばかりを見ない。必ず良い面もある。泣いてもいいけど、立ち上がれ。”
発達障害のある子を持つ親御さんにも、発達障害に詳しくない人達にも、幅広い人達に読んでもらいたい一冊です。
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「わたしは、あなたとわたしの区別がつかない。」
この言葉の解像度がぐっと上がった気がする。
自分と他者の境界線がわからない。
どこまでも自分で、でもどこにも自分がいない。
それは、すごく寂しいことなんだろう。
「まだ通常の世界の初心者だ。初めて旅する外国のように、知らない文化や言葉の壁にとまどっている。」
私達が彼らとのコミュニケーションに戸惑ってしまうのと同時に、
彼らもこの世界でどう生きていけばいいか、どうアクセスすればいいか、必死で考えている。
息子よ。君の世界は、一体どんなふうなんだ?
その世界の旅に、一緒に連れて行ってくれないか。
そして、君の目に見えるもの、聞こえるもの、感じたことを、君の言葉で伝えてくれないか。
父も母も一緒なら、きっと楽しいから。 -
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本人の健気さや明るさも良かったけど、
お母さんやホストファミリーなど
周りの大人の懸命さにも泣けてくる。
ノートの落書きみたいなイラストが
とても愛らしいし、落書きではなく
ちゃんとイメージ化してくれるから
見てる世界がわかりやすい。
イラストも相まって、自閉症の彼には
どんな景色が見えてるのかが伝わってきた。
景色を文字で表すって相当難しいと思うけれど、
本当に上手な表現で(でもシンプルでわかりやすい)
素晴らしかった。
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・幼稚園の頃のわたしは困っていなかった。代わりに母が困っていた。
・羞恥心。これはかなり高度だと考える。理解するには、わたし以外にも心を持った人間がいると気がつかなければいけない。他の人からの視線を意識できて、見られていると感じなければわからない。
・定型発達の人たちには、あたりまえなのかもしれない。ひとつひとつの情報を、取捨選択する。それを自動化して、いらない情報をフィルタリングする。全ての情報から、必要なものだけが存在することにして過ごす。(略)しかし、わたしは全部が見えている。(略)情報は全て並列に追ってくる。順番や距離はない。新しいも古いもない。必要と不必要。重要性。時系列でも並ばない。
・困ったことがたくさんあっても、自分を卑下しない。不貞腐れない。気高く生きるとも言える。
・友達関係だけではない。生活面も海外ではこんなことをしてはいけないと、ガイトブックに書いてある。(略)日本では行動の仕方が書いてある本がない。
・母がいなければ、わたしは生きていけないかもしれない。(略)これに対し、母はそんなに動じていない。
人はいつか死ぬもの。そして何事もなく、日常は進むもの。あなたはちゃんと生きていけるから、大丈夫。あなたの準備ができるまで、お母さんは生きてるよ。なんの根拠もなく、母は言う。ふと思いついた不安も、うっかり口にできない母も大変だと思う。
・ちょうど良い加減。やはり分岐点は、通り過ぎてからじゃないと分からない。わたしには、
逃げ時が分からない。いつか、わたしもいまよりもっと世界を掴める日が来るだろうか。
・逃げるのは、理想と違う自分を許すこと。
たぶん、そういう意味だ。
・この絶妙に奇妙な風景を伝えたい。旅行に出掛けたら、その風景を誰かに見せたくなるように。見たことのない柄の猫に出会ったら、思わず写真を撮ってSNSに投稿してしまうみたいに。わたしの話は、そんな気持ちで公表している。涙と関係のないところで、自閉症の話がしたい。(略)自閉症は、イコールで不幸では
ない。つらいことも、そうでないこともある。 -
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十五歳の自閉スペクトラム症当事者の藤田壮眞さんが書いた心に響くエッセイ。
壮眞さんは四歳の頃にADHD優勢の自閉スペクトラム症と診断されている。
幼稚園、小学校のつらかったことや、自分がどのように、世界を、他者を理解している(いた)かを、うつくしく読みやすい文章で書かれている。
書いてくれてよかった。読んでよかった。
親近感と驚きがほどよく混ざった読書となった。
御本人はたぶん詩的にしようとは思ってない、詩的な表現にくらくらとする。
しばしご友人たちに「宇宙人」と言われる、独特な世界の見方に、発見が多い。
短歌の世界に来てくれないかなー、それとも現代川柳?と夢想する。 -
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ネタバレ自閉症の作者によるエッセイで、作者から見える世界が描かれている。
どう感じているのか?どういった思いをしているのか?など、自分が想像している世界とは全然違っていて興味深かった。
作者は自閉症のほかにもADHDや成長が止まってしまう病気などを併発している。そのためはじめは「かわいそうだ」と無意識に思ってしまった。
だが、「かわいそうだと思われたくない。自分は自分だ」といった旨の文がありはっとした。まだまだ自分には偏見があるのだと気づかされた。
イレギュラーなことがあったり、自分の思い通りにいかないといらいらしたり少しパニックになったりすることは自分にも当てはまる。
それと作者の母親の愛をすごく感じた。一方で父親の不在が気になってしまったが…(受賞で泣いているのと、成長する薬を拒否するシーンくらい)。
mbtiが流行るなど、どんどん性格の画一化が進んでいる世界は便利な分、少し息苦しい。多種多様である世界を許容したい。 -
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自閉症への理解が変わった。
自閉症の方は、感覚のある一部をとても過敏に、ある一部をとても鈍感にして世界を見ているのかな、と。
今までは勝手に距離を感じていたのだけれど、その距離が縮まったような気がした。
