田原史起のレビュー一覧

  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    封建制は遥か昔に終わった中国社会における民衆の行動は、日本の未来を考える上でも参考になる。場を離れた個人が多数となる中でエゴセントリックな社会認識が日本人にも広がるのではないか?

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    2025年10月04日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    中国の農村と聞いて想像できるのが茶畑のみだったので、厚く肉付けしたく手に取りました。調査対象の農村がいくつかあり、数年に渡って調査しているので、調査内容を地域別に比較したり、同一の調査対象者であっても立場の変化によって、言動に変化が見られることを調査できているのことが興味深かった。

    しばし外国からの調査団は農村に入り込めず失敗をする、という失敗談のまとめがありましたが、その話こそが最も生々しくヒリヒリとした緊迫感も伝わってきて、入り込めること以上に、高い調査成果のように思う。

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    2025年03月16日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    農民工といえば、中国内部の格差を背景に搾取される存在、というイメージだったが、実は中国特有の家族主義に基づく、したたかな経済的上昇戦略の文脈で捉えられ得ることを知った。老親・子・孫が田畠・現金収入・教育の最適解を求めて拠点を構え行動する様は逞しい。また、その主な舞台となる県域社会を、大都市への人口集中の防波堤にしようとする習近平政権の政策にもなるほどと思わされた。長年のフィールドワークに裏付けられたそれらの分析を飾らぬ筆致で楽しく読めるものに仕立てた著者に脱帽である。

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    2024年10月27日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    中国農村の姿

    著者の豊富なフィールドワークを基にして中国農村の姿を描き出した好著である。一見似ているようで根本の考え方が異なる中国農村と日本農村に違い、共産党独裁下における中国社会の安定性、習近平政権の都市化計画など、初めて知り、なおかつ納得できるような解説が目白押しである。トピックス エピソードを並べることによって全体を推測させる という著者の手法にも納得感がある。
    そして最後の「麦の花」の話で全体を締めくくる読み物としての技法にも非凡なものがある。

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    2024年10月01日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    中国の知られざる姿。急激な経済成長により都市部の大発展。日本から目立つのは沿岸の大都市部だがそれは人口14万人のうちの4万人。残りの多数の農村の実態を長年のフィールドワークから明かす。あくまで外国人から見た姿であり、また当局の協力を得られずまた文化的な側面からも、全てが描かれるわけではないが、大事な一面を捉えているように思う。また民主主義が、日本も含め欧米以外の諸国でどのように変化し利用されていくか、大変に興味深い内容であった。
    高度経済成長期の日本の都市部と農村に似てはいるが、また違った中国のリアルな姿を描いた良作。

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    2024年07月15日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    ネタバレ

    最後の麦の花の話が圧巻。フィールドワークとはこういうものか、とそれが困難になっていく状況の話から、結論として提示される。ある意味絶妙なはぐらかしにも思えたのは気のせいだろう。

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    2024年06月19日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    1990年代から2005年ぐらいまでの、中国農村の仕組みを、主に著者のフィールドワークをもとに描き出している。
    大変に面白かった。
    記述しきれなかった部分も多々あるだろうけど、なんとなく中国の農村の方が民主的な自治を実現しているような気すらしてしまう。
    冒頭の中国という国の統治構造について述べられている部分も興味深かった。文革時代の枠組みが継続しているという点で。
    語り口も、過度に学問的でもジャーナリスティックにもならずに、人間というものに焦点が当てられていて、良い。

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    2024年05月15日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    現代の中国農村の実態に迫った新書。同じ東アジアとはいえ、日本の農村とは社会の仕組みがかなり違うことがよく分かる。調査に失敗した時の話も詳しく書かれており、その原因を反省することを通じて、中国社会の特色が浮き彫りにされるのも面白い。

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    2025年03月18日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    封建制と民主主義は相性が良く、中国の農村は早くから封建制度から解放されており、階層化されていないので、民主主義が根付くことは難しいとの指摘には驚いた。
    華流ドラマには、盛んに「〇〇家」が出てくるが、中国のそれは家族主義、血縁主義であり、日本の家制度とは異なるらしい。日本の家制度の原点は中国にあると考えていたので、この点についても驚いた。なるほど九族族滅などを発想するわけだ。
    研究調査のわき道からの視点で書かれた本のようだが、本筋から外れたところでいろいろ学ぶところのある本だった。

