桐島滋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
シリア、アサド政権が崩壊する少し前、まだ内戦中の2022年に著者は観光客としてガイドと共にシリアを「旅行」する。
ダマスカス、パルミラ、ホムス、イドリブ、アレッポ・・・内戦のニュースで幾度ともなく聞いた都市では、普通の生活している街の隣に爆撃されたり地上戦が行われた廃墟を見る。平穏に暮らしているように見える市民は今も戦火の中にある、ということを見せつけられる。
著者はガイドもドライバーも実は秘密警察で、常に自分を観察していて、不都合があればいつでも拘束、監禁されることになるのではないかと恐れている。
読書中、僕は著者は疑心暗鬼にすぎる、ドライバーもガイドもいい奴じゃないか、とすら -
Posted by ブクログ
駅前の書店で気になって手に取りました。
たぶんネットでは出会えなかったと思うので、
書店でたまたま目に入ったことに感謝です。
シリアの町を巡る10日間の”観光旅行”。
情勢が不安定な土地を報道の人が取材するときは、
防弾チョッキを付けていたり、
政府軍が護衛についたりしているイメージでしたが、
シリアを旅する著者にはガイドがついているだけ。
周りにいる誰かが監視していたり、
工作員だったりするかもしれないし、
何が起こるかわからないという、
変な緊張感が伝わってきました。
その中で撮影してくれていた写真がカラーで見れて良かったです。
文字も大切ですけど、やっぱり写真の力もすごいですね。
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Posted by ブクログ
ネタバレ2022年初夏のシリア旅行記。シリア旅行は現在、ガイドがつきっきりで、事前に選んだ場所にしか行けないようになっている。
2011年から内戦が続くシリアでは、アサド政権と反体制派の対立に、イスラム過激派やロシア、イラン、レバノンのヒズボラなどが介入し、混乱が続いている。
以下、印象に残った点をいくつか。
写真を見るかぎりでは、都市部ではある程度普通の日常を送れている。
現地の人が外国のスパイと疑われるような面倒をかけないため、自分から現地の人に話しかけないように著者は心がけていて、政治や戦争の話は基本的にガイドとしかしていない。ガイドによると、シリアが混乱を続けているのは、政府にとって