山本文彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
様々な革命や反革命を経験してそのたびに歴史の画期があり現在にいたるイギリスやフランスに比べ、ドイツの歴史はわかりにくい。
皇帝と諸侯、教皇の複雑な関係が絶え間ない争いをうみ、諸々の家柄や所領の絡み合いを条約や法によってなんとか纏まり維持してきたかにみえる神聖ローマ帝国の歴史は本書を通読してもなおなかなかに飲み込みづらい。
とは言え、そんな歴史の霧の中にも、現在のドイツにいたる核心のようなものもおぼろげながら見えてくる。それは地域ごとのまとまりである帝国クライスだったり、何事も決まらないながらも存続した帝国議会だったりするのではないか。
苦言をあげると、版図と系図が少ない。主なところは載せてある -
Posted by ブクログ
神聖ローマ帝国について何も知らんので知りたく思い読む。結論、先にドイツ史を読んどくべきだった。
西ローマ帝国の滅亡により庇護者を失ったローマ教会がゲルマン人の国フランク王国に、ぶいぶい言わせてるカール大帝に教皇が戴冠を行うという形で、歩み寄ったことからことは始まる。
その後フランク王国が仏独伊みたいな形で分裂したりして形を変えながら、いわゆるドイツのあたりがそれと定まる。
10世紀頃イタリアではアルプス以北のゲルマン人を「ドイツ人」と呼んでいた。
10世紀末、ハンガリーを版図におさめ、オットー一世の時代に帝国となる。
古代部族社会を形成していたゲルマン人の慣習として王は選挙により選ばれ -
Posted by ブクログ
中世〜ナポレオン時代までドイツに存在した帝国の概説本。「皇帝と教皇」「開かれた(=制度が確立していない、と読んだけどOK?)国制」の二つの観点で850年の歴史を紹介している。帝国主義時代にドイツが出遅れた原因は神聖ローマ帝国が続いたことにある、と思っていたが、現代のEUという連合体につながる(意訳)、と言われるとそうかもしれないとも思う。ただ、21世紀が4分の1経過した時点で見る限り、神聖ローマ帝国存続による中央集権体制への出遅れ(同じタイミングで統一された日本、イタリアも同様だけど)は、ドイツの不幸な一時代を産んだように思う。あらためてハインリヒ6世の早逝がなかったら、と思わずにいられない。