前沢明枝のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「野生のロボット」の続編にして完結編。
(まだ続く可能性はあるかも)
島から回収され、息子のガン•キラリや仲間たちと離れ離れになってしまったロボット•ロズ。修繕され、中古品となったロズはある農場主に売りわたされる。妻を亡くし、片足が不自由になった農場主に代わって農場の一切の管理を任される。それでもロズは、島に残してきた仲間たちやキラリに会いたくて仕方がない。ロズに馴染んだ農場の子どもたちは、何とかロズを島に帰してあげようと計画を立てる。そんなある日、鳥たちの噂が広まったおかげで、農場にガンの群れがやって来た。そのリーダーになっていたのは…。
ロボットが動物の家族を持ち、様々な動物や人間と意思の疎通をして、遂には「愛情」にも目覚めるという不思議なお話です。"ロボットというハードに『心』が宿るか?"という、昨今のAI等の究極のテーマも含む作品で、児童書の形ではあっても、実はとても現代的で、最先端のSFをわかりやすく伝える作品だと思います。二冊そろって、おすすめです。
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Posted by ブクログ
嵐の夜、無人島に流れ着いた一体のロボット。島に住む動物たちは怪物を見るような気持ちで、ロボットに近づきません。一人ぼっちのロボットは、動物たちを観察して、言葉を交わす能力を身につけます。野生化し、島の中を探検して歩く中、死なせてしまったガンの一家。たった一つだけ残された卵から孵った子を、必死に育てるロボット。母親がわりになったロボットを、沢山の動物たちが助けてくれるようになります。出会いと別れが繰り返される中、ついにロボットを回収する使命をもつ者たちが現れて…。
超科学的な製法で作られたロボットが、大自然の中で野生化し、生き物たちと交感していく姿はある意味SF的であり、手塚治虫や石森章太郎らが描くマンガが目に浮かぶようです。痛みを感じないロボットが傷つく姿、野生動物たちが容赦なく死を迎える姿なども、同じ世界観を感じます。
ロボットが流れ着いた島は、ラッコやオポッサムが同居する不思議な世界。人間がどう生きているのかも中盤で描かれ、自然と人間との関わりも考えさせます。
ロボットの型番が『ROZZUM7134』で、通称ロズ。これ、チャペックの「R•U•R」(ロッサムのユニバーサル•ロボット)へのオマージュなのでしょう。
約300ページが80もの章に分けてあるので、読書の苦手な子でも区切りながら読み続けられそうです。
…たった一つ残念なのは、作者の描く多数の挿画がほぼ全ページにわたって散りばめてあるのに、全て白黒。
「表紙の絵と同じ手法で描いてあるなら、多分カラーだったはずだよな…」
と思うと、もったいない感じがするのは、私だけですかね? -
Posted by ブクログ
無人島に流れ着いたロボットと、無人島に住む動物たちのお話。
仲良くなるのはなかなか難しいが、動物たちの言葉を理解して、仲良くなっていくロズ。
がんの卵をかえして、キラリを育てることになった。
ロズがロボットに思えない。本当の母親のようにキラリに接している。
そして、動物たちもそれを応援する。
キラリが南の海に渡った後の冬がとても寒かったが、ロズが火をたいてあげ、動物たちをあたたかく過ごせるようにしてあげる。
ロボットだからできること、自分ができることで恩を返している。
自分の存在意義を「わたしはみなさんのお手伝いをするためにいるのかもしれませんね」とロズ。
心に染みる言葉。
しかし最後が、、、続きもあるので、ぜひ早く続きを読みたい、 -
Posted by ブクログ
全く期待せずに読んだのにめちゃめちゃ良かった。
まじで!
