小林美穂子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
生活困窮者を支援する社団法人「つくろい東京ファンド」で働く著者の実体験に基づく、生活困窮者を取り巻く環境と課題をわかりやすく教えてくれる本。
著者の小林さんは海外生活も長く、通訳も務めた才人です。しかし生活困窮者に寄り添い支援するという仕事を選んだ惻隠の情の深い人物でもある。
この本で語られるのは厚生省の旧態依然とした体質であり、困窮者に寄り添うべき社協の親切で助けてあげているという見下す態度であり、そして経済的に裕福でない日本人が困窮者を見下す構造などである。
また、生活困窮者が生活保護を申請しない理由に「扶養照会」という親等の近い親戚に「なぜ扶養できないのか」を問い合わせるシステムがあることを明らかにする。
困っている人の事情は人それぞれであり、その人の要望に応じて支援するべきであるのにそうなっていない現状を糾弾する内容となっている。
在留資格を持たない外国人、突然住まいをなくした日本人、家族との縁を切らざるをえなかった人など困窮するに至った経緯は色々である。
その中でセーフティーネットとしての生活保護が機能していないのは法整備の問題というより、現場の職員の無知や蔑視にあるとする。また、政治家や有名人の中にも困窮者を見下す人が散見されることをこの本は教えてくれた。
著者は文才もあり、スルスル読めた。