印象的だったのは以下
「わたしは明言されないやりとりは、まったくわからない。
だから友達になるまでの微妙なやり取りは、なにが起こっているのかわからない。あなたの態度が不愉快なので、やめてくださいと言ってくれる人はなかなかいない。あなたの態度が好きなので一緒にいましょうとも言わない。
友達関係だけではない。生活面でも海外ではこんなことをしてはいけないとガイドブックに書いてある。言葉の意味も書いてある。さらに、行く前に授業でこんなときはどうするかシュミレーションもやった。
日本では行動の仕方が書いてある本がない。
日本語は暗黙の了解が多い。それをやってはいけないと知っていますよね。そんなルールの上で社会が回っている。これがわたしたちにはしんどい。」
そうなの!私もそれはしんんどいよ!って答えたくなってしまった。 -
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自閉スペクトラム障害の高校生が、「自分自身」について書いた本です。
私自身、ADHD、ASDの診断を受けている側の人間です。彼と重なる部分もあれば、重ならない部分もあります。彼自身も書いていますが、「何に困っているか」「どうなってしまうか」は本当に人それぞれです。
でも、ここまで文章にした彼は本当に大変だっただろうし、本当に凄いことを成し遂げたと思います。
ページの所々に書かれているイラストも可愛らしく、彼の苦悩や考えていることが滲み出ています。
「知らない」は怖いことだと思います。「発達障害」は目に見えない障害ですので、より怖いかと思います。でも、この本を切り口に知っていく、のもアリなのかもしれません。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ興味深く読んだ。
いろんな音が並列で聞こえてきて、自分にとって必要な音が分からない。人の表情・感情が分からない。同じ生活パターンでないと混乱する。こだわりが強い。食も自分が認めたものでないと食べない。切り方が違うと食べない。不安が強いからこだわるし、どうしたらいいか分からなくて走ったりしてしまう。
自分と重なる部分もあった。必要以上に怖がったり、過集中気味なところ、人の気持ちが分からない。人の気持ちが分からないのは、少しずつ経験で積み重ねて分かってきた部分が大きい。私の場合はおそらく他人への興味が薄く、相手が何を考えてるかを察知できなかった。小学生の頃、なんでみんな分かるんだろうと思っていた。
これからのことについての章は読んでて泣けてきた。それまでの章ですごく努力をされてきたことは伝わっていたが、絶望するほどの努力をされてきたことが伝わってきた。それでも障害を理由に諦めずに前を向き続ける姿勢が素晴らしいと思った。またお母様の対応も素晴らしい。彼が少しでも生きやすくなるようにフォローをされてきたことが垣間見える。声かけも素晴らしい。同じ親として、自分はできてないと感じる。 -
Posted by ブクログ
15歳の藤田壮眞くんが記した「自閉症から見える世界」です。当事者(こんな若い子)の自伝は、とっても素晴らしい内容でした。自分と向き合い必死に綴った文章は、読むほどに爽やかで魅力的です。
内容は、幼稚園〜小学校〜高校(現在)と続く9章構成で、経験したことを振り返りながら、現在地(成長した)視点で描かれます。
自身の外見や行動が相手に与える誤解、苦手なコミュニケーションで生じる不調、特性による世界の見え方・聞こえ方など、興味深いことばかりです。
壮眞くん自身は、本書を「自閉症のわたしの取扱説明書」と例えています。なるほど、同じ自閉症でも個々の特性は違うらしいですが、読み手への貴重な記録とも言えます。壮眞くんの見え方や聞こえ方と、一般の我々の感覚や思考との相違は、"目から鱗"でした!
本文中から、その"目から鱗"の一例を挙げます。
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幼いわたしは、店先でおもちゃが欲しいと泣いたことがない。
たまに店先で寝転がってジタバタしている子供に出会う。横たわる場所ではないのに横たわるとは、わたしの仲間かと思った。後になって聞いてみると、違った。欲しいものがあって、それを買ってもらえず、抗議行動をしているそうだ。このような場所で、自分の欲しいものを判断し、しっかり自己主張ができることを賢いと思った。しかも大人がかなり劣勢である。
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どうでしょう? この情景描写と見方、流れるような筆致、言葉選びとユーモア! ホントに感心します。その後、ひっくり返って騒ぐ行為を、「恥ずかしい」と思えるまで成長した壮眞くん。温かくうれしい気持ちと今後の健やかな成長を願って止みません。
2023年(中3)時に書いた作文「自閉症を持つ私から見た日常」が、全国小・中学校作文コンクールで文部科学大臣賞を受賞し、広く紹介されたことが本書の原点と言えるようです。この作文の終末を原文のまま紹介します。
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私達にはみんなと同じだけの未来があり、期待を持っている。私が間違った時は、あきらめないで教えて欲しい。私もこの困難な世界に向き合い、痛みを知っているぶんだけ、弱さを持っているぶんだけ、他の誰かに優しくなれる大人になりたいと考えている。
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もう、泣けますね。尊いです。関西人じゃないけど、壮眞くんを悲しませたら「あかんやないか!」です。
壮眞くんは、発達障害を面倒だけど仲良くしている相棒と言えるまでになり、将来、自分のように空気が読めない人を助け、発達障害の研究に関心を示しているそうです。涙がちょちょぎれます!
でも、自閉症の子たちの大半は、壮眞くんのように自分の気持ちを上手く言語化できない子たちでしょう。社会や仕組みをつくっている大人の責任は重いですね。老若男女、万人の必読書と言えます!