林宏文のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
今、最もホットな半導体業界で圧倒的な成功を収めている会社の勝因研究である。30年間この業界とこの会社を見てきた台湾の著名ジャーナリスト林宏文が満を持して書き上げたTSMC分析の傑作だ。
アメリカと中国のデカップリング、’22 米CHIPS法施行、コロナによるサプライチェーンの綻びなど地政学的要因で、台湾のTSMCは半導体の受託製造工場をアメリカや日・欧に分散することを始めた。米アリゾナ州、日本の熊本、シンガポールやヨーロッパなどへ莫大な補助金付きの本格的な工場進出である。
かつて日本の半導体産業は世界を席巻しアメリカとの貿易摩擦で衰退したが、日本は大企業の一部門として設計・製造・製品と垂直展開 -
Posted by ブクログ
その名を聞かない日がないほど重要な企業であるものの、実態は何も知らないので読んでみた。
まず設立されてから40年にも満たない企業であること、にも関わらず時価総額の世界ランキング10-12位に位置し、純利益では4位、先端半導体の世界シェアは9割を握るという驚異的な成長を遂げたことに驚いた。
半導体は高度な技術と非常に多くの工程を要する製品なため、設計と製造の分業が進み、tsmcは製造に特化したファウンドリーという形態をとる。製造と言っても設備投資や研究開発には莫大な資金投入が長期的に必要となる。1976年には台湾がアメリカラジオ会社からの技術供与を受けている。1980年に新竹サイエンスパークが -
Posted by ブクログ
友人の読書記録から興味をもったので。台湾人の筆者による半導体ファウンドリーのTSMCに関するビジネス書。歴史、業界、企業文化、経営方針などについて、当然、地政学についても、たっぷりと書かれている。台湾を守るものは軍事力だけではなく世界の要である半導体産業だ。繰り返し書かれていることに、TSMCのコアは技術集約型産業で比類なき競争力を獲得していること、そのエンジンが台湾人エンジニアのコストパフォーマンスにあることだ。台湾からみた世界情勢や日本・日本人についての記述も興味ぶかい。
技術に投資し人を鍛え競争に勝ち事業を育て報酬を払う、というサイクルを長期的に繰り返す、基本的だと思うが日本でそのよう