木寺一孝のレビュー一覧
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和歌山毒物カレー事件を映画化した「マミー」が上映中だ。
死刑が確定しているが、無罪だったのではないか、という映画。
この映画を青木理さんが取り上げ、あわせて話題にしたのが「飯塚事件」。
これも証拠が十分といえない状況で、当時開発されたDNA鑑定を決め手として、
犯人逮捕、死刑判決に至った事件。
同時期に起こったのが、まもなく冤罪で無罪を獲得しそうな狭山事件。
当時のDNA鑑定技術はまだ不十分だった、、、
前置きが長くなったが、この「正義の行方」は、飯塚事件を真正面から
取り上げている。西日本新聞というメディアの動向もあわせて。
他社に抜かれないよう、報道を焦り、これが世間をあおり、逮捕、判決 -
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オーディブルで聴きました。
日本の警察、司法はAIでなく、 感情のある人間が行っているものであるから、そこには、いろんな駆け引き (説得、プライド、メンツ、そして脅し?まで。。)が存在するのだろう。 いろいろな立場の人たちのフィクションでない生の証言 を聞いたわけだが、冤罪決定!とは言えないにしても、やはり2年で執行は絶対におかしい。何かの意図があったとしか思えない。AS政権下だったというのも怖い。 疑わしきは罰せずではないのか。 人の命ですよ?
なぜテレビドラマで多くの冤罪事件が扱われるのか、そんなに日本の警察はでっち上げているのか疑問に思っていたけれど、
めっちゃでっち上げてますね -
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nhkのテレビに無かった話も少し加わった内容になっていた。やはり元刑事の話には?だった。 「私は早く辞めるために無理な捜査をするというのが持論よ。刑務所の塀の上を歩いてね内側に落ちちゃいかん外側に落ちるというようなね。違法捜査じゃないギリギリのところをね。」 違法でないなら早く辞めることにはならないのではないかな?よくわからない言葉だ。DNA鑑定についても科警研の鑑定の検証していた石山教授の結果DNAが出なかったのではなくて検査材料が少ないから上手く検査が出せなかったのではないかと聞き返しそうだと言わせそれで逮捕につなげるとは。検証できなかったなら余計慎重になるべきだと思うが慎重さが足りな
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映画をみて、本も購入。
関わった警察官、弁護士、新聞記者、そして「被告」の家族の視点から飯塚事件をみる。信念?が揺らがないほどおそろしいことはないのかもしれない。
それにしても西日本新聞の懐の深さというか、事件への真摯な姿勢が心に刺さる。自分たちの報道姿勢がはたして「正しかった」のかを、その時の報道、取材に関わっていない記者を指名して、当時の報道の在り方、そして、もう一度飯塚事件そのものを検証するという姿勢がすごいなと思った。
人は揺らぐ。でもその揺らぎ、疑念、本当にあれでよかったのかと思えることがとても大切なのではないかとも思うのだ。
「正義」は、時に暴走するものなのかもしれない。
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東の足利、西の飯塚と言われるDNA鑑定に基いて犯人逮捕に至った殺人事件のうち、飯塚事件を取り上げてる。捜査を行なった警察官、被告人の妻や弁護士、事件報道した記者達の視線で淡々と真実に辿り着こうとしているので読み易い。ただ納得いかないのは、被告人の再審の手続きを始めた直後に刑に処せられた点。当時のDNA鑑定は今ほど正確でなく、そう告げた教授の指摘に、警察上層部は難色をしめす。その背景には全国的にDNA鑑定を普及させようとする意図が働いていたらしい。早くに刑に処したのも冤罪を恐れての事かと、どうしても穿った見方をしてしまう。警察官の不祥事は後を引かない。今一度襟を正して頂きたい。
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ネタバレ女児2人の遺体が山林で発見された飯塚事件。
容疑者は意外にも早々に浮上した。
決め手の1つがDNA鑑定。
今でこそ高い正確性を持つが、この頃の精度は高いとは言えなかった。
DNA鑑定が決め手となった冤罪事件、足利事件と同じMCT118法で鑑定された。
別のDNA鑑定では、一致しなかった。
断定できる決定的な証拠がないにも関わらず、総合的判断で死刑が言い渡された。早すぎる死刑執行。
鑑定ノートや証拠の捏造、隠蔽、改ざん。
目撃証言誘導の可能性。
検察や警察の不正は火を見るよりも明らかだった。
ところが、再審請求は認められなかった。
昨日読んだ、青木俊「潔白」(フィクション)の内容とこ -
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ネタバレ「死ぬ前に一個お願いを聞いてくれて、というのがあって。そのときに、あの朝なにがあったのか、というのをですね、どこかにカメラがあって、巻き戻してですね、みせてほしいな、と。どんな感じで、本当に彼だとすればですよ。違う人だったらどうするのか、衝撃ですけどね、どっかのカメラからね、これが本当でした、っていう。30年間巻き戻して。」
宮崎元記者の言葉が、もう本当に読んだあとの気持ちそのまま。関係者は誰もが一度はこう思ったのではないか。
DNA鑑定の事件捜査への導入や予算獲得に向けて警察庁が動いていた時期と重なったこと、同じ鑑定方法をとった足利事件が冤罪となったこと、証言の誘導、証拠の捏造を疑われか -
Posted by ブクログ
ノンフィクションだからこそ、ひとつひとつの言葉に重みがあって生々しさを感じる。
1992年2月福岡県飯塚市で少女二人が誘拐され、殺害された飯塚事件である。
30年以上前に起きた殺人事件が、2022年にNHKで放送され、2024年映画にもなり、こうして書籍化しているということは、この飯塚事件は死刑判決が確定し、判決から二年後という異例に早い段階で執行されているということ、しかも久間は最初から絞首台に上る直前まで否認を貫き通していたことだ。
当時は、詳細を知らずにいた。
歳月が経っても、自分の中の正義を信じているというそれぞれの思いを知った。
真実はそれぞれにあって、それぞれが主張している。 -
Posted by ブクログ
32年前に起きた少女2人の殺人事件、いわゆる飯塚事件の映画を元にしたというノンフィクションである。
すでに犯人として死刑にされた久間三千年は最後まで無実を主張した。
警察の立場から、弁護人の立場から、そして目撃者や妻も証言する。
一番不思議に思ったのは、その事件の3年前に近くで同じく行方不明になっていた少女の遺体が、久間容疑者へのポリグラフ検査から発見された事だ。
正義とは何なのか?
戦争を起こした人たちにも正義はあり、立場によって正義の価値観が変わる…
でも、誰かが嘘をついていたはずである。
それが誰なのか、何のためなのか、どうして急いで処刑されたのか、疑惑が残る事件である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ正義というものについて考えさせられることがあり、タイトルを見た時に「誰のどんな正義についての話だろう?」と興味を惹かれて手に取りました。
恥ずかしながら飯塚事件というものを全く知りませんでした。名前は聞いたことはあったもののその事件の概要や、裁判・判決・死刑執行、更にその後の再審請求など全く知らず。(ドキュメンタリー映像もあるのですね)
司法における異例の事態といっても言い過ぎではない展開には息を呑みました。第二次再審請求の判断がほんの2週間前ほどにでたということもネットで知りさらに衝撃を受けました。
事件が起きた頃がDNA鑑定導入の黎明期だったことや足利事件とのからみなど、この時期でなけ