小篠綾子のレビュー一覧
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面白く見ていた朝ドラ「カーネーション」が再放送されていたので。
コシノ三姉妹の母・小篠綾子さん自身が書いた本を読んでみました。
戦前の、まだみんなが洋服を着るのが当たり前ではなかった時代。
呉服屋の娘に生まれ、洋服作りを学んだというか、見よう見まねもありで修行し、工夫を重ねた綾子さん。
経緯はドラマのほうが詳しいので、それがどれぐらい事実に基づいているのかはわかりませんが。
厳しかった父親のユニークなしごき方。
「やりたいことをやるなら、それだけのことをしてから、やれ」と。
娘の才能と根性を見込んでいたのでしょうね。
綾子さんの子育ては意外と細かく指導したのではなくて、むしろ子育ては親や人任せ。
子どもが進路に迷っているときも、決断は本人に任せる。
自分が家族を背負って仕事をし、女性を美しくする服を夢中になって作り、楽しそうに販売する。
そのたくましい背中を見て、娘さんたちは成長したのでしょう。
夫亡き後の恋も、ドラマではこれ以上ないぐらい素敵に描かれていました。
現実はもっと思い切っていて。そりゃあ朝ドラでは描ききれないですね。
晩年になっても目を輝かせているお姿は、テレビで見た記憶があります。
70歳過ぎて、プレタポルテに進出したんですものね。
力強くきっぱりした文章に、さすがのパワフルさが感じられました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレNHK朝ドラ『カーネーション』のモデルになった小篠綾子さんの半世紀。ドラマではああいうふうに描かれていたけれど実際はこうだったのか、と興味深かった。戦争が終わるくらいまでは事実をわりと忠実に再現していたけれど、戦後は、綾子さんのえぐいところを上手に“いいひと、いい母親”につくりかえていたようだ。まぁ朝ドラだからね。綾子さんにしろ糸子さんにしろ、こういうひとは母親にも娘にも欲しくない。友だちにもいらない、振り回されて面倒だから。でもこのひとの人生は目が離せないので、近所のおばちゃんぐらいの立ち位置が丁度いい。履物屋のおばちゃんとして、彼女の人生に関わったら面白かっただろうな。(2018-04-21L)(2018-05-12L)
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コシノ3姉妹の母、小篠綾子さんの自伝です。朝の連続テレビ小説『カーネーション』の原作です。テレビと違って、奈津も安岡家も木元家も北村さんも出てきません。
でも、ドラマの糸子さんより、本物の綾子さんはもっともっと自分の思いのままに自由放埓に生きてきた人だったこと。お父ちゃんはテレビよりずっとしっかりものだったこと。テレビでは周防さんとは別れますが、モデルになったTさんとは20年も同棲していたこと。Tさんとの同棲時代はかなり遊びまくっていたこと。なんていうのが分かって面白いです。やっぱり、ドラマになると不道徳な部分や過激と思われる部分はなくなっちゃうんですね。娘たちに買ったオルガンがその後どうなったかは、原作では面白い結果になりますよ。
『やんちゃくれ』を改題、再編集。
父と私、私と娘―コシノ家の生き様とは◆父と娘の二人三脚◆男と女―夫婦というもの◆別れと出会い◆恋という名のあだ花◆我が子との戦い◆私の道はまだ続く―三姉妹から四姉妹へ
著者:小篠綾子(1913-2006、加西市、ファッションデザイナー) -
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「小篠さん、電報!」
という声が柱時計の音とともに飛び込んで来ました。
それは父の危篤の知らせでした。父は列車の中で急に元気になり、一緒に行った人たちを驚かせていたのですが、調子に乗ってお酒を飲んでいるうちに急に倒れたらしいのです。
私はともかく、父と仲のよかったタバコ屋の大塚さんにそのことを知らせようと走って行きました。大塚さんの家は早朝にもかかわらず、玄関の戸が開いていました。
「おっちゃん、えらいことですねん。ちょっとこれ見て下さい」
と電報を見せようとすると、娘のみっちゃんが顔を出して、
「あっ、綾ちゃん。おっちゃん迎えにきたん。おっちゃんなら今帰らはったよ」
「何言うてるの。お父ちゃんは今危篤なんよ」
「そんなことあらへん」
と彼女は笑い出しました。
「その戸、開いていたやろ。うち、今、おっちゃんを送って行ったところやもん。おっちゃんな、朝一番の列車で温泉から戻ってきたところやなんて。綾子にこんな純毛ずくめの服着せられて、楽しかったと喜んではったわ。それに別れしなに、綾子を頼みまっさ、綾子を頼みまっさと何べんも言うてはった」
私は狐に包まれた思いで、国民服に酒の入った水筒を肩にかけた父が、 まだその辺りをうろうろしているような気がして探し回りましたが、出会うことはありませんでした。(160p)