めちゃめちゃ良かった。
ロボットが動物と仲良くなる物語と聞いて、しかもこのリアリティのかけらもない絵を見てうっすら予想するファンタジックでゆるふわな子供だまし感は、完全にゼロとは言えないと思うけど、読み進めるにつれてそんな些末なことはどうでも良くなってしまった。
少なくともゆるふわでは全く無かった。
ロボットファンタジーの装いをした、命と友情と正義を真摯に描いた激アツ物語だったし、実は深く広く設定されたSFへの入り口も感じる。
のどか森の動物会議みも感じる。
もしこれが最初に修得した擬態と演技の賜物だったら切ないな。
結局心はないわけだから。
「〇〇するように生まれている」野生動物たちがその本能と生態をフルに活かして戦う場面はホントに泣いてもうた。 -
Posted by ブクログ
子どもが必ず夢中になる本。と、帯に書かれていたが、大人にもオススメです。読後はホッコリ。前半部分は緩やかに進み後半部分はハラハラドキドキ最後は少しホロリとする場面もあり、小学生高学年ぐらいから読んでもらいたい本です。私としては、今話題のプログラミングについても考えさせられる内容でした。なるほど野生の動物は天然のプログラミングを持ち合わせている。そしてA I時代への警鐘なのか、作者はそのようなつもりでかいたのではないかもしれないが、ロボットの良い面と怖い面が描かれていて、これから大人になる子ども達には是非読んでもらいたい。しかし、最近このような本を読む子どもが減っているような気がするのは、私だけかしら。
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Posted by ブクログ
ネタバレ仕事で使ったので一度丁寧に読んでみようと思った次第。少し前に映画化された模様。アニメーション映えしそうだったので機会があれば映画も観てみたい。
なんといっても読みやすい。本文は全部で八十の章に分かれており、ご丁寧にそれぞれ副題も付いているが、一つ一つが短めで中には一ページ以下の長さのものもある。細かく章が分かれているおかげで場面や視点の転換が分かりやすく、中断・再開にも心理的負荷が少ない。短時間でいくつもの章を読み進めることができるので達成感もある。本書のターゲット層は小学校中学年から一般まで、であるからして、上記のようなメリットは意図的に設計されたものだろう。
細かな設定は内容にも通ずる。表紙の袖にあるあらすじを読んだ限りでは、「児童書あるあるファンタジーで動物も当然のように喋るんだろうな」と漠然と思っていたものが、なんと序盤は全く喋らない。人間にとっての動物らしく、キーキーと鳴くばかりである。人工知能を携えたロボットのロズが、野生動物たちを細かく細かく観察するにつれて動物言語を獲得していき、段々と意思疎通が叶うようになっていくのである。
また、「明け方協定」というような可愛らしい設定はあるものの、野生動物たちがお互いに狩って狩られて生活する様子や、冬の厳しさに耐えられず死んでいくさまは自然そのものであるし、その中で知恵のあるロズが無双するわけでもない(役立ちはするが)。
言語にしても生活にしても、コミュニケーションの難しさや自然の厳しさを大前提に「ロボットが野生化したらどうなるか」を思考実験した結果が本書なのだと、作者の拘りを感じた。
個人の感想か企業の紹介文か忘れたが、「人間の自然破壊についても考えさせられる」というような文章を見た。確かに「冬はますます寒くなり、夏はますます暑くなる」という言葉や、海面上昇についての話題も出てくる。しかし、本書の主題はやはり、ロズがどう生き延びて野生動物たちとどう信頼関係を築いていくか、その過程を背景に「生きること」を問い直す、これに尽きると思う。ロズが自然や命と真摯に向き合う姿には学ぶべきものがある。
本書には人間が登場しない。キラリの回想で語られるだけである。しかし、ロズがどのようにして生まれたのか、レコを送り込んできたのは誰なのか、その存在は随所に感じられ、不吉とまでは言わずとも濃い影を落とす。故郷を守るために旅立つロズがいずれ出会う人間たちは、果たしてどのような形で登場するのか。その人間の在り方によって、本書の見方も大いに変わる予感がする。今から続編が楽しみだ。
それにしてもロズはいつの間に感情を獲得した(ように見えるだけ?)のか。レコも最後に忠告してくれるあたりささやかな感情を有していたように思う。こういうロボットものは大抵「人間的」になっていくのがセオリーだけど、それが我々人間のロマンなのかなあ。