月並きらのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
あざみと美桜は、どうして友だちになったのだろう。本篇で性格の違う二人を見て、そんなことを思っていた。ゲーム『都市伝説解体センター』のスピンオフである本書は、六人の作家によるアンソロジーだ。中でも今村昌弘の「ムラサキカガミ殺人事件」は、構成の妙で最もよかった。謎めいていた富入の人間性や有能さが浮かび上がり、司書との関係を知ると、本篇での振る舞いにも背景が見えてくる。事件を追う面白さと、人物を知る楽しさがつながる一篇だ。月並きらの「降り注ぐ凶兆」は、都市伝説の使い方や意外な展開が本篇に近く、満足度が高い。日部星花の「容疑者:ガイド」は緩急がうまく、読後のぞくっとする怖さでは一番だった。梨の「N番目の臨時ニュース」は、都市伝説系モキュメンタリーの手法で読ませる。宮本深礼の「囲う絆、祟る器」では、松田が意外とちゃんと仕事をする男だったとわかる。本篇で少しうさんくさかった人物が、ぐっと身近になる。そして田中創の「幽霊の手が繋ぐもの」が、あざみと美桜の出会いを描いてくれる。六篇それぞれの怖さや謎解きを楽しみ、本篇の人物たちを前より少しよく知ることができた。本篇を知っている人にこそ読んでもらいたい。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
ゲームにはなかったけど、他にも何件かあざみとジャスミンで依頼こなしてたと思うと少し救われ……るか?
ジャスミンの心の傷が大きくなるだけでは…?
思い出が多い方が吹っ切れ難そう。
山田ガスマスクときのこの話は最後「そういう事だったの?」と肩透かしな気分を味わった後に「いや、でも途中の鈴の音は何だったの…?」と疑問に思った。
結局怖い話だったのか?
グレイトリセット後のジャスミンの話は色々辛い。
富入さんが上司で良かった…!
部下の感情にも配慮してくれる凄出来上司で…!
この事件でジャスミン吹っ切れて良かったけど、最後意味深な終わり方は期待しても良いんだろうか…? -
Posted by ブクログ
原作ゲーム終了後の喪失感が強かったが、あの終わり方だと続きは望み薄だと思っていたのでこういうかたちで関連作品が世に出てくれることはすごく喜ばしい。
それぞれのストーリーももちろんおもしろかったんですが、話数構成というか話の順番が少し原作から離れた私を改めてこの世界観に沼らせるために構成されたもののようで、展開に戸惑うことなく読み進めることができた。
原作ゲームをやった人は解体シーンを読むためだけにこの本買ってもいいと思います。
センター長から電話がくるときとか自然と頭の中でBGMが流れますよ。
非常に残念なのはこの本を読み終わったことによってさらに喪失感が大きくなったことだろうか。
この断篇集の続編も作ってくれ〜(´;ω;`) -
Posted by ブクログ
事実は不透明。
都市伝説とは、出どころ不明な噂話が、他人に影響を与えるまでに力を増した存在である。実際に存在するかは重要ではない。火のないところに煙は立たぬという言葉があるが、煙こそが重要なのだ。火は過程でしかなく、煙が目的であり結果だ。煙が人為的なものであれば、そこに必ず意図がある。助けを求める意思なのか、獣避けなのか、はたまた悪意なのか。都市伝説という結果を解体し、悪意を取り出す。それこそが都市伝説解体センターである。
本作は所謂スピンオフというものだ。原作はゲームであり、ジャンルはミステリーアドベンチャーである。怪異を特定し、都市伝説を解体する都市伝説解体センター。そこで働く職員が都市伝説を解体しながら、大きな悪意に巻き込まれてゆくという作品だ。原作のファンとして、本作は非常にお薦めである。原作で登場する怪異の特定と解体の要素が盛り込まれつつ、原作でも重要な要素であった悪意も散りばめられている。原作が好きな人であれば、必ず好きになるだろう。しかし、原作の知識が無ければ十全には楽しめないとも感じる。しかしそれは悪いことではないとも思う。原作は性質上ネタバレ厳禁であり、ラストの破壊力は高いものであった。しかし、ネタバレ厳禁だからこそ誰とも感想を伝え合うことができないのである。私は誰かに感想を言うのが好きだ。誰かの感想を聞いて共感するのも好きだ。多くの人も心が震える作品に出会った時は、その気持ちを誰かに伝え、共感したいと思うだろう。その気持ちを本作では少し解消できた。登場人物たちの心情が、小説なら直に伝わってくるためだ。本作を読んで。1人で都市伝説を解体していた自分に、1人ではないと慰めることができた。