朝ドラ「カーネーション」が終わってずいぶんとたった。原作本のこれは、実は二月には読み終わっていたのであるが、車の隅に隠れてしまってこれまで感想を書けないでいた。
読んで驚いた。
流石本人綾子さんが自ら「私を朝ドラのヒロインに」と、主張していただけはある。よくできているなあと思っていたエピソードのあれもこれも、実際にあった(或は本人が思っている)ことだったのである。一番ビックリしたのが冒頭に書き写したエピソードである。国民服もお酒の水筒も、父の幽霊も、ホントにあったのだ。と同時に、渡辺あやの見事な脚色にも唸った。
渡辺あやは微妙に原作の中味を変えている。綾子さんにとり、父親の存在がいかに大きかったか、というのは、大きく膨らませ、「Tさん」(周防さんのこと)との恋の部分は細かな設定を変えている。そもそも原作は関西弁を喋っている。私が「TVドラマ向きだ」と想像していた三女ミチコがロンドンに行ったときのエピソードはバッサリ省かれてしまった。後に綾子さんがロンドンへ十七個もの荷物を持って励ましに行ったときに、本当はミチコは気持が潰れかけていたが、素知らぬ顔で帰国したという。「このときの経験があったから頑張れた」とのちにミチコは語っている。
父親に顔を殴られて「これが男の力だ」と言われたのは、実際にあったが、散髪屋のおばちゃんから「今の勘助にあんたの図太さは毒や」と云われたエピソードは、その息子のことを含めて脚本家の創作だった。Tさんをめぐる家族会議でヒロコがハッキリ「お母ちゃんは悪くない」と味方したのは事実だけど、北村は創作上の人物。
女だけれども、女しか出来ない「だんじり」を担ぎ、一家の大黒柱として生き、親の背中を見て子は育つを実践し、岸和田でいい女振りで生き抜いた一生は、この本からも十分伝わって来ました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレカーネーションにはまって、読んでみた。
カーネーションの印象がものすごくあるところから読んだので、あ、ここはドラマと違うんだなとか、そういう見方になってしまって本単品の評価はできないけど、ドラマを先に見ていたからこそお父ちゃんとのやりとりの部分とかはその映像が思い浮かんで、ついのめりこんで読んでしまった。
ドラマを見ていても思うことだけど、本を読んで改めて感じたのは、自分の人生に対する自分の責任っていうものがあって、それは子供とか大人とかは関係なくて多分人としてみんながそれを負っているんだなということ。
だから「やりたいことを決めるのは親じゃなくて自分自身」とか、「決めたんやったらやりきり」とか、そういうところがすごく響いた。で、始終そういう考えで一貫されているところが気持ちよく感じた。
ドラマの中で一番響いてるのは、優子が進路に悩んでるときに糸子が「自分で考え」って突き放すところ。ドラマはドラマ、この本はこの本で状況とかは若干違ってたけど、本の中にもやっぱりこの考えが根本にある感じがして、よかった。
またドラマを改めて一から見たくなりました。
ちなみにドラマはフィクションになってたからまだ見やすくなっていたけど、実際は結構ドロドロな感じなこともあったんですね…。 -
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ネタバレご存知、コシノ三姉妹のお母さん、綾子さんの自叙伝。朝ドラ『カーネーション』の他、今年公開された大地真央さん主演の映画も見たから、あれこれ思い出しながら読んだ。やっぱり、キャスティングは朝ドラが優勢になってしまったけど。
朝ドラは再放送も何度も見た。映画見て「これも実話だったの?」と驚くことも多かったけど、本当にまさかというエピソードが、ほとんど実話によるものだった。ドラマではそれを組み合わせて上手くストーリーの流れを作ってあったので、未だに名作を言われるだけのことはある。とは言え、ドラマにはオリジナルの登場人物も多かったから、あれはあれでちゃんと区別はしてるつもり。
映画ではある程度詳しく描かれてたけど、不倫相手との話にやっぱり驚く。結局、結婚することなく、20年も続いたと言うのだから。
(ふと思い出したのが、こないだ読んだ『汝、星の如く』。あの作品の中の、瞳子さんではないか⁈)
もしかして、朝ドラにするに当たって、一番ハードルになったのが、この話だったんじゃないだろうか?そこをロマンチックな山場にして一度区切りをつけ、その後については娘たちの話をメインにしたんだろうな?ついでに言うと、実際のこの男性の役割を、ドラマの中では北村のおっちゃんにも分散させてたんじゃないかな、最初の寄り合いの場面と結びつけて…。ちなみにホントにその時までお酒を飲んだことがなく、記憶をなくして家に戻られてたと言うのも、実話だったという…。
自叙伝(の文庫化)なので、娘たちが成功したあたりまで。にしても、本当に波瀾万丈の逞しい女性の一代記。ドラマ(もしくは)映画を見た人も見てない人も、楽しく読める一冊だと思う。