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    2024年09月06日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    中国は都市と農村の2つの社会があると言われる。かつてある日本企業の中国駐在員が中国は農村という植民地を抱える国だ、という発言を聞いたことがある。自分は中国に住んでいた経験があるにもかかわらず農村に足を踏み入れることはなかったが、本書を通じて実態の一端に触れることができた。
    中国農村は企業や役所といった中間団体が希薄な地帯であり、血統による家族主義に基づいている。日本の村のような地縁に基づく社会とはまた違っている。重視されるのは血縁に由来する人的なつながりである。筆者は、大学などで縁者をリクルートして農村に滞在し調査を行っている。
    本書はこうした農村を舞台に農民工の出稼ぎや一人っ子政策といった共

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    2024年08月27日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    すごく勉強になった。
    ・中国は封建制が遥か昔に終わっており、土地の流動性が高く(=地縁的結合が弱い)家族主義が強い
    →中間集団となりうるコミュニティがなく、個人が集団を代表する代議制の選挙は合わない
    ・農村の発展は公の精神を持ったデキる幹部農民に依存してきたのに、選挙導入後は落選し今やヤクザ者タイプが村を仕切っている
    などなど大変興味深かった。

    全体的に面白かったが、社会学の理論の部分がサラッとしすぎな点は物足りない。
    费孝通の差序格局をきちんと勉強したい。

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    2024年08月24日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    中国では、農村戸籍と都市戸籍の区分、大都市における農民工の劣悪な労働環境、農村からの大学進学希望者の急増による大学の乱立による就職難、など、様々な中国の農村に関する情報を見たり聞いたりしてきている。1種の農奴性ではないかと思い、毛沢東がこの農民たちを取りまとめ、社会主義革命を達成するため、大動員したのではないかと考えていた。本書を読みながら、魯迅の阿Q 正伝を合わせて読んでいた。辛亥革命の前、魯迅は農民をどう考え、どういった方向に導こうとしていたのか?絶望的な環境の中で、狂人として振る舞う農民、故郷に出てくるルントウ、阿Q 正伝の阿Qこれが現在の農民の考え方と一続きではないだろうか?と考えてい

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    2024年04月12日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    中国農村の現在
    「14億分の10億」のリアル
    著:田原史起
    中公新書 2791

    中国人民公社は、1958年に毛沢東の肝いりで制度化され、中華人民共和国憲法の成立とともに1983年に消滅した
    大量の餓死者を生み、一人っ子政策の遠因となった中国の農村政策を、人民公社の消滅を視野にいれて、社会学者の分析したのが本書になる

    中国のアキレス腱は、食である。農村の生産性は低いままであり、農産物の安全性は低い。
    都市部はスマートテックなどのIT振興政策で発展し、農村との格差は広がる一方である

    家族制度や政治との関与について中心とされ、農作物の流通や、農業生産性をいった経済面にあまり触れられていないこと

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    2024年10月01日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    本のタイトルを見て、読みたかった内容はなんだったろう。

    偉大なる文明の復興という、ファンタジックな野望を掲げる指導者の下、その大半を占める「農村」民の実態はどうなのか。

    全く判らなかった。
    その文脈では。

    上に政策あれば下に対策あり、はよくわかったけど。

    著者によれば「改革前」は少なくとも、貧しくとも清く正しく力強い人々だったってことか。
    だが、何度も「改革前」と言いながら改革後はどうなのよってところをあまり評価していない気がする。
    農村保護に力を入れる中央って表現もあったやに記憶するが、それが上手くいってないってこと?

    構造の説明はなるほどと思うところ多々あって、かの文明では春秋戦

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    2024年07月03日
  • 中国農村の現在 「14億分の10億」のリアル

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    本書のタイトルは「中国農村の現在」だが、中国農村は膨大であるのに対して本書で取り上げる事例は少なく、また、現在という割には古い内容も含まれている。

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    2024年04月28日